イプシロンロケット 5号機 飛行計画
ε-5 は、革新的衛星技術実証2 号機を搭載し、内之浦宇宙空間観測所M 台地より打ち上げられる。
ロケットは、打上げ後まもなく機体のピッチ面を方位角121.4 度へ向けた後、所定の飛行計画に従って太平洋上を飛行する。
第1 段を打上げ約2 分41 秒後(以下、時間は打上げ後の経過時間を示す。)に、第2 段を約6 分30 秒後に、第3 段を約9 分54 秒後に分離する。
引き続き、約16 分13 秒後から約18 分03 秒後まで、及び約42 分17 秒から約50 分54秒まで小型液体推進系(PBS)の燃焼を行い、約52
分35 秒後に高度約560km、軌道傾斜角97.6 度の太陽同期軌道で小型実証衛星2 号機を分離する。
小型実証衛星2 号機を分離後、ロケットは飛行を続け、約1 時間6 分30 秒から約1 時間11 分38 秒までに超小型衛星及びキューブサットに対し分離信号を送出する。
イプシロンロケット 5号機 飛行経路
通常、人工衛星の打ち上げは、地球の自転力を利用するため、地球の自転方向、西から東(下の地図では左から右方向)へ向かって打ち上げます
イプシロンロケット 5号機では、搭載衛星を地球観測衛星の多くで使われる太陽同期軌道、太陽同期準回帰軌道に投入するため、見かけ上逆方向(東から西方向)への投入軌道をとります
「 令和 3 年度 ロケット打上げ計画書 革新的衛星技術実証 2 号機/ イプシロンロケット 5 号機(ε-5)」 より
イプシロンロケット 5号機 落下物の海面落下時間帯 落下予想区域
小型実証衛星 2号機の概要
小型実証衛星2号機 外観図
「 令和 3 年度 ロケット打上げ計画書 革新的衛星技術実証 2 号機/ イプシロンロケット 5 号機(ε-5)」 より
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小型実証衛星2号機(RAISE-2:RApid Innovative payload demonstration SatellitE-2)は、公募により選定された6つの部品・機器の実証テーマを軌道上で実証する。
実証テーマ提案者からの要求を受けて衛星の運用を行い、 実証機器の実験データおよび実験実施時の環境データを提供する。
衛星は、部品・機器の実証のための「ミッション系」と人工衛星としての機能を維持する「バス系」から構成されるが、サバイバビリティの強化やミッション系とのインタフェースの標準化を目指し、可能な限りミッション系とバス系を独立にするよう設計しているこ
とが特徴である。
本衛星は、三菱電機株式会社が開発・製造・運用を担当している。 |
小型実証衛星2号機 主要諸元
項 目 |
諸 元 |
名称 |
小型実証衛星2号機(RAISE-2) |
概要 |
JAXA は、革新的衛星技術実証プログラムにより、超小型の人工衛星を活用した新たな知見の獲得・蓄積、将来ミッションプロジェクトの創出、宇宙システムの基幹的部品や新規要素技術の軌道上実証実験などのための機会を提供している。
2 号機である小型実証衛星2 号機(RAISE-2 : RApid Innovative payload demonstration SatellitE-2)では、公募により選定された6つの部品・機器の実証テーマを軌道上で実証する。
実証テーマ提案者からの要求を受けて衛星の運用を行い、実証機器の実験データおよび実験実施時の環境データを提供する。衛星は部品・機器の実証のための「ミッション系」と人工衛星としての機能を維持する「バス系」から構成されるが、サバイバビリティの強化やミッション系とのインタフェースの標準化を目指し、可能な限りミッション系とバス系を独立にするよう設計していることが特徴である。本衛星は、三菱電機株式会社が開発・製造・運用を担当している。 |
構造 |
サイズ:約0.75m×1m×1m
重量: 最大110kg
発生電力: バス系 約215Wh 以上(BOL*)
ミッション系 約112Wh 以上(BOL*) |
予定軌道
(運用時) |
種類: 太陽同期軌道
軌道高度: 約560km
軌道傾斜角: 約97.6 度
周期: 約95 分 |
ミッション機器 |
・マルチコア・省電力ボードコンピュータ SPRESENSE™ (SPR)
・クローズドループ式干渉型光ファイバジャイロ (I-FOG)
・CubeSat 用国産小型スタートラッカー (ASC)
・3D プリンタX 帯アンテナ (3D-ANT)
・軽量・無電力型高機能熱制御デバイス (ATCD)
・冗長MEMS IMU (MARIN) |
ミッション期間 |
約1年 |
(*)BOL:Beginning-of-Life(寿命初期)
超小型衛星 および キューブサットの概要
革新的衛星技術実証プログラムの公募により選定された4 つの超小型衛星(HIBARI,Z-Sat, DRUMS, TeikyoSat-4)と4
