ホーム > ロケット > JAXA H2Bロケット & 宇宙ステーション補給機 こうのとり (HTV) とは
目次 | 元のページ 前のページ | 次のページ サイトマップ | ページEND

JAXA H2Bロケット & 宇宙ステーション補給機 こうのとり (HTV) とは


JAXA H2Bロケット とは 特徴 性能



H-IIBイメージCG (内部)

H-IIBイメージCG 「 JAXAデジタルアーカイブス 」 より

JAXA H2B(H-IIB)(エイチツービー、エイチニービー)ロケットは、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を行なう宇宙ステーション補給機(HTV、H-II Transfer Vehicle)を打ち上げるため、H-IIAロケットの打ち上げ能力の向上策として、H-IIAロケットの設備と技術を元に、H-IIAロケットでは1基だった1段目のエンジン(LE-7A)を、2基束ねる(クラスター化する)事により能力向上を図った、日本最大の基幹大型ロケットです


H-IIAロケットの能力向上案(H-IIA+)は、2003年(平成15年)に「開発研究」が開始され、2005年(平成17年)に、H-IIBロケットとなり「開発」フェーズへと移行、2009年(平成21年)9月11日に試験機1号機が打ち上げられました


H-IIBイメージCG (外観)  H2Bロケットの形状 (H2B型)

(左) H-IIBイメージCG  「 JAXAデジタルアーカイブス 」 より
(右) H2Bロケットの形状 (H2B型) 「 平成28年度 H-IIBロケット6号機 打上げ計画書 」 より



JAXA H2Bロケット 主要諸元



全体
名称 H-ⅡBロケット (H2B型)
全長(m) 56.6
全備質量(t) 531 (ペイロードの質量は含まず)
誘導方式 慣性誘導方式
各 段 第1段 固体ロケット
ブースタ
(長秒時燃焼モータ)
第2段 衛星
フェアリング
(5S-H型)
全長(m) 38 15 11 15
外径(m) 5.2 2.5 4.0 5.1
質量(t) 202 306(4本分) 20 3.2
推進薬質量(t) 177.8 263.8(4本分) 16.6
推力(kN) ※1 2,196 9,220 137
燃焼時間(s) 352 114 499
推進薬種類 液体水素
液体酸素
ポリブタジエン系
コンホ°シ゛ット
固体推進薬
液体水素
液体酸素
推進薬供給方式 ターボポンプ ターボポンプ
比推力(s) ※1 440 283.6 448
姿勢制御方式 ジンバル 可動ノズル ジンバル
ガスジェット装置
主要搭載
電子装置
誘導制御系機器
テレメータ送信機
誘導制御系機器
レーダトランスポンダ
テレメータ送信機
指令破壊装置

※1:真空中 固体ロケットブースタは最大推力で規定





宇宙ステーション補給機 「こうのとり」(HTV) とは



宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 (HTV H-II Transfer Vehicle) とは、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を行なう為にJAXA(宇宙開発事業団(NASDA)と後継法人の宇宙航空研究開発機構 (JAXA) )が開発した、無人宇宙補給機です



宇宙ステーション補給機 「こうのとり」(HTV) 概要



宇宙ステーション補給機 「こうのとり」は、種子島宇宙センターから H2Bロケット (H-ⅡB)により打ち上げられ、高度200km/300kmの楕円軌道へ投入されます

軌道投入後、地上監視のもと、予め登録しておいたコマンドシーケンスや姿勢制御系の自動シーケンスなどによって、高度 350~460kmの国際宇宙ステーション(ISS)に対して、安全にランデブ飛行を行いながら、ISSへ接近、所定の位置に相対停止した後は、ISSのロボットアームにて把持され、ISSに結合 ・ 係留し、補給物資をISSへ移送します

