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那覇空港 全長 2700m 第2滑走路増設 建設位置 ・ 規模 決定の経緯


那覇空港 全長 2700m 第2滑走路増設 建設位置の検討


滑走路増設案作成にあたっての前提条件



滑走路長を現調査段階で想定される最大規模の 3000mとし、また、展開用地についてはターミナル地域の50%程度の約50haが必要と想定、効果や影響について比較検討を行いました

平行誘導路の二重化を行うことにより、エプロン前面での出発機と到着機の幅穣を回避し、航空機の円滑な地上走行ルートを確保することが可能となることから、滑走路増設にあたっては、旅客ターミナルピル前面の平行誘導路の二重化を行うことを前提として検討しました


滑走路増設案作成にあたっての前提条件

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より





那覇空港 第2滑走路増設 滑走路増設パターンの作成



滑走路が2本以上ある場合、滑走路の間隔によって管制方式が異なり、発着能力も変わってきます

そこで、管制方式が異なる滑走路間隔として 210m、760m、1310mを基本とし、瀬長島への影響を考慮して瀬長島本体の改変が回避できる最小の滑走路間隔として 930mを加えた 4ケースを設定しました

また、南北方向については、増設滑走路の両端を現滑走路の両端に合わせた場合と、増設滑走路を現滑走路に対して、南側、北側に寄せた場合の3ケースを設定して、計 12の滑走路増設パターンを作成しました



滑走路増設パターン検討範囲図



滑走路増設パターン検討範囲図

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より




滑走路増設パターン図



滑走路増設パターン図

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より



将来対応方策案の選定 滑走路間隔 1310m案 930m案 210m案



作成した 12の滑走路増設パターンを、「日発着回数」、「地上走行距離」、『概算事業費」、『瀬長島への影響」の 4つの指標に基づき比較評価を行い、将来対応方策案を 3案選定しました


滑走路増設 1310m案滑走路増設 930m案
1310m案 930m案

滑走路増設 210m案
210m案

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より





施設規模の検討 滑走路長は 2700m



現在那覇空港に就航あるいは就航予定の機材の中で、最も滑走路長を必要とするのは、国際航空物流ネットワークの主要機材であるB767-300Fであり、当該機材が離着陸するために 2700mの滑走路長が必要との結果が得られました

ターミナル地域については、2030年度の需要に対して、既存敷地内で対応することが可能との結論が得られ、調査段階で検討した展開用地については、現時点では、整備の対象から除きましたが、今後の需要動向を注視しつつ、将来必要に応じて検討する可能性があります

連絡誘導路はターミナル地域との連絡用として1箇所にしました



空港能力の検討



滑走路の運用



滑走路が 2本の場合で、旅客ターミナルビルが片側に配置される場合は、旅客ターミナルビルに近い側を離陸専用、遠い側を着陸専用とするのが一般的です

そのため、現滑走路を出発、増設滑走路を到着に分離した運用方法を設定しました

滑走路の運用 南向き発着運用滑走路の運用 北向き発着運用
             滑走路の運用 凡例

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より




滑走路処理要領の算出



那覇空港の現状の飛行経路を前提とした場合は、滑走路間隔 760m以上の空港の能力は 1310m案、930m案と同じ値になります


区分 時間最大値 (回/時) 日発着回数 (回/日)
1310案 42 509
930案 42 509
210案 36 415
現滑走路のみ 33 370~380



年平均日発着回数


年平均日発着回数

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より



空港能力の見極めに必要な年平均日発着回数を、需要予測から得られた民間航空機の日発着回数に、自衛隊機等の現状の平均的な1日あたりの発着回数(84固)を加えて求めました

滑走路処理容量と年平均日発着回数とを比較した結果、1310m案、及び、930m案は、2030年度までの需要に対応可能ですが、210m案は、2030年度までの需要に対応できない可能性があることがわかりました

※.空港計画では完成後5年程度の需要に対する施設、10年程度の需要に対する用地について、需要予測に基づき決定することとなっていますので、今回の検討にあたっては需要予測は2030年度までを対象としました





