イプシロンロケット 2号機 搭載 ジオスペース探査衛星 (ERG : エルグ) 概要
放射線帯は太陽活動に起因する宇宙環境擾乱にともなって激しく変動することが知られており、ジオスペース探査衛星 (ERG : エルグ)は、地球近傍の宇宙空間であるジオスペースの中に広がる「放射線帯」を観測する衛星です
イプシロンロケット 2号機 搭載 ジオスペース探査衛星 (ERG : エルグ) 主要諸元
項目 |
諸元 |
名称 |
ジオスペース探査衛星(ERG※ : エルグ) |
目的 |
宇宙環境擾乱にともなって激しく変動する放射線帯の中心部において、10 電子ボルトから20 メガ電子ボルトの6 桁におよぶ広帯域の電子を直接観測する等、放射線帯の総合観測を行うことによって、放射線帯の高エネルギー電子がどのようにして生まれ/失われることを探り、放射線帯変動のメカニズムを明らかにする |
構造 |
形状: 翼太陽電池パドルを有する箱形(約1.5×1.5×2.7 m)
【展開したパドルの両端間:約6.0 m(X 軸),約5.2 m(Y 軸)】
重量 : 365 kg以下
電力 : 約700 W以上 |
予定軌道
(運用時) |
種類 : 楕円軌道、周期: 約580 分
近地点高度 : 約 300km、遠地点高度 : 約 33,200km、軌道傾斜角 : 約 31 度 |
ミッション機器 |
・ 低エネルギー電子分析器
(LEP-e:Low-energy particle experiments - electron analyzer)
・ 低エネルギーイオン質量分析器
(LEP-i:Low-energy particle experiments - ion mass analyzer)
・ 中間エネルギー電子分析器
(MEP-e:Medium-energy particle experiments - electron analyzer)
・ 中間エネルギーイオン質量分析器
(MEP-i:Medium-energy particle experiments – ion mass analyzer)
・ 高エネルギー電子分析器
(HEP:High-energy electron experiments)
・ 超高エネルギー電子分析器
(XEP:Extremely high-energy electron experiments)
・ プラズマ波動電磁場観測機器
(PWE:Plasma Wave Experiment)
・ 磁場観測器
(MGF:Magnetic field experiment)
・ 波動粒子相互作用解析装置
(S-WPIA:Software-type wave particle interaction analyzer) |
ミッション期間 |
定常運用移行後1 年以上 |
※ERG : Exploration of energization and Radiation in Geospace の略
イプシロンロケット 2号機 写真で見る 組み立てから打ち上げリハーサルまで
イプシロンロケット 2号機 2016年9月12日(月)
イプシロンロケットの1段モータは、専用コンテナに格納され、発射場のある鹿児島県肝付町内之浦漁港に船で運ばれました。水切り後、トランスポータと呼ばれる専用の大型トレーラーに乗り換えて、内之浦宇宙空間観測所のM組立室に搬入されました。
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水切り
トレーラーの乗り換え
陸上輸送
M組立室搬入
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「 イプシロンロケット2号機・組み立てから打ち上げリハーサルまで ファン!ファン!JAXA! 」 より
イプシロンロケット 2号機 11月12日(土)
M組立棟で、イプシロンロケットの1段~3段モータの組み立てや、各段を組み合わせた電気系の試験を経て、11月12日にロケットの3段モータの上部にジオスペース探査衛星(ERG
: エルグ)を結合しました。
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1段モータ
左:2段モータ
右:3段モータ
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「 イプシロンロケット2号機・組み立てから打ち上げリハーサルまで ファン!ファン!JAXA! 」 より
イプシロンロケット 2号機 11月14日(月)
ジオスペース探査衛星(ERG : エルグ)がイプシロンロケットのフェアリングに格納されました。
イプシロンロケット2号機のフェアリングは、衛星を格納できるスペース(高さ)が約4.7mから約5.4mに拡大されています。
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フェアリング格納
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「 イプシロンロケット2号機・組み立てから打ち上げリハーサルまで ファン!ファン!JAXA! 」 より
イプシロンロケット 2号機 11月18日(金)
イプシロンロケットの1段モータを整備棟内にあるランチャ(発射台)に取り付けました。その後、2段モータを1段モータに結合しました。
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1段VOS (VOS:Vehicle On Stand)
天井からのクレーンでロケットをつり上げます。
2段VOS
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「 イプシロンロケット2号機・組み立てから打ち上げリハーサルまで ファン!ファン!JAXA! 」 より
イプシロンロケット 2号機 11月21日(月)
フェアリング内に3段モータと衛星を格納した頭胴部を2段モータと結合して全段組立は完了しました。その後全段組立の状態で電気系点検や打ち上げのリハーサルを行いました。
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頭胴部VOS
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「 イプシロンロケット2号機・組み立てから打ち上げリハーサルまで ファン!ファン!JAXA! 」 より
イプシロンロケット 2号機 12月14日(水)
実際の打ち上げ手順に従い、打ち上げ当日を模擬したリハーサルを行い、M整備棟からロケットのランチャー旋回を実施しました。
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リハーサルの様子
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「 イプシロンロケット2号機・組み立てから打ち上げリハーサルまで ファン!ファン!JAXA! 」 より
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