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ハス と スイレン


ハス と スイレン



ハス (Nelumbo nucifera) と スイレン (Nymphaea) は、同じ時期に、同じように池や沼などの止水域に花を咲かせ、その花も似ているところがある為、同じ種類の植物、あるいは、同じ花と思われがちなのですが、実際は、ハス と スイレンは、全く異なる種類の植物になります

かつては、ハスとスイレンはごく近縁の植物と考えられ、ハススイレン目 Nymphaealesスイレン科Nymphaeaceaeに属しており、実際、漢字でも、「蓮」と「睡蓮」でどちらも「蓮」ですし、ヨーロッパでは、ロータス(lotus)はハスのこともスイレンのことも指します


ハスは花茎が水面から高く伸びて咲き、スイレンは水面から直に花が咲くとか、スイレンは浮き葉(水面に浮いた葉)で葉に切れ目がありますが、ハスは立ち葉(水面から高く伸びた葉)で切れ目のない丸い葉であるなど、外見上の一応の見分け方はあるのですが、それも絶対ではありません

スイレンの中にも水面から高く伸びて咲くものもありますし、立ち葉を持つスイレンもあったりして、なかなか「別物」といわれてもにわかに納得できないほど似通っています


これは生物界で言う「収斂(しゅうれん)」といわれる現象で、同じ環境に適応した別種の生物が、外見上似かよった進化をすることがあります
(例えば、鯨やイルカが、水中に適応するために魚のようなひれを進化させるなど)


ハス と スイレンは、近年の DNA解析によって、かなり古い時代に分岐していたことがわかり、ハスは、現在はヤマモガシ目 (Proteales) に分類されており、ヤマモガシ目は、街路樹によく植えられる スズカケ (プラタナス) や、マカダミアナッツの実をつける マカダミアなどが属する、樹木の多い目です

マカダミアナッツとハスとでは、随分とかけ離れているように思えますが、「世界一硬い」 といわれる殻をもつ マカダミアナッツと近縁であることは、ハスの実もきわめて堅固な外殻を持ち、発芽に適しない環境では 1000年を越えて種子を保護し続けることからも理解できます


1951年に、千葉市の東京大学検見川厚生農場の落合遺跡で発掘された 2000年以上前の弥生時代のものと推定されるハスの種子が、理学博士 大賀一郎氏により発芽させたことで、世界的に有名になった 「二千年蓮(大賀蓮)」や、埼玉県行田市のゴミ集積場から偶然発芽した 「行田蓮」、岩手県中尊寺金色堂須弥壇から発見されて発芽した 「中尊寺蓮」など、古い時代の種子から発芽繁殖したハスが多く存在するのも、この硬い外皮に胚珠が保護されているためです

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参考情報


ハスは睡蓮ではなくマカダミアナッツの仲間?七十二候「蓮始開(はすはじめてひらく)」(tenki.jp)

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