その後、ISSで不要となった廃棄物品を「こうのとり」 に移送し、ISSから離脱、再突入軌道へ移行、大気圏内で摩擦熱により、焼却処分されます



宇宙ステーション補給機 「こうのとり」6号機 外観図

宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 6号機 外観図

平成28年度 H-IIBロケット6号機 打上げ計画書 」 より




宇宙ステーション補給機 「こうのとり」(HTV) 開発経緯



1988年、日本、カナダ、アメリカ合衆国、および欧州宇宙機関 (ESA) 加盟国の政府間で宇宙基地協力協定 (IGA) が署名され、1993年にロシアも加わり、1994年に現在の国際宇宙ステーション(ISS)計画が誕生しました

1994年7月アメリカ航空宇宙局 (NASA) は、宇宙ステーションへの輸送を、国際パートナーがスペースシャトルでの輸送経費を実費負担する方式から、各パートナーそれぞれが輸送能力を提供することを原則とする方式への変更を提案し、日本の宇宙開発事業団(NASDA 現在のJAXA)は、1995年に宇宙ステーション補給機の概念設計を開始、1997年にHTV開発に着手しました


1998年2月24日に署名された宇宙基地了解覚書 (MOU) において、日本が国際宇宙ステーションへの補給義務を負うことが国際公約となり、2009年(平成21年)9月11日、「こうのとり」 と名付けられた宇宙ステーション補給機 1号機が、「こうのとり」 打ち上げ用に開発されたH2Bロケット 1号機により打ち上げられました

国際宇宙ステーションは、2015年(平成27年)12月22日、日米両国政府が国際宇宙ステーション(ISS)に係る新たな日米協力の枠組みについて合意し、2024年までの我が国のISS運用延長への参加が決定されています




宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 (HTV) 改良計画



宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 改良 重量3割減 製造運用費半額 2015年5月20日



国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ無人補給機「こうのとり」について、文部科学省は、2020年頃の完成を目指して、費用を半額程度に抑える改良型の開発を計画しており、来年度(2016年度)予算の概算要求に開発費の一部を盛り込む方針を、2015年5月20日、明らかにしました

現在、ISSへ飲料水や食料、実験装置などを送り届けたこうのとりは、ごみなどを積んで大気圏に再突入し、燃え尽きることにより、破棄する設計になっていますが、文科省は、ISSから実験試料などを地上に持ち帰れるタイプへの改良も検討するとしています


現在のこうのとりは、長さ約10メートル、直径4.4メートルの円筒形で、ISSに最大6トンの荷物を運ぶことができますが、改良型では、部品の点数を減らすなどして機体を大幅に軽量化する他、円筒形の機体表面に張り付けている太陽電池パネルを羽根状に取り付けるよう改良、現在の重量約10.5トンの3割ほど軽くし、約200億円かかる製造費を100億円程度に抑え、ほぼ同じ重さの荷物を搭載する能力を保ったまま、製造と運用の費用を半減させる計画です

こうのとりは、2009年~2013年に4機が打ち上げられ、すべて成功しており、2015年5月20日時点で既に2機の製造が始まっていますが、日本のISSへの物資輸送経費は、こうのとりを載せるH2Bロケットの費用も含め、毎年度230億~250億円かかっています


2020年までの運用が決まっているISSに対し、日本は、こうのとりで物資を運ぶことにより参加運用費を米国に支払っており、2016年~2020年の5年間に、こうのとり3機を打ち上げることが求められています

米国は、2024年までのISS運運用延長を参加各国に呼びかけていますが、日本は、2020年までの参加は決めているものの、それ以降の予定は白紙で、こうのとり改良型の開発費には、総額数百億円掛かるとみられています

文科省では、長期的なコスト削減策を打ち出すことで参加延長につなげる予定です




基幹ロケット開発の歴史



日本では、純国産の H2A ロケット 開発以降、世界最高水準の打ち上げ成功率を誇っています



日本では、純国産の H2A ロケット 開発以降、世界最高水準の打ち上げ成功率を誇っています

JAXA H3ロケット 記者説明会を実施しました 2016年7月20日 」 より


目次 | 元のページ 前のページ | 次のページ サイトマップ | ページTOP
ホーム > ロケット > JAXA H2Bロケット & 宇宙ステーション補給機 こうのとり (HTV) とは
   

© 2014 abhp.net All Rights Reserved.