滑走路増設案 配置検討 滑走路間隔 1310m案 930m案



地元自治体からは、瀬長島の改変に対する反対や、大嶺崎にある拝所等への配慮を求める要望 ・ 要請等が出されており、特に、瀬長島の改変については、豊見城市、及び、同市議会から、容認できない旨の声明、決議が出されており、事業を実施する上で、地元の協力は必要不可欠であり、検討にあたっては、地元の意見等についても十分留意する必要があります

これらを踏まえ、技術検討委員会において瀬長島の改変が生じる 210m案を検討の対象から除く方針が示されたことから、210m案を除く 2案を基本に検討を行い、また、調査段階では、瀬長島に改変が生じない最小の滑走路間隔として 930m案としていましたが、構想段階では、施設規模等の変更に伴い精査した結果、最小滑走路間隔は 850mとなりました


滑走路増設案の作成にあたっては、滑走路間隔 1310m、850mについて、事業費や工期が安価で短〈、砂質干潟生態系への影響が小さい増設A案(滑走路間隔 1310m)と、地上走行距離が短く、サンゴや藻場への影響が小さい増設B案(滑走路間隔 850m)の2つの滑走路増設案を作成しました

注.航空保安業務処理規定では、同時離着陸を行うためには、滑走路の中心線の間隔が 760m以上、同時離着陸、及び、同時着陸を行うためには滑走路の中心線の間隔が 1310m以上分離していることが必要とされています



増設A案(滑走路間隔 1310m)


増設B案(滑走路間隔 850m)

