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債務者区分 銀行 融資先企業 財務状況 融資返済状況 勘案


債務者区分 銀行 融資先企業 財務状況 融資返済状況 勘案



銀行は融資先企業毎に、財務状況や融資の返済状況を勘案して変更する債務者区分は、次の 6つの段階で構成されています

1.正常先
2.要注意先
3.要管理先
4.破綻懸念先
5.実質破綻先
6.破綻先

この内、3.要管理先以下がいわゆる「不良債権」に該当し、4.破綻懸念先とは、「経営難で改善が見られず、長期延滞の融資がある企業」のこととされています




シャープ 債務者区分 三菱UFJ銀行 引き下げ みずほ銀行 据え置き 2016年5月19日



2016年5月19日付、日本経済新聞は、メインバンクの「みずほ銀行」、サブバンクの「三菱UFJ銀行」、両行のシャープの債務者区分の変更を次のように報じました

「関係者の話を総合すると、自己査定結果はみずほが『要管理先』、三菱UFJは債務返済の可能性をより低く見る『破綻懸念先』に引き下げたもよう。これに伴い(三菱UFJは)1千億円弱の不良債権処理費用を計上した。一方、みずほは15年3月期までに前倒しでシャープ関連の貸倒引当金を積み、16年3月期は追加費用を計上しないで済ませた」


シャープの2016年3月期連結決算は最終損益が2559億円の赤字(前期は2223億円の赤字)で、主力の液晶パネル事業でスマートフォン(スマホ)向けの中小型パネルが苦戦、在庫の評価損など特別損失が膨らみ、312億円の債務超過に陥っています

東証 1部企業が債務超過になった場合は 2部に降格するというルールに従い、2016年8月1日付で、シャープは 2部に指定替えになりますが、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による 3888億円の出資が完了すれば債務超過は解消できますので、2017年には東証1部への復帰も考えられます



三菱UFJ銀行 シャープの債務者区分を「破綻懸念先」に引き下げ



三菱UFJ銀行はシャープを「破綻懸念先」に引き下げました
この区分だと、新規融資は困難で、さらに、できるだけ早く融資を回収しようとするのが通常です

三菱UFJ銀行のシャープの債務者区分の引き下げは今回が初めてではなく、シャープは 2015年3月期の最終損益が従来予想の黒字から一転、2223億円の赤字に転落、「1年以内の黒字化は難しく、債務超過に陥りかねない」と判断、債務者区分を「要管理先」に引き下げています


三菱UFJ銀行は、それまではシャープの債務者区分を「要注意先」として、貸倒引当金は貸出金の2%(80億円程度)を積んでいただけでしたが、「要管理先」に引き下げたことにより、貸倒引当金を従来比10倍強の1000億円程度(貸出金の28%)にまで積み増しています

この時、シャープの再建に向けて貸出金の一部を株式に振り替える「債務の株式化(DES)」によって1000億円規模の金融支援が行われ、DESを実施した場合、銀行は格付けを強制的に「要管理先」に引き下げることになっていますのえ、みずほもそのようにしています


シャープはDESによって借入金が軽減され、バランスシート上の負債を大幅に減らすことに成功しましたが、それでも再建できず、今回、債務超過に転落したため、三菱UFJ銀行は「破綻懸念先」に債務者区分を引き下げ、1000億円程度の不良債権処理を行いました


三菱UFJ銀行は、鴻海とは一定の距離を置いていますが、鴻海の支援によってシャープの業績が回復すれば、債務者区分をプラスの方向に変更でき、すでに処理したシャープの貸倒引当金が戻入金となり、利益として計上できます

「破綻懸念先」は債権の 7割を貸倒引当としますので、シャープが「要管理先」に格上げになれば、引き当てた1000億円を利益として計上でき、日本銀行のマイナス金利の導入でメガバンクの経営環境は一段と厳しくなっている折、1000億円の“隠し利益”があれば、もしもの時には業績の有力な下支えとなることも計算の内とみられます



みずほ銀行 シャープの債務者区分は「要管理先」に据え置き



シャープは債務超過に転落しましたので、みずほも「破綻懸念先」とするのがセオリーですが、みずほ銀行「要管理先」のまま据え置きとしました

シャープと鴻海の資本提携の先行きをどう見るかで 2つのメガバンクの判断が分かれた形で、みずほ銀行は、鴻海との提携でシャープの再生は可能と判断、対する三菱UFJ銀行は提携失敗の可能性を債務者区分に織り込んだとみられます


三菱UFJ銀行が「破綻懸念先」に格下げしたのは、シャープと資本提携を約束しながら 2013年春に白紙に戻した鴻海への不信感があるためといわれています

一方、みずほ銀行と鴻海が取引を始めたのは 2000年、みずほ銀行の前身の 1つである第一勧業銀行が融資を行っており、規模は小さかったものの鴻海が成長するにつれ、みずほが主幹事となってシンジケートローン(国際協調融資団)を組成したりも、その後もみずほ銀行は鴻海と親密な関係を維持、さらにシャープのメインバンクでもあります


シャープをめぐっては、官民ファンドの産業革新機構と鴻海が激しい争奪戦を演じ、一時は革新機構が有力とみられていましたが最終的に形勢は逆転、この逆転劇には、2016年に入りメインバンクのみずほ銀行が鴻海案を支持する姿勢を鮮明にしたことが大きく影響しており、それにより革新機構から鴻海に流れが変わったとみられています

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関連記事

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関連記事を下記に紹介します



2016年6月13日

シャープ倒産を視野に銀行が「破綻懸念先」区分に…提携失敗との判断か - ビジネスジャーナル 2016年6月13日 6時0分


 シャープの2016年3月期連結決算は最終損益が2559億円の赤字(前期は2223億円の赤字)だった。主力の液晶パネル事業でスマートフォン(スマホ)向けの中小型パネルが苦戦、在庫の評価損など特別損失が膨らみ、312億円の債務超過に陥った。
 東証1部企業が債務超過になった場合は2部に降格するというルールに従い、8月1日付で2部に指定替えになる。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による3888億円の出資が完了すれば債務超過は解消できるので、17年には東証1部への復帰も考えられる。
 シャープ向けの融資の引き当てをめぐり、みずほ銀行と三菱UFJ銀行の主力2行の間で対応が大きく分かれた。両行のシャープ向け貸出金は15年3月末でみずほが3246億円、三菱UFJ が3183億円だった。貸出額に大きな差はないが、メインがみずほで、サブが三菱UFJである。


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