JAXA H3ロケット 国産史上最大 全長63m 直径5.2m 能力1.5倍 費用半額 |
JAXA H3ロケット 国産史上最大 全長 63m 直径 5.2m 能力 1.5倍 費用半額JAXA H3ロケット ( 次期国産 新型基幹ロケット )は、2012年度に概念検討がスタートされ、2023年度 試験機1号機、試験機2号機の打ち上げに向けて開発が進められている、国産の新型基幹ロケット、次期国産大型ロケットです
新型基幹ロケット H3 のシステム概要 「JAXA H3ロケット 記者説明会を実施しました 2016年7月20日」 より
JAXA H3ロケット 名称これまで積み上げてきた大型液体ロケットの技術を受け継ぐロケットであることから、また、“H”を継承することによる国際競争力の要素である信用度を確保する観点から、H-IIA/H-IIBロケットの“H”を継承、H-IIA/H-IIBロケットから機体構成を根本から見直したロケットである為、“H3ロケット”と命名されました
また、ローマ数字(III)ではなくアラビア数字(3)としたのは、IIと混同しない明確さ、報道などでの実質的な認知度・知名度を考慮したとのことです Hは水素を燃料とすることから名付けられています JAXA H3ロケット 打ち上げ 能力 1.5倍に向上 準備期間半分 費用半額H3ロケットでは、静止軌道(高度3万6000km)に打ち上げ可能な衛星の重さを、現在の主力ロケット H2Aの 4.6トンから、H3では 6~7トン程度へと、H2Aの約 1.5倍に向上させるとともに、イプシロン同様、自動点検機能を取り込み、これまで最短 53日間掛かっていた射場整備期間が半分程度に短縮、受注から打ち上げまでの期間も、現行基幹ロケット H2Aの半分、約 12ヶ月での打ち上げを可能とします
製造から打ち上げまでのシステムを効率化、打ち上げ要員も、H-IIAの 100~150人に対し、その 3分の1から4分の1以下に削減すること等により、H2Aの半額の約 50億円で打ち上げられるようにし、打ち上げスケジュールを柔軟にするなど、市場競争力を強化する計画です 静止衛星は近年、運用期間を延ばすため大型化する傾向にあり、H2Aでは十分対応できなくなってきていました H2A増強型のH2Bロケットは、能力的には、5.5トンの静止衛星まで搭載可能ですが、国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙補給機「こうのとり」運搬用として開発された経緯より、衛星打ち上げの実績はありません JAXA H3ロケット システム構成の簡素化 モジュール化 共通仕様化機体構成 : 固体モータの削除 : 最少打ち上げ構成時、これまで、H-IIA、H-IIBで必要だった、固体ロケットブースタ (補助ロケット)が、H3では不要になります
JAXA H3ロケット 作業工程の平準化 : 部品取付、組立、点検/出荷の時間を均等化し、ライン生産JAXA H3ロケット 第一段メインエンジン 「 LE-9 」 基本仕様これまでの日本のロケット開発は、技術開発偏向のきらいがあり、ともすれば、技術レベル世界最高水準を目指すあまり、その価格も世界最高水準となり、商業打ち上げ市場のニーズからかけ離れたものとなっていました
エンジンサイクル : 二段燃焼からエクスパンダブリードへ(構成コンポーネントを20%削減)
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項目 | LE-9エンジン | LE-7Aエンジン (参考) |
エンジンサイクル | エキスパンダブリード | 2段燃焼 |
真空中推力 | 1471kN (150tonf) 63%スロットリング | 1100kN(112tonf) |
比推力(Isp) | 425s | 440s |
重量 | 2.4ton | 1.8ton |
全長 | 3.75m | 3.7m |
エンジン混合比 | 5.9 | 5.9 |
燃焼圧力 | 10.0MPa | 12.3MPa |
FTP吐出圧力 | 19.0MPa | 28.1MPa |
OTP吐出圧力 | 17.9MPa | 26.6MPa |
バルブ駆動方式 | 電動バルブ 作動点を連続制御 | 空圧バルブ オリフィスで作動点調整 |
※. | 二段燃焼サイクルエンジンとは、推進剤の一部をプレバーナー(予燃焼室)であらかじめ燃焼させ、その燃焼ガスでターボポンプを駆動、その時の燃焼ガスをターボポンプで加圧された推進剤とともに主燃焼室に送り、再度燃焼する方式で、燃料を無駄なく効率よく使え、高推力を得られることが特徴です 2015年7月7日現在、二段燃焼サイクルを採用したエンジンの実用化に成功したのは、日本、アメリカ、ロシア(旧ソ連)のみで、日本のH2Aロケット、H2BロケットのLE-7Aエンジン他、アメリカ スペースシャトルのSSMEエンジン、旧ソ連版スペースシャトル エネルギアのRD-170エンジン等に採用されました |
