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天ケ瀬ダム ダム 改造方式一覧 バイパストンネルの構築


天ケ瀬ダム ダム 改造方式一覧 バイパストンネルの構築



堤体の構造が頑強なものであれば、堤体自体に手を加えるという選択が可能ですが、コンクリートの厚さが限られているなど、構造上、既存の堤体に穴を開けることが困難な場合、放流施設を増強する手法として、バイパストンネルの構築という手法があり、国交省が愛媛県内で進める鹿野川ダムの改造工事や、同じく国交省が京都府内で進める天ケ瀬ダムの改造工事で採用されている手法が代表例です

ドーム型アーチ式コンクリートダムである天ケ瀬ダムの工事では、堤体自体に穴を開けることが難しい構造の為、バイパストンネルの整備によって、ダムの放流能力を毎秒 840m3から毎秒 1140m3に改善していますが、この場合、水をためたダムの上流側と下流を結ばなければならず、上流側では大水深での仮設工事などが生じてきます


この工事では、バイパストンネル上流側の流入部周辺で、機械のアタッチメントを変更すれば、砕岩や土砂のかき集めなど複数の作業をこなせる優れもの、無人で動く施工機械を活用しています

ダム湖の底は濁っていて、その視界は20cmほどで、ソナーや超音波カメラを使って湖底の状況を把握できるようにし、その情報をもとに、台船上のオペレーターが遠隔操作で機械を動かす仕組みです


京都府宇治市郊外に位置する天ケ瀬ダムの改造工事を進めているところ 京都府宇治市郊外に位置する天ケ瀬ダムの改造工事を進めているところ

既存の堤体をかわして下流に水を放水できるバイパストンネルを建設している

ダム湖内に整備する流入部側にある前庭部の施工を進めていた

豪雨で脚光浴びるダム改造 日経コンストラクション 2016/06/21 」 より



天ケ瀬ダムの改造工事の概要

天ケ瀬ダムの改造工事の概要

(資料:国土交通省)


バイパストンネル部の長さは 617m、流入部などを除いて、山岳トンネル工法の NATM 工法で施工している
最下流の吐口部は、内径が 10.3mあり、水路トンネルとしては、国内最大級




改造 ・ 改良による 既存ダム機能 ・ 有用性向上手法について

新たなダムを建設していくことは、物理的、地理的要因の他に、環境面の問題等もあって、現在の日本国内では、非常に困難なことになってきており、既存のダムを、改造、改良することにより、その機能、有用性を高めていくという手法に注目が集まってきています
経年によるインフラの老朽化が社会的な関心を集めるなか、既存施設をリニューアルして将来も役立てていこうという手法は、社会的理解の獲得という点でも有効です
国が管理するダムを中心に、現在、様々な改造事業が進んでおりますが、ダムの改造は、既存施設を運用しながら工事しなければならないという問題があり、技術的に難度の高い工事となります
その為、一口にダム改造と言っても、その内容、形態には様々な手法が存在、開発されてきています
国交省では、ダムの再開発技術をインフラ海外輸出のツールの一つに位置付けたいとの考えのもと、既に英文パンフレットを作成したり、2国間の防災協働対話などで改造技術のアピールを図ったりしています

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関連記事を下記に紹介します



2016年6月21日

豪雨で脚光浴びるダム改造 日経コンストラクション 2016/06/21


 ダムは「税金の無駄遣い」、「自然破壊」といったレッテルを貼られがちのインフラの代表格と言えるでしょう。構造物を造る箇所は、自然豊かな山間部になりますし、事業期間が長期にわたるので、当初の建設計画と実際に完成に至った時とでは、事業費や利水ニーズなどが大きく変わることが多いからです。
 しかし、ダムの重要性が見直される機運が出始めています。豪雨が多発する半面、降雨が少ない時期が目立ち始めるなど、極端な気象が数多く襲い掛かっているからです。気象庁が示す観測結果では、大雨の観測回数は長期的に上昇トレンドを描いており、今後の予想でも、大雨の発生頻度は増すと見込んでいます。
 豪雨による被害は、ダムだけでは防げません。それでも、ダムが川の流域の安全性を高めている点は、これまで以上に無視できなくなっています。
 このところ、国土交通省はダムの効用を広く伝えようという姿勢を強く打ち出しています。近年の豪雨では、ダムの活用による治水効果を具体的な数字を交えて積極的に公表。その重要性をアピールしています。

豪雨で脚光浴びるダム改造 日経コンストラクション 2016/06/21 」 より


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