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さい帯血 とは 違法さい帯血投与は危険 再生医療学会声明


さい帯血 とは



さい帯血(さいたいけつ Umbilical cord blood)とは、胎児と母体を繋ぐ胎児側の組織であるへその緒(さい帯:さいたい)や胎盤の中に含まれている胎児血液のことで、さい帯血の採取は、出産直後、新生児とさい帯を切り離した後にしか行えない、貴重なものです

さい帯血には、「幹細胞」という、体のさまざまな種類の細胞のもとになる細胞が豊富に含まれており、例えば、赤血球 ・ 白血球 ・ 血小板などの 「血液のもと」 となる造血幹細胞は高い造血能があり、白血病や再生不良性貧血などの難治性血液疾患の治療に用いられています


また、中枢神経 ・ 自己免疫 ・ 虚血性障害などの修復に役立つ可能性を持つ細胞など、多種多様な細胞に分化できる能力を持つ幹細胞を含んでいることから、さい帯血への医学的関心は近年急増し、臨床試験や研究段階にある再生医療 ・ 細胞治療への将来的な応用も期待されています




国の審査で認められた 正式な治療なのか 確認することが重要



東京都世田谷区にある国立成育医療研究センターでは、白血病や免疫機能が十分に働いていない患者など、毎年、10人前後にさい帯血を投与していますが、さい帯血投与の際には、公的な機関からさい帯血を取り寄せ、液体窒素が入ったタンクで冷凍保管するなど厳密に管理しているということです

他人の細胞を体内に入れた場合、感染症などのリスクもあり、さい帯血投与後も、患者が感染症にかからないよう、無菌室の中で 3週間程度過ごしてもらったり、投与した幹細胞から正常に血液が造られているかや、免疫の機能に異常がないかなどを細かくチェックしているということです




公的バンクと民間バンクの違い



さい帯血の保管先には、公的バンクと民間バンクがあり、公的バンクは寄付によってのみ提供され、そのさい帯血は第三者に提供されるのに対し、民間バンクでは、有償で保管され、そのさい帯血は提供者(新生児)本人とその家族のために利用されます


公的バンク 民間バンク
費用 無償(寄付) 有償
適応症 白血病などの血液疾患 白血病などの血液疾患、再生医療 ・ 細胞治療
対象者 第三者 提供者(新生児)本人とその家族




違法さい帯血投与 11医院に停止命令 患者 100人 2017年6月28日



厚生労働省は、2017年6月28日、国に無届けのまま他人の臍帯(さいたい)血を患者に投与し再生医療を行っていたとして、東京と大阪、福岡の 3都府県にある 11のクリニックに対し、再生医療安全性確保法に基づき、投与の一時停止を緊急に命じたと発表、患者は 100人に上るとみられていますが、2017年6月28日現時点で健康被害の報告はありません

厚生労働省によりますと、さい帯血は血液などの元になる幹細胞を含んでいるため、血液を造る機能を回復させるといった目的で白血病の治療等に利用されていますが、他のがん治療や美容への効果は証明されていないということで、厚生労働省は「がんなどに悩む患者につけ込む形で違法な再生医療が横行しないよう指導を徹底していきたい」としています


厚生労働省によると、情報提供を受けて 2017年5月と 6月、それぞれ立ち入り検査を実施した結果、科学的に効果が証明されていないのに老化対策やがん治療に効果があるとして投与しており、患者に 300万円の治療費を請求していたケースもあり、無届けの理由について「届け出が必要だとは知らなかった」などと釈明する施設が多かったということです


停止命令を受けたのは、下記 11医療機関です

表参道首藤クリニック (東京都渋谷区)
クリニック真健庵 (東京都港区)
赤坂AAクリニック (東京都港区)
六本木ドクターアンディーズクリニック (東京都港区)
東京国際美容クリニック (東京都港区)
アベ・腫瘍内科・クリニック (東京都千代田区)
花岡由美子女性サンテクリニック (東京都練馬区)
品川荏原ライフケアクリニック (東京都品川区)
大阪タワークリニック (大阪市)
恵聖会クリニック心斎橋院 (大阪市)
天神皮ふ科 (福岡市)




