情報収集衛星 レーダ5号機を搭載したH2Aロケット 33号機は計画通り飛行、約 20分後、情報収集衛星レーダ5号機を正常に分離した事を確認、打ち上げは成功しました
今回打ち上げられた情報収集衛星 レーダ5号機は、2011年12月に打ち上げられ、設計寿命の 5年を過ぎた情報収集衛星 レーダー3号機の後継機となります
打ち上げは成功を受けて開かれた会見で、情報収集衛星を運用する内閣衛星情報センターの木野村謙一所長は、情報収集衛星 レーダ5号機の性能、高度、軌道等について具体的な言及はありませんでしたが、「過去に比べ分解能(物体を見分ける能力)が上がっている。信頼できる衛星を入手できた」と話しています
公式発表ではありませんが、一部報道機関では、夜間や曇りでも地上を観測できるタイプの今回の情報収集衛星 レーダ5号機は、物体の識別能力(識別できる物体の大きさ)が、従来の約
1メートルに対し、2倍の約 50センチに向上するとみられ、夜間でも乗用車とトラックの判別が可能になるとみられると報じています
情報収集衛星 7機体制確立
今回打ち上げられた情報収集衛星 レーダ5号機を含めると、運用中の情報収集衛星は、予備機を含め、レーダー衛星が 4機、光学衛星が 3機の合わせて
7機となり、地球上のあらゆる地点を 1日に 1回以上、撮影できる体制となりました
情報収集衛星 10機体制へ増強の方針
政府は 2016年12月に改訂した宇宙基本計画の工程表の中で、情報収集衛星をさらに増強、具体的な目標時期を示さない形で、予備機を除き、情報収集
光学衛星と情報収集 レーダー衛星、及び、情報収集衛星が撮影したデータを地上に送る「データ中継衛星」 2機と合わせ、常時 10機体制を目指すとの方針が明記されています
情報収集衛星は、日中に撮影に行う光学衛星と、夜間や悪天候の際に撮影を行うレーダー衛星をそれぞれ 2機ずつ、合わせて 4機で運用すれば、地球上のあらゆる地点を
1日に 1回以上、撮影できるということで、2013年(平成25年)に 4機体制となっています
10機体制が整えば、地球上のあらゆる地点を 1日に複数回、撮影できるとともに、現在、情報収集衛星が日本付近の上空を通過したときだけに、データを地上に下ろす仕組みが、データ中継衛星を使用することにより、衛星が地球上のどこを飛んでいても、より速やかにデータを下ろせるようになるとしています
これまでに情報収集衛星の開発と打ち上げ、運用に投じられた国費は 1兆2000億円余りに上りますが、情報収集衛星は設計上の寿命が 5~6年の為、現状の体制の維持にも、衛星を常に新しいものに更新していく必要があり、政府の
2017年度予算案にも衛星の運用 ・ 開発費として 620億円が計上されています
実況 終了しました (参考 本ページにて打ち上げ実況を行う予定です)
JAXA H2Aロケット 33号機 情報収集衛星 レーダ5号機は、2017年3月17日(金)10時20分00秒(日本標準時)定刻、正常に打ち上げられました
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MHI (三菱重工業株式会社)、および、JAXA (国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構は、情報収集衛星レーダ5号機を搭載したH-IIAロケット33号機(H-IIA・F33)の打上げを2017年3月16日に予定しておりましたが、当日の天候悪化、射場周辺の上空に氷の粒を含む厚い雲(氷結層)の発生が予想されるとして、2017年3月14日、打上げ日を
3月17日に変更、また、3月17日の打上げの可否については、3月15日以降の天候状況を踏まえ、再度判断すると発表しました
ロケットが氷結層を通過すると雷を誘発し、電子機器に異常が起きる恐れがあるということです |
JAXA H2Aロケット31号機 主要諸元 (参考)
名称 |
H-ⅡAロケット 31号機 (H2A202型) (参考) |
全長 |
53 m |
全備質量 |
286 t (人工衛星の質量は含まず) |
誘導方式 |
慣性誘導方式 |
|
|
第1段 |
固体ロケット
ブースタ |
第2段 |
衛星
フェアリング
(4S型) |
全長 |
37 m |
15 m |
11 m |
