JAXA H2Bロケット 5号機 こうのとり 5号機 (HTV5) 打ち上げ 成功 2015年8月19日
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 5号機 (HTV5)を搭載した H2Bロケット 5号機 が、2015年(平成27年)8月19日(水)※、種子島宇宙センター
大型ロケット発射場 第2射点から打ち上げられ、約15分後、予定通りこうのとり5号機が地球周回軌道に投入され、打ち上げは成功しました
※.打ち上げは、当初、2015年(平成27年)8月16日(日)の予定でしたが、天候の悪化が予想されることから、一旦、2015年(平成27年)8月17日(月)に延期され、さらに、2015年(平成27年)8月19日(水)に延期されました
H2Bロケット 5号機は、全長56.6メートル、直径が最大5.2メートル、三菱重工が約2年半かけて製造、2013年(平成25年)8月に打ち上げられた4号機とほぼ同じ設計ですが、取り付けられたカメラで撮影した画像を伝送する装置を2個から1個に減らすなど、コスト削減が図られています
「 H-IIBロケット4号機 機体移動 」
「 ISSに接近する「こうのとり」4号機 」
「 JAXA デジタルアーカイブス 」 より
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打上げロケット |
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H2Bロケット 5号機 (H-IIB F5) |
打上げ日 |
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2015年(平成27年)8月19日 |
打上げ時刻 |
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20時50分49秒
(日本標準時)(※1) |
打上げペイロード |
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宇宙ステーション補給機
「こうのとり」5号機 (HTV5) |
打上げ時の天候 |
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晴れ 南南東の風(3.5m/s)
気温27.8℃ |
打上げ予備期間 |
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2015年(平成27年)
8月17日(月)~
2015年(平成27年)
9月30日(水)(※2) |
打上げ場所 |
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種子島宇宙センター
大型ロケット発射場 |
打上げ実施 |
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三菱重工業株式会社
宇宙航空研究開発機構 |
事業費総額 |
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約 360億円 |
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※1 最新の国際宇宙ステーションの軌道により決定
※2 予備期間中の打上げ日及び時刻については、国際宇宙ステーションの運用に係る国際調整により決定
JAXA H2Bロケット 5号機 飛行計画
項目 |
打上げ後経過時間 ※3 |
高度 |
慣性速度 |
リフトオフ |
0分 0秒後 |
0 km |
0.4 km/s |
固体ロケットブースタ 燃焼終了 ※1 |
1分 54秒後 |
53 km |
1.9 km/s |
固体ロケットブースタ第1ペア 分離 ※2 |
2分 4秒後 |
61 km |
1.9 km/s |
固体ロケットブースタ第2ペア 分離 ※2 |
2分 7秒後 |
63 km |
1.9 km/s |
衛星フェアリング分離 |
3分 40秒後 |
120 km |
2.9 km/s |
第1段主エンジン燃焼停止 (MECO) |
5分 47秒後 |
184 km |
5.6 km/s |
第1段・第2段分離 |
5分 54秒後 |
189 km |
5.6 km/s |
第2段エンジン始動 (SEIG) |
6分 1秒後 |
194 km |
5.6 km/s |
固体ロケットブースタ 海面落下 |
6分~10分後 |
- |
- |
第2段エンジン燃焼停止 (SECO) |
14分 20秒後 |
289 km |
7.7 km/s |
「こうのとり」5号機分離 |
15分 11秒後 |
287 km |
7.7 km/s |
衛星フェアリング 海面落下 |
10分~24分後 |
- |
- |
第1段機体 海面落下 |
14分~30分後 |
- |
- |
第2段エンジン第2回始動(SEIG2i) |
1時間 39分 5秒後 |
307 km |
7.7 km/s |
第2段エンジン第2回燃焼停止(SECO2) |
1時間 39分 58秒後 |
305 km |
7.6 km/s |
※1. |
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燃焼圧最大値2%時点 |
※2. |
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スラスト・ストラット切断 |
※3. |
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実際の打上後経過時間は、「こうのとり」の質量等により最大で数十秒程度変動する |