※. | エキスパンダブリードサイクルエンジンでは、ポンプで昇圧された燃料の大部分は直接燃焼室に送り込まれますが、一部の燃料は、燃焼器を冷却し、同時にタービンを駆動するためのエネルギーとして使われ、この水素ガスで、LH2ターボポンプ、及び、LOXターボポンプのタービンを直列に駆動後、ノズルの壁面を冷却するためにノズル内に噴射されるため、推進力として使用されません |
固体ロケットブースタ SRB-3(H3) 外観イメージ SRB-A(H2A) との比較 |
固体ロケットブースタ (SRB-3)は、簡素化、低コスト化を追求した仕様設定となっており、基本設計、および、同フェーズで実施した要素試験結果を反映
詳細設計に着手しています 主要開発項目 結合・分離方式の簡素化(結合点及び火工品の削減) モータケース他、各構成品の低コスト化/軽量化 H3とイプシロン共通で有効な推進特性の確立 |
項目 | SRB-A (H-IIA) | SRB-3 (H3) |
固体推進薬 | コンポジット推進薬 | コンポジット推進薬 |
真空中推力 | 約180tonf | 約220tonf |
性能(Isp) | 283.6s | 283.6s以上 |
固体推進薬量 | 65.9ton | 約66.8ton |
全長 | 15.2m | 14.6m |
直径 | φ2.5m | φ2.5m |
燃焼時間 | 116s | 約105s |
ノズル駆動方式 | 電動アクチュエータ | なし(ノズル固定式) |
分離方式 | スラストストラット ・ 分離モータ方式 | 分離スラスタ方式 |
JAXA H3ロケット 固体ロケットブースタ (SRB-3) と イプシロンロケット とのシナジー
「JAXA H3ロケット 記者説明会を実施しました 2016年7月20日」 より
新型基幹ロケット H3 射場設備イメージ
「宇宙航空研究開発機構 平成27年7月2日 新型基幹ロケットの開発状況について」 より
新型基幹ロケット H3 射点系施設設備 基本構想
「JAXA H3ロケット 記者説明会を実施しました 2016年7月20日」 より
新型基幹ロケット H3 新移動発射台(ML)
「 H3ロケット用移動発射台(ML)が種子島宇宙センターに到着しました! トピックス 2018年12月5日 」 より
「 JAXA H3ロケット 記者説明会を実施しました 2016年7月20日 」 より
「 JAXA H3ロケット 記者説明会を実施しました 2016年7月20日 」 より
「 H3ロケット|ロケット|JAXA 宇宙輸送技術部門 」 より
「 H3ロケット|ロケット|JAXA 宇宙輸送技術部門 」 より
年度 | 試験機 | 搭載衛星 |
2023年度 | 試験機1号機 | 先進光学衛星 だいち3号 (ALOS-3) |
2023年度 | 試験機2号機 | 先進レーダ衛星 だいち4号 (ALOS-4) |
年 | 月 | 日 | JAXA H3ロケット 開発 進捗状況 今後の予定 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2022 | 1 | 21 | 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は 2022年1月21日、21年度(22年1〜3月)に予定していた次世代ロケット「H3」初号機の打ち上げを延期すると発表しました 新規開発したLE-9エンジンのターボポンプで、振動問題が確認されたためで、新たな打ち上げ時期は未定です JAXAの岡田匡史プロジェクトマネージャは「直面した現象が、皆目見当がつかないという状態ではない。LE-9エンジンは9割まで完成しているが、最後の1割を完全にして仕上げたい。延期時期を言明するのは難しい。問題を解決して打ち上げ時期を確定するまで知恵を絞っていきたい」と現状を総括しています |
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2020 | 5 | 2020年5月に実施した燃焼試験では、[1]燃焼室内壁に亀裂が発生、[2]液体水素ターボポンプのタービン動翼に疲労による亀裂が発生——という2つのトラブルに見舞われました このトラブル解決とそれに伴う設計変更のために、初号機打ち上げを 2020年度末から2021年度末に1年延期しました |
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2018 | 12 | 6 | 三菱重工業は 2018年12月6日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と開発を進めている次世代ロケット「H3」で初めてとなる民間衛星の打ち上げ契約を獲得したと発表しました 英国の衛星通信サービス大手「インマルサット」の商業衛星で、衛星の種類や受注価格は非公表で、三菱重工では「開発中のロケットが受注するのは異例だ」としています H3ロケットは 2020年度の初号機打ち上げを目指しており、インマルサットの衛星の打ち上げは 2022年以降となる見通しです |