12 m |
外径 |
4.0 m |
2.5 m |
4.0 m |
4.0 m |
質量 |
114 t |
151 t (2本分) |
20 t |
1.4 t |
推進薬質量 |
101 t |
130 t (2本分) |
17 t |
- |
推力 |
1,100 kN |
5,003 kN |
137 kN |
- |
燃焼時間 |
390 |
100 |
530 |
- |
推進薬種類 |
液体水素
液体酸素 |
ポリブタジエン系
コンポジット
固体推進薬 |
液体水素
液体酸素 |
- |
推進薬供給方式 |
ターボポンプ |
- |
ターボポンプ |
- |
比推力 |
440 s |
283.6 s |
448 s |
- |
姿勢制御方式 |
ジンバル
補助エンジン |
可動ノズル |
ジンバル
ガスジェット装置 |
- |
主 要 搭 載
電 子 装 置 |
誘導制御系機器
テレメータ送信機 |
- |
誘導制御系機器
レーダトランスポンダ
テレメータ送信機
指令破壊装置 |
- |
推力、比推力は、真空中 固体ロケットブースタは最大推力で規定
JAXA H2Aロケット 31号機 飛行計画 (参考)
JAXA H2Aロケット 31号機(H-ⅡA ・ F31) は、ひまわり 9号を搭載し種子島宇宙センター大型ロケット第1射点より打ち上げられ、打上げ後まもなく機体のピッチ面を方位角
96度へ向けた後、所定の飛行計画に従って太平洋上を飛行します
H2Aロケット 31号機は、固体ロケットブースタを打上げ 約 1分48秒後(以下、時間は打上げ後の経過時間を示す)に、衛星フェアリングを 約
4分5秒後に分離、約 6分36秒後には第1段主エンジンの燃焼を停止、約 6分44秒後に第1段を分離します
引き続き、H2Aロケット 31号機は、約 6分50秒後に 第 2段エンジンの 第 1回目の燃焼が開始され、約 12分12秒後に燃焼を停止、慣性飛行を続けた後、約
23分50秒後に 第 2段エンジンの 第 2回目の燃焼を開始、約 27分7秒後に燃焼を停止、約 27分57秒後に 近地点高度 約 250km、遠地点高度
約 35976km、軌道傾斜角 22.4度の静止トランスファー軌道上でひまわり 9号を分離すします
JAXA H2Aロケット 31号機 打ち上げシーケンス (参考)
項番 |
事 象 |
打上げ後
経過時間 |
高度 |
慣性速度 |
1 |
リフトオフ |
0 分 0 秒 |
0 km |
0.4 km/s |
2 |
固体ロケットブースタ 燃焼終了 ※1 |
1 分 38 秒 |
45 km |
1.5 km/s |
3 |
固体ロケットブースタ 分離 ※2 |
1 分 48 秒 |
53 km |
1.5 km/s |
4 |
衛星フェアリング 分離 |
4 分 5 秒 |
142 km |
2.6 km/s |
5 |
第1段主エンジン 燃焼停止 (MECO) |
6 分 36 秒 |
218 km |
5.3 km/s |
6 |
第1段 第2段 分離 |
6 分 44 秒 |
222 km |
5.3 km/s |
7 |
第2段エンジン 第1回始動 (SEIG1) |
6 分 50 秒 |
225 km |
5.3 km/s |
8 |
第2段エンジン 第1回燃焼停止 (SECO1) |
12 分 12 秒 |
271 km |
7.7 km/s |
9 |
第2段エンジン 第2回始動(SEIG2) |
23 分 50 秒 |
264 km |
7.7 km/s |
10 |
第2段エンジン 第2回燃焼停止(SECO2) |
27 分 7 秒 |
250 km |
10.2 km/s |
11 |
ひまわり 9号 分離 |
27 分 57 秒 |
263 km |
10.2 km/s |
※1.燃焼室圧最大値の2%時点
※2.スラスト・ストラット切断
JAXA H2Aロケット 31号機 飛行経路 (参考)
JAXA 「平成28年度 ロケット打上げ計画書 静止気象衛星ひまわり9号(Himawari-9)/H-IIAロケット31号機(H-IIA・F31)」 より
JAXA H2Aロケット31号機 落下物 落下予想区域 時間 (参考)
JAXA H2Aロケット 打ち上げ基準