つのキューブサット(ASTERISC, ARICA, NanoDragon, KOSEN-1)から構成され、それぞれ、衛星産業の国際競争力の獲得・強化、宇宙利用拡大、新たなイノベーション創出、宇宙産業のビジネス創出並びに人材育成促進を目的に、各提案者が軌道上実証を行う。それぞれの衛星の主要諸元及び形状を表-5、表-6
に示す。
なお、超小型衛星およびキューブサットについて、ロケットへの引渡し遅延や不具合等の問題が発生し、打上げ時期に影響を与える場合には、ダミー等に変更して打ち上げることがある。
超小型衛星の概要 |
No. |
外観 / 寸法 質量 |
名称 / 開発機関 / ミッション内容 |
1 |
サイズ:59×59×55cm
質量:55kg
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可変形状姿勢制御実証衛星ひばり(HIBARI)/ 東京工業大学 |
可変形状機能を用いた姿勢制御技術や紫外線カメラ等の動作実証、リアルタイム通信の実証を目的とし、太陽電池パドルを回転駆動させる姿勢制御実験や紫外線カメラの撮像、Globalstar
を利用した通信実験を行う。 |
2 |
サイズ:50×50×51cm
質量:46kg
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複数波長赤外線観測超小型衛星(Z-Sat)/ 三菱重工
業株式会社 |
複数波長帯での赤外線画像処理技術の実証を目的とし、
近赤外線・遠赤外線カメラにより複数波長で地表面の同時撮像を行い、取得画像を分析して対象を同定し、熱源の位置や温度分布等を取得する。 |
3 |
サイズ:59×60×84cm
質量:62kg
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デブリ捕獲システム超小型実証衛星(DRUMS) / 川崎重工業株式会社 |
デブリ除去技術の獲得を目的とし、小型のターゲット(仮想デブリ)を放出し、そのターゲットへの接近・模擬捕獲を行う事でデブリ除去技術の軌道上実証を行う。 |
4 |
サイズ:55×55×55cm
質量:52kg
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多目的宇宙環境利用実験衛星(TeikyoSat-4)/ 帝京大学 |
超小型衛星内での生命科学・物質科学、宇宙工学分野の実験が可能なバスシステムの実現を目的とし、微小重力環境下でミッションモジュール容器内の細胞性粘菌の挙動観察やアマチュア無線帯高速通信実験、電源システムの動作実験を実施する。 |
キューブサットの概要 |
No. |
外観 / 寸法 質量 |
名称 / 開発機関 / ミッション内容 |
1 |
サイズ:11×11×34cm
質量:4kg
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宇宙塵探査実証衛星(ASTERISC)/ 千葉工業大学 |
軌道上の宇宙塵・微小スペースデブリの観測を目的とする膜面型ダストセンサシステムおよび衛星バスシステムを本衛星に搭載し、技術実証を行うとともに、実際の軌道上の粒子の科学観測を行う。 |
2 |
サイズ:10×10×11cm
質量:1kg
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速報実証衛星(ARICA)/ 青山学院大学 |
ガンマ線バーストに代表される突発天体の観測を目的として、機上で見つけた天体を即座に速報する機能について、安価なキューブサットと民間衛星ネットワークを用いて実証実験を行う。 |
3 |
サイズ:10×10×34cm
質量:4kg
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高機能OBC 実証衛星(NanoDragon)/ 明星電気株式会社 |
超小型衛星を用いた船舶衝突防止の可能性の検証を目的として、3U サイズのキューブサット「NanoDragon」により、新規開発の高機能OBC、それを用いた姿勢決定・制御系、及び船舶自動識別システム受信機の性能を評価する。 |
4 |
サイズ:10×10×23cm
質量:3kg
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木星電波観測技術実証衛星(KOSEN-1)/ 高知工業高等専門学校 |
2U CubeSat において、デュアルリアクションホイール、超小型 Linux マイコンボードによる OBC、木星電波受信アンテナ展開機構の技術実証を行い、木星電波ビーム構造の解明のための観測を行う。 |
打ち上げ ライブ中継
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