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より



増設A案 (滑走路間隔 1310m) 増設B案 (滑走路間隔 850m)
空港能力 2030年度までの需要に対応可能
ピーク時の最大発着可能回数 : 42回/時
日発着回数 : 509回/日
2030年度までの需要に対応可能
ピーク時の最大発着可能回数 : 42回/時
日発着回数 : 509回/日
概算工期 概算工期 約 7年
(増設B案に比べ需要増加への対応が早期に可能)
概算工期 約 8年
旅客利便性 ほとんどの便で比較的容易に予約できる
(2030年夏季ピーク月座席利用率68%)
ほとんどの便で比較的容易に予約できる
(2030年夏季ピーク月座席利用率68%)
航空事業者
利便性
地上走行距離制 約 3,000m
地上走行時間平均時速 30kmで試算すると 約 6分
地上走行距離制 約 2,lOOm
(地上走行距離は、増設A案に比べ短い)
地上走行時間平均時速 30kmで試算すると 約 4分
概算事業費 概算事業費 約 1,900億円
(増設B案に比べ安価)
概算事業費 約 2,000億円
社会経済
効率性
社会経済効率性は高い
純現在価値 6.000億円 / 費用便益比 4.9 / 経済的内部収益率 14.0%
社会経済効率性は高い
純現在価値 5,700億円 / 費用便益比 4.6 / 経済的内部収益率 12.9%
地域振興 滑走路増設に伴う経済波及効果 約 880億円 滑走路増設に伴う経済波及効果 約 880億円
安全 l本の滑走路が閉鎖された場合でも運用が可能 1本の滑走路が閉鎖された場合でも運用が可能
自然環境 埋立面積 約 150ha
サンゴ礁生態系や礁池生態系への直接的影響は、約 45ha(消失率 7%)、約l 105ha(消失率 20%)と培設B案に比べ大きいが、砂質干潟生態系への影響は 1ha(消失率 1%)と小さい
増設滑走路内側の閉鎖性海域は、砂質化や砂 ・ 泥分の堆積等、底質環境の変化が懸念されるが、通水性を確保することにより、底質環境の変化域は小さく仰えることが可能となると考えられる
埋立面積 約 130ha
岸寄りに配置されることにより、生物の生息場であるサンゴや藻場への直接的影響は、約 20ha(消失率 4%)、及び、約 4ha(消失率 9%)と増設A案に比べ小さいが、礁池生態系や砂質干潟生態系への影響は 約 95ha(消失率 18%)、及び、約 15ha(消失率 17%)と大きい
泊設滑走路内側の閉鎖性海域は、砂質化や砂 ・ 泥分の堆積等、底質環境の変化が懸念される
社会環境 騒音については、沖側に滑走路を配置することから、第1種区域指定の基準であるWECPNL75の範囲が現在の指定区域よりも海側に位置し、陸域に係る影響は改善されるものと考えられる
瀬長島及び大嶺崎周辺区域への改変は生じない
埋立材については 約 1,000万m3必要
騒音については、沖側に滑走路を回置することから、第1種区域指定の基準であるWECPNL75の範囲が現在の指定区域よりも海側に位置し、陸域に係る影響は改善されるものと考えられる
瀬長島の改変は生じないが、大嶺崎周辺区域は、滑走路配置に伴い、拝所 1ヵ所と部落跡の一部に改変が生じる
埋立材については 約 1,300万m3必要
長期展望 新たな航空ニーズ等将来への対応策としては、ターミナル地域をそれぞれの滑走路側に配置することが可能であることから、空港能力の向上のみならず、運用面や利便性の向上を最大限図ることができる 新たな航空ニーズ等将来への対応策としては、ターミナル地媛を滑走路聞に配置することは可能であることから、空港能力の向上のみならず、運用面や利便性の向上を図ることができる
総合評価 技術面 技術面
空港能力としては、2030年度までの需要に対応でき、工期が短い
事業費は、増設B案に比ベ安価
一方、滑走路間隔が大きいことから、地上走行距離は、増設B案に比べ長い
空港能力としては、2030年度までの需要に対応可能である
滑走路の一部が水深の深いところに毘置されることから事業費は増設A案に比べ高価である
地上走行距離は、増設A案に比べ短い
環境面 環境面
サンゴ礁生態系への直嬢的影響は大きいが、サンゴ着生促進等、他事例で実績のある方策の導入により、影響低減の可能性がある
閉鎖性海域内の底質環境の変化は、通水性の確保により小さく抑えることが可能と考えられる
瀬長島、及び、大嶺崎周辺区域への改変は生じない
サンゴや藻場への直接的影響は小さいが、砂質干潟生態系への直接的影響が生じる
また、保全対策として、干潟の造成が考えられるが、大規模な干潟造成は難しいと考えられる
閉鎖性海域内の底質環境変化に伴う大嶺崎南側の砂質干潟生態系への影響が懸念される
大嶺崎周辺区域の改変が生じる




滑走路増設案の選定 増設A案(滑走路間隔 1310m)



滑走路増設A案(滑走路間隔 1310m)、滑走路増設B案について、意見募集の結果、増設案工期や事業費、自然環境、社会環境等の観点から、増設A案を求める意見が多数寄せられ、また、那覇空港近隣市等の行政機関等からも、安全、生活環境への配慮の観点から、1310m以上の沖合への整備を求める意見が出されています

那覇空港構想 ・ 施設計画検討協議会では、これらを総合的に勘案、那覇空港の滑定路増設案を、増設A案(滑走路間隔 1310m)とし、今後具体の施設配置検討を行うことが適切であると判断しました



構想段潜で選定された滑定路増設案 及び 現ターミナル地域整備基本計画図



構想段潜で選定された滑定路増設案 及び 現ターミナル地域整備基本計画図

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より




空港施設用地幅 (離着陸地域)



空港施設用地幅 (離着陸地域)

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より



滑走路位置 現滑走路から1310m沖合
長さ
滑走路 2700m 60m
着陸帯 2820m 300m
過走帯 60m 60m
滑走路端安全区婿 240m 300m



誘導路


誘導路

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より



滑走路と平行誘導路の間隔 190m
平行誘導路の幅 30m
誘導路帯(誘導路中心より) 55m
取付誘導路幅 (末端) 32m
(中間) 34m
高速脱出誘導路 (大・中型ジェット機用) 滑走路端から1800m
(小型ジェット機用) 滑走路蛸から1500