違法さい帯血投与は危険 再生医療学会 声明 2017年7月1日



東京や大阪などの民間クリニックが他人のさい帯血を使い無届けの再生医療を行っていた問題で、日本再生医療学会(澤芳樹理事長)は、2017年7月1日、危険性を指摘する緊急声明(下記に全文掲載)を公表し、国民に注意喚起しました

声明では、今回の問題を「極めて遺憾で断固容認できない」と指弾した上で、再生医療安全性確保法で定められた安全性や、有効性を確認する手続きを行わない違法な治療は「効果が得られないだけでなく不要な危険にさらされる可能性がある」と指摘、さい帯血や脂肪細胞など他人の細胞の投与は安易に受けず、事前に適法性のほか、安全性や有効性を十分に確認するよう呼びかけています


厚生労働省は、2017年5~6月、無届けで、がん治療や美容目的で、計 約 100人に他人のさい帯血を投与するという再生医療を行った民間クリニック 12施設に、同法違反で停止命令を出しています



日本再生医療学会より、国民の皆様へのお知らせとお願い 2017年7月1日


厚生労働省は2017年6月28日に、立入検査によって「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、「安全性確保法」という。)に違反することが明らかになったとして、11の医療機関に対して再生医療等の提供の一時停止を命じていたことを発表しました。今回、厚生労働省の立入検査によって、これらの医療機関では安全性確保法が定める審査や届出といった手続が無視され、安全性や有効性が確認されないまま高リスクと分類されている第三者の細胞が患者に移植されていました。

現在の科学的常識に照らせば、他人からの細胞の移植においては、有効性と安全性について慎重に検討する必要があります。そのため安全確保法では、再生医療を行う医療機関に、安全性や有効性を検討するための特別な委員会に治療計画を申請し十分な議論を経て意見を得ることを義務づけています。しかし、今回の法律違反のように、無届で実施されてしまえばその検討が不十分となり、移植を受ける患者は治療効果を得られないだけでなく不必要な危険に晒される可能性があります。治療をご検討中の皆様におかれましては、以下のような行為については、勧められても安易に受けることはせず、事前に適法性と安全性・有効性を十分に確認することをお願いいたします。

1.さい帯血※や脂肪細胞のように、他人から採取した細胞を移植する行為
2.日本再生医療学会の認定医が勤務していない機関での細胞を移植する行為
3.その他、安全性確保法に基づいて実施していることが確認できない行為

もし不安・不明な点がある場合は、かかりつけの医師、あるいはお近くの医療安全支援センターなどにご相談されるなど、新規の治療法を受けるべきかの判断について慎重に検討されることを推奨いたします。

これまで、安全性確保法に違反する行為が再三報告・報道されていますが、この法律は日本の再生医療を安全に実施するために極めて重要な法律です。日本再生医療学会にとってこうした法律違反が行われていることは極めて遺憾であり、断固容認できません。会員に対する教育や周知をこれまで以上に徹底し、再生医療の安全性・有効性を高めていくことを再度表明いたします。また、不誠実な行為を廃し、再生医療という新しい医療を社会とともに構築していけるよう、国民の皆様にもご理解とご協力をいただければ幸いです。

※さい帯血:へその緒(臍帯)に含まれる血液。

一般社団法人日本再生医療学会

日本再生医療学会より、国民の皆様へのお知らせとお願い – 市民のみなさまへ 日本再生医療学会 2017年7月1日 」 より


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参考情報


日本再生医療学会 再生医療の進歩、発展及び育成を図ると共に人類の健康増進と福祉の向上に寄与する
ステムセル研究所 「さい帯血」ってどういうもの?
臍帯血 - Wikipedia