JAXA H2Bロケット 5号機 打ち上げ 施設
施設名 |
所在地 |
種子島宇宙センター |
鹿児島県熊毛郡南種子町大字茎永 |
小笠原追跡所 |
東京都小笠原村父島字桑ノ木山 |
内之浦宇宙空間観測所 |
鹿児島県肝属郡肝付町南方 |
グアムダウンレンジ局 |
アメリカ合衆国グアム島 |
JAXA H2Bロケット 5号機 打ち上げ 役割分担
組織 |
役割 |
JAXA |
「こうのとり」5号機を開発し、「こうのとり」5号機の打上げ輸送サービスをMHIに委託する
打上げに際しては、打上安全監理業務(地上安全確保業務、飛行安全確保業務及びY-0カウントダウン時の総合指揮業務等)を実施する
最終的に、安全確保の観点から、MHIの打上げ執行可否の判断を行う |
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MHIに対し、打上げ輸送サービス契約 |
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「こうのとり」5号機開発 |
打上安全監理業務 |
MHI |
JAXAからの打上げ輸送サービスの契約を受け、打上げ事業者として、ロケット打上げを執行し、「こうのとり」5号機を所定の軌道に投入する |
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JAXAに対し、打上げ輸送サービス提供 |
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ロケット製造 |
組立整備作業 |
発射整備作業及び打上げ |
ヘ°イロート゛インタフェース調整 |
こうのとり 5号機(HTV5) ISSドッキング完了 物資搬入 2015年8月25日
2015年8月19日に鹿児島県種子島宇宙センターから打ち上げられた無人補給機「こうのとり」5号機は、2015年8月24日夜、ISSに到着、午後7時29分に長期滞在中の油井亀美也さん(45)が操作するロボットアームでキャッチ、ISSに取り付けられ、電気や通信系統の接続作業が行われ、2015年8月25日午前2時28分、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキング作業が完了しました
こうのとりによるISSへの物資補給は、2009年の初号機以来、5機連続での成功となります
2015年8月25日午後には、宇宙の4分の1の質量を占めると言われる正体不明の「暗黒物質」検出を目指す観測装置「CALET(キャレット)」をロボットアームでこうのとりから取り出し、日本実験棟「きぼう」の船外プラットホームに設置する作業を開始、2015年8月25日夜には、こうのとりのハッチが開けられ、油井さんらが中に入って荷物の搬出を始めます
H2Bロケット 第2段機体の制御落下 2015年9月29日
ISSからの分離 |
予定日 |
2015年9月29日(火) |
予定時刻 |
午前0時20分頃(日本標準時) |
大気圏への再突入 |
予定日 |
2015年9月30日(水) |
予定時刻 |
午前5時31分頃(日本標準時)※ |
H2Bロケットの第 2段機体は、「こうのとり」を軌道まで送り届ける都合上、一緒に地球をまわる軌道に乗り、「こうのとり」分離後は、そのまま放っておいても数日で大気圏に再突入し、燃え尽きますが、その間に他の衛星に衝突する可能性や、燃え残った部品が地上に落下する可能性を考慮し、H2Bロケットの第
2段機体については、制御落下という手法を用い、早期に、太平洋等の海上に落下させます
H2Bロケットの第 2段機体は、「こうのとり」を軌道に送り届けた後、地球を 1周させ、続いて機体の健全性を確認した上で、地上からの指令で 第
2段機体ロケットのエンジンに点火して逆噴射、軌道速度を失った第 2段機体は地球の大気圏に再突入し、燃え尽きます
H2Bロケット第 2段機体の制御落下は、H-IIB 2号機から実施され、すべて狙った水域への落下に成功しています
「 JAXA H-IIBロケット5号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機(HTV5)の打上げについて 宇宙航空研究開発機構 」 より
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 5号機 (HTV5) の 大気圏への再突入完了 2015年9月30日
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 5号機 (HTV5)は、所期の目的である国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送を完遂、2015年9月30日(水)午前5時08分(日本時間)に第3回軌道離脱マヌーバを実施し、大気圏に再突入、約42日間にわたるミッションの全任務を完了しました
再突入推定時刻及び着水推定時刻 (日本時間) |
再突入(高度約120km) 推定時刻 |
2015年9月30日(水) 午前5時33分頃 |
着水 推定時刻 |
2015年9月30日(水) 午前5時47分頃~6時13分頃 |
JAXA H2Bロケット とは 特徴 性能
JAXA H2B(H-IIB)(エイチツービー、エイチニービー)ロケットは、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を行なう宇宙ステーション補給機(HTV、H-II
Transfer Vehicle)を打ち上げるため、H-IIAロケットの打ち上げ能力の向上策として、H-IIAロケットの設備と技術を元に、H-IIAロケットでは1基だった1段目のエンジン(LE-7A)を、2基束ねる(クラスター化する)事により能力向上を図った、日本最大の基幹大型ロケットです
