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被害届 と 告訴状


被害届 と 告訴状



不幸にして何らかの犯罪被害にあわれた場合、どのような対処をすればよいのでしょうか
泣き寝入り? いやいや、そんなことをすれば、犯罪者はますます助長して、新たな被害者が増えていくだけでしょう
ここでは、個人としてできる被害届 と 告訴状について、まとめておきたいと思います



暴行事件の被害に遭った際の犯人の処罰、慰謝料請求について



酔っぱらいから理由もなく殴られる、言い争いの末に一方的に殴られるなど、暴行事件の被害にあった場合の対処法を説明します

暴行事件は、「暴行罪」という犯罪で、処罰が規定されていますので、犯人の逮捕 ・ 処罰が可能、また、犯人には被害の弁償責任があり、暴行事件の被害とは、精神的苦痛ですので、慰謝料を請求できます

ただし、慰謝料請求に関しては、得られる金額が少ない傾向があり、民事訴訟を起こすと赤字になる恐れがもありますので、示談交渉の中で取りまとめるケースが多くなります

そのため、被害を受けたら、まずは刑事事件として犯人を逮捕してもらうことが重要です




被害届 ・ 告訴状の提出



犯人を逮捕するには、警察に動いてももらう必要があり、現行犯逮捕でなければ、被害者が被害届か告訴状を提出して捜査を依頼します

被害届は単に被害を報告するだけですが、告訴は被害者から処罰を望む意思を含み、捜査機関に捜査義務が生じます
そのため、犯人を逮捕するだけなく、罰してほしいと願う場合には、被害届にとどまらず告訴を行うとよいでしょう

しかし、告訴は簡単には受理されないため、大きな労力が必要な場合もあります



被害届 とは



被害届とは、犯罪に巻き込まれた事実を捜査機関に申告する書類で、警察に捜査を開始し、犯人を逮捕してほしい際は、被害届を提出するのがもっとも一般的な方法です



被害届 の出し方 ・ 書式



被害届は、警察署や交番に書類が常備されていますので、近くの警察署か交番で申し出ます
被害届の書式には、下記の項目が必要ですので、整理しておきましょう

被害者の住所、氏名、年齢、職業
被害に遭った日時
被害に遭った場所
被害の模様(どのような犯罪でどのよな被害が遭ったか)
被害金額(品名、数量、時価、特徴、所有者)
犯人の住所、氏名、人相、服装、特徴等(不明でも可)
遺留品その他参考となるべき事項(証拠)

被害届を提出する際には、身分証明書と印鑑、また所持している証拠があればそれらも持参します
わからないことがあれば、警察官が教えてくれますし、代筆してくれる場合もあります



刑事告訴 ・ 刑事告発 とは



(刑事)告訴 ・ (刑事)告発も警察等の捜査機関に犯罪の事実を知らせる行為で、被害届との違いは、告訴 ・ 告発には、加害者への処罰を求めることが目的の一つである点、そして、告訴 ・ 告発を受理した捜査機関には、捜査を開始し、求めに応じて、起訴するか否かの判断を申告者に伝える義務が生じます

告訴は、原則として被害者本人が行いますが、法定代理人や親族も行うことができ、告発は、被害者本人などの告訴ができる人以外の第三者が行う場合を指します



告訴は受理されにくい



被害届では捜査義務が発生しないことから、被害届ではなく、告訴状を提出したいところですが、現実問題として、告訴を受理してもらうのは簡単なことではないようです

まず、警察や検察は、日々事件処理追われ、大変に忙しい状況にあり、冤罪事件を起こせば大問題であることから、起訴後の判決は100%有罪にしたいと考えており、実際に、起訴後の有罪判決率は、99%と非常に高い水準を維持しています

そうした中、現状揃っている証拠だけでも、十分に有罪となる見込みがある、といった場合でもないと、警察や検察は、告訴を受理したがりません
そのため、まずは被害届を提出するのが一般的となっているのです。

もし、どうしても告訴を受理してほしいといった場合には、弁護士にサポートを受ける手も考えられます



親告罪 と 告訴



犯罪の中には、親告罪と呼ばれる、被害者からの告訴がないと起訴することができない犯罪が存在し、その場合も、告訴のハードルは高いと言えます

親告罪と言えども、最初から告訴しなければならないわけではまく、まず、被害届を出し、犯人の容疑が固まれば、検察の方から告訴するか聞いてきますので、そのタイミングで告訴する、という手順でもよいでしょう



暴行事件の証拠



暴行事件の場合等では、主だった証拠が当事者や目撃者の証言となることが多く、被害者自身の証言も立派な証拠ですが、それだけでは根拠として弱いため、可能であれば第三者の証言を得られるようにしましょう

防犯カメラなどの映像があると有力な証拠となりますので、店内でのトラブルであればその店舗に、道路上であれば、近くの商業施設などに証拠映像となるものが残っている可能性があります

また、暴行事件とは、暴行を受けても怪我がなかった事件を指しますが、念のため診察を受け、診断書をもらっておきましょう
怪我がある場合は傷害罪となります



示談交渉での慰謝料請求



暴行事件の被害者は、その精神的苦痛に対して慰謝料を請求でき、暴行事件の慰謝料相場は、高くて 30万円程度です

相当に悪質なものであれば 30万円を超えるケースもありますが、多くの場合は、弁護士費用などを考慮すると、民事訴訟を起こすと赤字となってしまう為、金銭的な補償を受け取りたい場合には、示談交渉の中で慰謝料相当額を請求することが考えられます

示談が成立すれば、不起訴となって前科が付かなくなったり、減刑となる可能性が高い為、暴行罪として犯人が容疑を認めている場合であれば、犯人側から示談を申し入れてくるケースも多いようです

犯人が刑事責任上有利となる面もあることを考慮に入れつつ交渉に臨む必要があります



暴行罪の時効



暴行罪として起訴(刑事裁判にかけて有罪判決を求めること)するためには、事件から 3年以内である必要があ、これを「公訴時効」と言います

犯人が特定できているか否かを問わず、警察も逮捕できないまま 3年が過ぎてしまえば、犯人を罰することができなくなりますので、事件に巻き込まれたらなるべく早くに警察に届け出るようにしましょう

なお、慰謝料請求に関しては、事件から 20年以内で、犯人を知った時点から 3年以内であれば可能ですが、前述の通り民事訴訟で満足のいく結果を得るのは困難なので、時効となる前に逮捕してもらうことが重要です

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参考情報


暴行事件の被害に遭われた方へ - 弁護士ドットコム
被害届の出し方や告訴・告発との違い - 弁護士ドットコム

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