関連情報サイト


 JAXA 宇宙航空研究開発機構 (プレスリリース)
 JAXA サイトポリシー 利用規約 (商用利用不可)
 JAXA デジタルアーカイブス
 JAXA デジタルアーカイブス 素材のご使用条件 (個人利用可)
 三菱重工 MHI打上げ輸送サービス
 三菱重工 サイトのご利用条件 (著作権法準拠)
 経済産業省 (Ministry of Economy, Trade and Industry)
 経済産業省 利用規約 (商用利用可)
 Wikipedia H-IIBロケット
 Wikipedia 宇宙ステーション補給機

コンテンツ一覧

ページTOP
ページTOP

関連記事

ページTOP


関連記事を下記に紹介します



2016年7月26日

JAXA H-IIBロケット6号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)の打上げについて 三菱重工業株式会社 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 平成28年7月26日


 三菱重工業株式会社および国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、H-IIBロケット6号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)の打上げについて、下記のとおり実施することを、お知らせいたします。

打上げ予定日:平成28年10月1日(土)
打上げ予定時刻:2時16分頃(日本標準時)(※1)
打上げ予備期間:平成28年10月2日(日)~平成28年11月30日(水)(※2)
打上げ場所:種子島宇宙センター 大型ロケット発射場
平成28年度 H-IIBロケット6号機 打上げ計画書
(※1)最新の国際宇宙ステーションの軌道により決定する。
(※2)予備期間中の打上げ日及び時刻については、国際宇宙ステーションの運用に係る国際調整により決定する。


2015年12月22日

JAXA 国際宇宙ステーションの運用延長参加に対する日本国政府決定について(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 理事長談話) 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 平成27年12月22日


 平成27年12月22日、日米両国政府が国際宇宙ステーション(ISS)に係る新たな日米協力の枠組みについて合意し、2024年までの我が国のISS運用延長への参加が決定されました。
 JAXAとしては、「きぼう」日本実験棟及び宇宙ステーション補給機「こうのとり」の運用・利用を通じて、今回の運用延長に相応しい成果を責任をもって創出していく決意を新たにするところであります。
 今回、日米で合意した新たな枠組みである「日米オープン・プラットフォーム・パートナーシップ・プログラム(JP-US OP3)」は、今後の宇宙開発において、日米の協力関係を新たな段階に先導する役割を果たすものです。
 JAXAとしては、この枠組みを最大限に生かし効果的・効率的に「きぼう」や「こうのとり」の新たな活用を推進し、我が国の宇宙政策を具現化していきます。
 引き続き、ISS計画への国民の皆様のご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。


2015年6月9日

JAXA H-IIBロケット5号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機(HTV5)の打上げについて 三菱重工業株式会社 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 2015年6月9日 14:00


 三菱重工業株式会社および国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、H-IIBロケット5号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機(HTV5)の打上げについて、下記のとおり実施することを、お知らせいたします。

打上げ予定日 : 平成27年8月16日(日)
打上げ予定時間帯 : 22時01分頃(日本標準時)(※1)
打上げ予備期間 : 平成27年8月17日(月)~平成27年9月30日(水)(※2)
打上げ場所 : 種子島宇宙センター 大型ロケット発射場
平成27年度 H-IIBロケット5号機 打上げ計画書
※1 最新の国際宇宙ステーションの軌道により決定する。
※2 予備期間中の打上げ日及び時刻については、国際宇宙ステーションの運用に係る国際調整により決定する。