JAXAでは、全長 53メートル、重さ 286トンの H2Aロケットを安全、確実に打ち上げる為、打ち上げ基準が設定されています
従来の基準では、氷結層雲について、その厚さ 1.8km以内のみで判断していましたが、今回の打ち上げから、氷結層雲に関する基準が改められ、今後は、厚さ1.8km以上でも、レーダーで雲の内部状態を測定、反射強度が規定以下であれば、打ち上げ可能となります
これまで、H2Aロケットの打ち上げでは、氷結層雲による打ち上げ延期が 8機で発生していましたが、新基準で評価すると、その半分は打ち上げが可能なケースだったとのことで、今後は、打ち上げ延期の減少が期待され、コストダウンにも繋がります
2016年(平成28年)2月12日(金)に予定していた、H2Aロケット 30号機 の打ち上げでは、「射場近辺に規定以上の氷結層を含む雲(別紙参照)の発生が予想されること、および打上げ作業に支障のある強風が予想されることから、2016年(平成28年)2月17日(水)に、打上げ」が延期されました
打ち上げ基準 |
氷結層雲の厚さ |
1.8km以内 |
ただし、厚さ1.8km以上でも、レーダーで雲の内部状態を測定、反射強度が規定以下であれば、打ち上げ可能 (H2Aロケット 30号機 打ち上げ時から適用) |
風速 (最大瞬間風速) |
20.9m/s |
|
氷結層とは、雲の中で温度が0度から-20度になっている部分のことで、雲の中に氷の粒の層があるような状態になっています
氷結層雲等、H2Aロケット打ち上げの制約についての詳細は、「JAXA H2Aロケット とは 特徴 性能 制約 高度化計画」をご参照下さい
H2Aロケット H2Bロケット 打ち上げ回数 成功率
H2Aロケット 33号機 情報収集衛星 レーダ5号機の打ち上げにより、H2Aとしての打ち上げ成功回数は、33機打ち上げ中、32機の成功で、成功率は
97.0 %、同じエンジン (LE-7A ※) を使用している「H2B」を合わせた成功回数は、39機打ち上げ中、38機の成功となり、成功率は
97.4 % となりました
国際的な信頼性の基準は 95 % とされています
※ LE-7A
LE-7Aは、H-IIロケット第一段に使われていたLE-7エンジンの改良型で、宇宙開発事業団(現JAXA)が、三菱重工業、石川島播磨重工業と共に開発した液体燃料ロケットエンジンで、H-IIAロケットの第一段に1基、H-IIBロケットの第一段には2基使用されています |
H2A と H2Bは、三菱重工業が製造、H2A 13号機からは打ち上げ業務も、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から三菱重工業(MHI )に移管されています |
世界の主力大型ロケット 打ち上げ回数 成功率
日本は、大型ロケット打ち上げの成功率では、世界でもトップクラスですが、打ち上げ回数では、主要各国 地域より1桁少ないのが実情です
国 地域 |
ロケット名 |
打上回数 |
成功回数 |
成功率 |
日本 |
H2A |
33 |
32 |
97.0 % |
H2B |
6 |
6 |
100 % |
H2A + H2B |
39 |
38 |
97.4 % |
アメリカ |
アトラス |
387 |
340 |
87.9 % |
ファルコン |
19 |
15 |
78.9 % |
ヨーロッバ |
アリアン |
221 |
210 |
95.0 % |
ロシア |
プロトン |
401 |
354 |
88.3 % |
中国 |
長征 |
201 |
191 |
95.0 % |
諸外国のデーターは、「 2015年1月21日現在 三菱重工業調べ 」
打ち上げ ライブ中継 / JAXA 種子島ライブカメラ
JAXA H2Aロケット 33号機 情報収集衛星 レーダ5号機 打ち上げ ライブ中継
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放送内容 |
放送日/放送時間 |
視聴ページ |
備考 |
H2Aロケット 33号機 情報収集衛星 レーダ5号機 打ち上げ |
2017年3月17日 開場:9:27 開演:9:30 ~ |
ニコニコ生放送 ※ |
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