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8 | 26 | JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)は、H3ロケット用固体ロケットブースタ(SRB-3)開発の一環として、設計の妥当性等の確認を目的として実施したSRB-3実機型モータ地上燃焼試験を実施、予定したデータを取得し、良好に終了しました
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1 | 24 | H3ロケット 詳細設計結果について | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2017 | 詳細設計 引き続き詳細フェーズにて以下を実施し、詳細設計審査(CDR)を経て、製作・試験フェーズに移行予定
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2016 | 詳細設計 エンジン燃焼試験や固体ロケットブースター試験などがスタートし、個別の試験が終了するとシステムを統合し、H3ロケットの詳細な仕様が固まっていきます
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7 | 20 | 基本設計結果について 記者説明会 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2015 | 7 | 2 | 部科学省科学技術 ・ 学術審議会の 研究計画・評価分科会宇宙開発利用部会で「H3ロケット」という正式名称と第2段エンジン1基の形態が了承されました | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4 | 23 | 内閣府宇宙政策委員会の宇宙産業・科学技術基盤部会で概念設計フェーズから基本設計フェーズ(開発フェーズ)への移行が了承されました | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
基本設計 H3ロケットの基本的な性能、諸元、要求仕様等を決めていきます
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4 | 9 | 文部科学省科学技術・学術審議会の 研究計画・評価分科会宇宙開発利用部会でシステム定義審査(SDR)の結果を報告し了承されました | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2014 | 3 | 25 | 三菱重工業が開発主体に選定 新型ロケットの開発で、機体の設計 ・ 開発段階から民間企業が中心的役割を担うのは初めてのこととなります |
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1 | JAXAでミッション定義審査(MDR)を実施 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2013 | 6 | 4 | 平成26年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針(経費の見積り方針)(平成25年6月4日 内閣府特命担当大臣(宇宙政策)から関係閣僚に対して通知)において、新型基幹ロケットの開発着手を決定 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5 | 30 | 宇宙政策委員会第15回会合で、この宇宙輸送システム部会の決定が了承され、新型基幹ロケットの開発の方針が決定 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
28 | 内閣府宇宙政策委員会の宇宙輸送システム部会の第6回会合で、2014年度に新型基幹ロケットの開発を始めることを決定 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2012 | 12 | 13 | 文部科学省科学技術 ・ 学術審議会の研究計画・評価分科会宇宙開発利用部会が本機を開発する方針を決定 開発に当たっては、管制施設の簡略化などにより新型基幹ロケットの打ち上げコストをH-IIAロケットと比べて半減させることを目指すとしました この方策の取りまとめで、ロケット開発の技術基盤 ・ 産業基盤の継承が困難となりつつある状況と、その結果として将来的にロケットの新規開発や既存ロケットの円滑な運用が困難になる恐れについても触れられています |
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5 | 10 | JAXAの理事長立川敬二は、新型基幹ロケットを2018年から2022年までに打ち上げたいと語り、実用化に向け開発への強い意欲を示しました |
JAXA H3ロケット 開発スケジュール表
「 JAXA H3ロケット 記者説明会を実施しました 2016年7月20日 」 より
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