連絡誘導路



連絡誘導路

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より



現滑走路と増設滑走路の間を結ぶ連絡誘導路の配置計画にあたっては、西側施設に影響を与えない範囲で、地上走行性に配慮した増設滑走路の末端取付誘導路と接続すると共に、現ターミナル地域との円滑な接続も確保する必要があることから、第1エプロン誘導経路の延長線上の位置とします



滑走路増設 施設計画図



施設計画図

那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月 」 より



概算事業費 約 1,900億円
増設滑走路及び連絡誘導路 1式 約 1,800億円
管理施設 1式 約 100億円

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那覇空港拡張整備促進連盟 那覇空港プロジェクト 総合的な調査
那覇空港プロジェクト<内閣府沖縄総合事務局>
那覇空港プロジェクト―那覇空港の概要
那覇空港 滑走路増設に関する経緯について 総合的な調査及び構想・施設計画段階のとりまとめ 平成21年8月
参考資料1 那覇空港滑走路増設案に関する施設計画段階レポート
日本の空の南玄関 那覇空港 2013年
福岡空港滑走路増設に係る環境影響評価書(要約書)
国土交通省
国土交通省 リンク 著作権 免責事項 (商用利用可)
那覇空港 - Wikipedia

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関連記事

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関連記事を下記に紹介します



2017年8月22日

那覇空港の着陸回数、10年前の1・4倍 右肩上がり、進む過密運用 16年度は8万回突破 琉球新報 08月22日 07:30


 国土交通省大阪航空局によると、民間機のほか自衛隊機も含めた那覇空港(沖縄県那覇市)への着陸回数が、2016年度は前年度比5・7%増の8万3189回(速報値)となり、初めて年間8万回台に突入した。那覇空港の着陸回数は右肩上がりで増加しており、滑走路の使用状況は10年前(06年)の5万9409回に比べて1・4倍になっている。
 離陸も含めると年間16万6千回以上の離着陸回数となり、那覇空港の1本滑走路で航空機が円滑に発着できる能力(滑走路処理容量)とされる年間13万5千回を上回る過密運用が進んでいる。
 1本滑走路の空港として福岡空港に次いで過密な那覇空港では、2020年3月末の供用開始を目指して第2滑走路の建設が進められている。ただ、2本目の滑走路が完成した後の滑走路処理容量は年間18万5千回(回転翼機、深夜発着機は含まず)と試算され、現状の離着陸回数の1・11倍にとどまる。発着増の対策として、経済界からは旅客ターミナルの新設移転を求める声が上がっている。


2015年3月3日

那覇空港に滑走路増設 課題解消へ、2000億円投資 日本経済新聞 2015/3/3 7:00


 少子高齢化や財政難を抱える日本国内では、費用対効果の側面から存在意義を問われている地方の空港が少なくない。そんななか、1993億円もの大規模投資に踏み切った地方の空港がある。那覇空港だ。既設滑走路の約1.3km沖合側に並行して長さ2700mの滑走路を新設する。着工前の事業評価では、投資額と同等の金額の純便益を見込んでいる。
 既に海上での工事は始まっており、2014年度は仮設桟橋やケーソン(防波堤などに使われるコンクリート、または鋼鉄製の大型の箱)を用いた護岸などの建設を進めた。東京五輪開催直前の2020年3月の供用開始を目指す。
 課題抱える1本のみの滑走路
 他の地域との陸上輸送に頼れない沖縄県において、空港は産業と生活を支える生命線だ。にもかかわらず、県内の拠点空港である那覇空港が持つ滑走路は1本だけ。昼間の時間当たり滑走路処理容量は、能力をほぼいっぱいまで使っていた。年間発着回数は、格安航空会社(LCC)の相次ぐ就航といった追い風で増加基調が続き、滑走路の増設ニーズは大きかった。


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