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関連記事

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関連記事を下記に紹介します



2017年7月2日

違法さい帯血投与「危険」…再生医療学会が声明 読売新聞 2017年7月2日 06:04


 東京や大阪などの民間クリニックが他人のさい帯血を使い無届けの再生医療を行っていた問題で、日本再生医療学会(澤芳樹理事長)は1日、危険性を指摘する緊急声明を公表し、国民に注意喚起した。
 声明では、今回の問題を「極めて遺憾で断固容認できない」と指弾した。そのうえで、再生医療安全性確保法で定められた安全性や、有効性を確認する手続きを行わない違法な治療は「効果が得られないだけでなく不要な危険にさらされる可能性がある」と訴えた。
 さらに、さい帯血や脂肪細胞など他人の細胞の投与は安易に受けず、事前に適法性のほか、安全性や有効性を十分に確認するよう呼びかけた。
 厚生労働省は今年5〜6月、無届けの再生医療を行った民間クリニック12施設に、同法違反で停止命令を出した。各クリニックでは、がん治療や美容目的で計約100人に他人のさい帯血を投与した。


2017年6月30日

臍帯血バンクの実態調査を開始 厚労省、無届け問題受け 朝日新聞 06月30日 11:16


 東京や大阪、福岡のクリニックで、他人の臍帯血(さいたいけつ)を無届けで患者に移植する治療をしていた問題を受け、塩崎恭久厚生労働相は30日の閣議後会見で、臍帯血の民間バンクの実態調査を始めたことを明らかにした。
 臍帯血バンクには、善意で提供されて白血病などの治療に役立てる公的なものと、提供者自身や家族のため自己負担で民間企業が保管する民間バンクがある。
 厚労省によると、無届け治療では経営破綻(はたん)した民間バンクから流出した臍帯血が使われていたとみられる。民間バンクは2012年時点で全国に4カ所あり、現在2カ所あるという。厚労省は全国の産科婦人科がある医療機関にアンケートをし、ほかにも民間バンクがあるかを調べる。
 また5、6月に、臍帯血移植の再生医療を一時停止する緊急命令を出した12カ所のクリニックについて、厚労省は再生医療安全性確保法違反の疑いで刑事告発することを検討している。


2017年6月29日

さい帯血の無届け投与横行「再生医療の信頼揺らぐ」…専門医師ら危機感 (ヨミドクター(読売新聞) 06月29日 10:28


 無届けのさい帯血投与が横行している実態が明らかになり、日本再生医療学会の澤芳樹理事長は、「ルールを守らない医療機関がこれほどあったとは衝撃的だ。
 再生医療全体への信頼を揺るがしかねない深刻な事態。一般にも、制度の周知や自由診療への注意喚起を強化する」と危機感を募らせた。
 血液がんの治療で、昨年6月にさい帯血移植を受けたNPO法人「がんフォーラム山梨」の若尾直子理事長は、「私が移植を受けた病院では、専門家がさい帯血の安全性や有効性を厳密にチェックしていたが、無届けで投与した民間クリニックが、安全面などを十分に検討していたとは思えない」と疑問を呈した。
 また、難治性がんである膵臓(すいぞう)がん患者の支援団体「パンキャンジャパン」の真島喜幸理事長は、「がん患者は長く生きたいとの希望を胸に治療に向かっている。こうした民間クリニックが未確立の新しい医療に取り組む場合、せめて治療成績の全例を国などに報告させる義務を課すべきではないか」と話した。