2015年6月1日

【科学】無人補給機「こうのとり」改良へ 3割軽く、製造費半減 産経新聞 2015年6月1日 08:17


 文部科学省は国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人補給機「こうのとり」を改良し、製造費をほぼ半減する方針を明らかにした。2020年ごろの完成を目指す。政府の宇宙政策委員会で了承されれば、関連経費を来年度予算の概算要求に盛り込む。
 現行のこうのとりは約6トンの運搬能力を持ち、重さは約10.5トン。改良型は能力を維持しながら、部品数の削減や設計の簡素化で約3割軽くし、製造費を100億円程度に半減させる。現行型は太陽電池パネルを円筒形の機体表面に張り付けているが、改良型は羽根状に取り付ける。日本はISSの参加費を、こうのとりで物資を運ぶことにより米国に支払っている。4号機までを運用済みで、文科省は10号機から改良型とする計画だ。
 宇宙政策委はISSの費用対効果を厳しく問う姿勢を示している。米国は2024年までのISS運用延長を提案しているが、日本の参加が決まっているのは20年までで、それ以降は白紙。改良型の開発費は総額数百億円とみられ、文科省は長期的なコスト削減策を打ち出すことで参加延長につなげる狙いがある。


2015年5月20日

「こうのとり」改良、新宇宙船開発へ 文科省が表明 朝日新聞 05月20日 21:39


 文部科学省は20日、国際宇宙ステーション(ISS)に貨物を運ぶ無人補給機「こうのとり」を改良して、新しい宇宙船を開発する方針を明らかにした。製造運用コストを現行の200億円程度から半減させる一方、宇宙探査など他の用途にも使えるようにする。2020年までに実証機の打ち上げを目指す。
 太陽電池などの装置を1カ所に集めたうえで、自動車用など安価な部品を採用してコスト削減を図る。将来は貨物の搭載部分を置き換えて、軌道上の宇宙ごみを取り除いたり、月面着陸機を輸送したり様々な用途に使えるようにする。
 日本は20年までの5年間の分担として、こうのとり3機分の輸送を担当することになっている。最後の1機については新しい宇宙船で行う予定で、1月に決まった宇宙基本計画では「将来への波及性の高い技術で対応する」としていた。


2015年5月20日

無人補給船「こうのとり」改良へ…軽量化し節約 読売新聞 5月20日(水)16時7分


 文部科学省は20日、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ無人補給船「こうのとり」の改良型を開発する計画を明らかにした。
 こうのとりと同じ輸送能力(6トン)を保ったまま現在の重量(10・5トン)を3割ほど軽くし、約200億円かかる製造と運用の費用を半減させるという。開発期間は現時点で決まっていない。
 20日午前に開かれた、宇宙開発に関する文科省の有識者会議で説明した。文科省は、国の宇宙政策委員会に認められれば、関連経費を来年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。
 こうのとりは、2009~13年に4機が打ち上げられた。日本のISSへの物資輸送経費は、こうのとりを載せるロケットの費用も含め、毎年度230億~250億円かかっている。


2015年5月20日

<無人補給機>「こうのとり」改良へ…製造費半額程度に抑制 毎日新聞 5月20日(水)10時33分


 国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ無人補給機「こうのとり」について、文部科学省は20日、費用を半額程度に抑える改良型の開発を計画していることを明らかにした。来年度予算の概算要求に開発費の一部を盛り込む方針。2020年ごろの完成を目指す。
 現在、ISSへ飲料水や食料、実験装置などを送り届けたこうのとりは、ごみなどを積んで大気圏に再突入し、燃え尽きる。文科省は、将来はISSから実験試料などを地上に持ち帰れるタイプへの改良も検討する。
 現在のこうのとりは、1機の製造費が約200億円。長さ約10メートル、直径4.4メートルの円筒形でISSに最大6トンの荷物を運ぶことができる。13年までに4機打ち上げられ、すべて成功した。
 改良型は、部品の点数を減らすなどして機体を大幅に軽量化し、製造費を100億円程度に抑える。ほぼ同じ重さの荷物を搭載できるようにする。
 ISS運用では、日本は16~20年の5年間にこうのとり3機を打ち上げることが求められている。すでに2機の製造が始まっており、残り1機を低コスト化した改良型に置き換え、ISS関連への支出を抑制する計画だ。
 ISSは20年までの運用が決まっており、米国は24年までの延長を参加各国に呼びかけている。日本が延長に加わるかどうかは決まっていない。


ページTOP
ページTOP
ページTOP