H-IIAロケットの能力向上案(H-IIA+)は、2003年(平成15年)に「開発研究」が開始され、2005年(平成17年)に、H-IIBロケットとなり「開発」フェーズへと移行、2009年(平成21年)9月11日に試験機1号機が打ち上げられました
JAXA H2Bロケット 主要諸元
全体 |
名称 |
H-ⅡBロケット (H2B型) |
全長(m) |
56.6 |
全備質量(t) |
531 (ペイロードの質量は含まず) |
誘導方式 |
慣性誘導方式 |
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各 段 |
第1段 |
固体ロケット
ブースタ |
第2段 |
衛星
フェアリング
(5S-H型) |
全長(m) |
38 |
15 |
11 |
15 |
外径(m) |
5.2 |
2.5 |
4.0 |
5.1 |
質量(t) |
202 |
306(4本分) |
20 |
3.2 |
推進薬質量(t) |
177.8 |
263.8(4本分) |
16.6 |
- |
推力(kN) ※1 |
2,196 |
9,220 |
137 |
- |
燃焼時間(s) |
352 |
114 |
499 |
- |
推進薬種類 |
液体水素
液体酸素 |
ポリブタジエン系
コンホ°シ゛ット
固体推進薬 |
液体水素
液体酸素 |
- |
推進薬供給方式 |
ターボポンプ |
- |
ターボポンプ |
- |
比推力(s) ※1 |
440 |
283.6 |
448 |
- |
姿勢制御方式 |
ジンバル |
可動ノズル |
ジンバル
ガスジェット装置 |
- |
主要搭載
電子装置 |
誘導制御系機器
テレメータ送信機 |
- |
誘導制御系機器
レーダトランスポンダ
テレメータ送信機
指令破壊装置 |
- |
※1:真空中 固体ロケットブースタは最大推力で規定
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」(HTV) とは
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 (HTV H-II Transfer Vehicle) とは、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を行なう為にJAXA(宇宙開発事業団(NASDA)と後継法人の宇宙航空研究開発機構
(JAXA) )が開発した、無人宇宙補給機です
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」(HTV) 5号機 概要
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 5号機は、種子島宇宙センターから H2Bロケット 5号機 (H-ⅡB F5)により打ち上げられ、高度200km/300kmの楕円軌道へ投入されます
軌道投入後、地上監視のもと、予め登録しておいたコマンドシーケンスや姿勢制御系の自動シーケンスなどによって、高度 350~460kmの国際宇宙ステーション(ISS)に対して、安全にランデブ飛行を行いながら、ISSへ接近、所定の位置に相対停止した後は、ISSのロボットアームにて把持され、ISSに結合
・ 係留し、補給物資をISSへ移送します
その後、ISSで不要となった廃棄物品を「こうのとり」 5号機に移送し、ISSから離脱、再突入軌道へ移行、大気圏内で摩擦熱により、焼却処分されます
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」(HTV) 開発経緯
1988年、日本、カナダ、アメリカ合衆国、および欧州宇宙機関 (ESA) 加盟国の政府間で宇宙基地協力協定 (IGA) が署名され、1993年にロシアも加わり、1994年に現在の国際宇宙ステーション(ISS)計画が誕生しました
1994年7月アメリカ航空宇宙局 (NASA) は、宇宙ステーションへの輸送を、国際パートナーがスペースシャトルでの輸送経費を実費負担する方式から、各パートナーそれぞれが輸送能力を提供することを原則とする方式への変更を提案し、日本の宇宙開発事業団(NASDA 現在のJAXA)は、1995年に宇宙ステーション補給機の概念設計を開始、1997年にHTV開発に着手しました
1998年2月24日に署名された宇宙基地了解覚書 (MOU) において、日本が国際宇宙ステーションへの補給義務を負うことが国際公約となり、2009年(平成21年)9月11日、「こうのとり」
と名付けられた宇宙ステーション補給機 1号機が、「こうのとり」 打ち上げ用に開発されたH2Bロケット 1号機により打ち上げられました
国際宇宙ステーションは、2015年(平成27年)12月22日、日米両国政府が国際宇宙ステーション(ISS)に係る新たな日米協力の枠組みについて合意し、2024年までの我が国のISS運用延長への参加が決定されています
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 (HTV) 改良計画
宇宙ステーション補給機 「こうのとり」 (HTV) について、重量を3割減、製造運用費を半減化する改良計画が進んでいます
詳細は、下記ページをご参照下さい
JAXA H2Bロケット 8号機 こうのとり 8号機 (HTV8) 打ち上げ
打ち上げ ライブ中継 / JAXA 種子島ライブカメラ
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