2017年6月28日

違法臍帯血、11医院に停止命令=患者100人か、健康被害なし―厚労省 時事通信 06月28日 20:25


 厚生労働省は28日、国に無届けのまま他人の臍帯(さいたい)血を患者に投与し再生医療を行っていたとして、東京と大阪、福岡の3都府県にある11のクリニックに対し、再生医療安全性確保法に基づき、投与の一時停止を緊急に命じたと発表した。患者は100人に上るとみられ、現時点で健康被害の報告はないという。
 厚労省によると、情報提供を受けて5月と6月にそれぞれ立ち入り検査を実施。科学的に効果が証明されていないのに老化対策やがん治療を目的に投与しており、患者から数百万円を得ていたケースもあった。無届けの理由について「届け出が必要だとは知らなかった」などと釈明する施設が多かったという。
 停止命令を受けたのは、表参道首藤クリニック(東京)▽クリニック真健庵(同)▽アベ・腫瘍内科・クリニック(同)▽赤坂AAクリニック(同)▽花岡由美子女性サンテクリニック(同)▽品川荏原ライフケアクリニック(同)▽六本木ドクターアンディーズクリニック(同)▽東京国際美容クリニック(同)▽大阪タワークリニック(大阪)▽恵聖会クリニック心斎橋院(同)▽天神皮ふ科(福岡)。


2017年6月28日

さい帯血を無届けで投与 11医療機関に再生医療の一時停止命令 NHK 06月28日 12:18


 がんの治療や美容に効果があるとうたって、赤ちゃんのへその緒などに含まれる「さい帯血」を、無届けのまま患者に投与する再生医療を行ったとして、厚生労働省は先月から今月にかけて東京や大阪などの11の医療機関に対し、再生医療の一時停止を命じたと発表しました。厚生労働省によりますと、これまでのところ健康被害は確認されていないということです。
 厚生労働省の発表によりますと、先月から今月にかけて再生医療について一時停止の命令を受けたのは、東京、大阪、福岡の合わせて11の医療機関です。
 厚生労働省によりますと、11の医療機関は、赤ちゃんのへその緒や胎盤に含まれる「さい帯血」をがん治療や美容に効果があるとして患者に投与していたということです。
 再生医療安全性確保法では、他人のさい帯血を患者に投与するなどの再生医療を行う場合は、国に計画書を提出したうえで安全性などの審査を受けるよう定めていますが、11の医療機関は届け出をしていなかったということです。
 厚生労働省によりますと、さい帯血は血液などの元になる幹細胞を含んでいるため、白血病の治療に利用されていますが、ほかのがん治療や美容への効果は証明されていないということです。


2017年6月28日

<厚労省>無届けさい帯血投与に停止命令 東京など11施設 毎日新聞 06月28日 11:40


 厚生労働省は28日、他人のさい帯血を投与する医療を無届けで行ったとして、東京と大阪、福岡の11の民間クリニックに対し、再生医療安全性確保法違反に基づき治療を一時停止させる緊急命令を出したと発表した。
 がん治療や美容の「アンチエイジング」などの名目で、患者から百数十万〜数百万円を受け取っていたという。
 へその緒や胎盤に残る他人のさい帯血を使った再生医療を行う場合、治療計画を国に届け出たうえで、国が認定した審査会の確認を得ることが義務付けられているが、これらのクリニックはいずれも届けていなかった。
 同省によると、同法違反による停止命令は2014年の施行以降、4例ある。現時点で、健康被害などの報告はないという。


2017年6月28日

無届けで臍帯血の移植治療 11医療機関に緊急停止命令 朝日新聞 06月28日 10:54


 国への届け出をせずに、他人の臍帯血(さいたいけつ)を移植する再生医療をしていたとして、厚生労働省は28日、東京や大阪、福岡の民間クリニック11カ所に対し、再生医療安全性確保法に基づき、臍帯血移植の再生医療を一時停止する緊急命令を出したと発表した。
 臍帯血はへその緒や胎盤に含まれる血液で、血液細胞の元になる幹細胞が含まれている。同法では、他人の細胞を移植するには、国の認定を受けた委員会で安全管理の体制などの審査を経て、治療計画を国に提出する必要がある。
 厚労省によると、11カ所のクリニックはいずれも無届けで、2015年11月から今年4月にかけて、美容目的のアンチエイジングやがん治療などとして、各クリニックで2〜24人、計約50人の男女に自由診療で他人の臍帯血を移植していた。健康被害の報告は今のところないという。


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