羽田空港 (東京国際空港) 第5 E滑走路増設 工事計画詳細 |
羽田空港 (東京国際空港) 第5 E滑走路増設 工事計画詳細羽田空港 (東京国際空港)では、5本目となる第 5滑走路(E滑走路)の増設が検討されており、最も有力と考えられているのが、現在の C滑走路の沖合に平行して、3000m級の E滑走路を建設するというものになります また、C滑走路に平行して E滑走路を建設するにあたっても、その C滑走路との滑走路中心線間の距離が重要な要素としてあげられ、一般的に、充分な距離を空けてオープンパラレルで建設すると、それぞれの滑走路が独立運用でき、距離の狭いクローズパラレルより、その発着能力が飛躍的に高まります ただし、羽田空港においては、C滑走路の沖に、重要航路である東京航路が通っており、地理的に大きな制約を受け、羽田空港における最も優れた方式が必ずしもオープンパラレルとも言えない状況があります 羽田空港 (東京国際空港) 第5 E滑走路増設 埋立工法の検討埋立工法では大量の埋立材料の確保、埋立後の沈下管理、第一航路に近接することによる作業船の配置ス ペースの制約、さらにはCラン沖合に整備されている浅場の移設などから施工スピードに一定の制約が生じ ます このような技術課題に対し、D滑走路建設の実績等これまで蓄積してきた高度技術 ・ ノウハウを活かし、現時点で考えられる空港用地平面レイアウト案 ・ 断面案等の設定、および、各工種の施工検討等を踏まえて、技術課題の解決策、供用開始に必要な工期などの検討が行われています 羽田空港 (東京国際空港) 第5 E滑走路増設 工事計画詳細 クローズパラレル案
羽田空港 第5 E滑走路増設 工事計画詳細 クローズパラレル案 空港用地レイアウト設定クローズパラレル案は、C滑走路との離隔が760m と小さく、c滑走路、および、E滑走路の離発着が、相互に制約を受ける案となります オープンパラレルと比べ、第一航路との離隔が大きいので、滑走路天端高は低く抑えることができ(A.P.+13.6m ~+7.0m)、さらに、再拡張エリアの面積は 約 290ha であり、水深の浅いエリアの埋立となるので、施工数量が少ないため、施工期間は短く、工費も安くなる案です 平面計画、および、天端高は以下の方針で設定
羽田空港 第5 E滑走路増設 工事計画詳細 クローズパラレル案 浅場消滅問題
C滑走路沖側に延長 約 7km、造成面積 250ha の浅場が造成されていますが、既存浅場の一部は拡張事業の範囲内にあり、拡張事業により延長 約 4km、面積 約 140ha の浅場が消失することになります 原則、埋立により消滅する既存浅場は、それと同等の機能を有する新設浅場を工事区域内に設置するものとしています 浅場移設海域は、基本的に第一航路や小型船航路を侵さない範囲で、水深が比較的浅い箇所が適しており、上図に示す TYPE-A1、B2 護岸は、水深が -7m、-11m と比較的浅いですが、TYPE-C 護岸は -15m と深く、また、TYPE-D、E 護岸は、閉鎖海域状態に近く、環境面で問題があります その為、浅場移設海域は、TYPE-A1、B2 傾斜堤護岸の前面部を選定し、また、浅場断面は、既存浅場と同一断面で復旧するものとしています 羽田空港 第5 E滑走路増設 工事計画詳細 クローズパラレル案 構造設定E滑走路護岸に用いる護岸形式は、D滑走路護岸で実績のある傾斜堤を主体とし、構造の特徴としては、以下の様になります
羽田空港 第5 E滑走路増設 工事計画詳細 クローズパラレル案 施工検討以下の前提条件で施工方法の検討および工期 ・ 工費の算出を行っています
クローズパラレル案の施工展開 「 羽田空港第五(E)滑走路増設 に関する研究報告 - 日本埋立浚渫協会 」 より 緩傾斜堤護岸の標準断面 「 羽田空港第五(E)滑走路増設 に関する研究報告 - 日本埋立浚渫協会 」 より
具体的には、浅場撤去材は仮置きではなく、直接埋立材として再利用し、新設浅場には購入材を使用、また、新設浅場は空港島の埋立がほぼ完了してから造成するものとし、一時的(数年間)に浅場の消滅を許容する計画としています その結果として、クローズパラレル案ではフライトチェック(6ヵ月)を含めると工期 6.3 年で E滑走路供用開始となり、フライトチェックを舗装工と同時並行に行えば、E滑走路供用開始まで実質 5.8 年で完了できる見込みです 羽田空港 第5 E滑走路増設 工事計画詳細 クローズパラレル案 D滑走路建設工事との比較クローズパラレルの場合、E滑走路の埋立面積は D滑走路の 約 3 倍になりますが、平均水深が D滑走路より浅く、空港島の平均天端高も低いことから、埋立土量は 約 1.7 倍となり、その結果、この比率が工期に反映されて、3.5 年で完成した D滑走路に対し、E滑走路は 5.8 年で完成見込みとなりました
一方、工費は D滑走路が埋立 ・ 桟橋複合構造であったのに対し、E滑走路は全埋立構造なので、クローズパラレル案では D滑走路より安価(約 0.8倍)にできるとの見込みとなり、比較的安いコストで広大な土地を造成できる点が埋立工法の最大の長所で、その広大な土地は、E滑走路等基本施設だけではなく、駐機場やターミナル用地として活用可能です ただし、課題として、主に以下が挙げられています
なお、本検討は構造形式や施工方法 ・ 能力等は D滑走路工事の実績を準用しており、詳細な検討は行っておらず、将来の事業化に際しては、資材供給、船舶機械の調達 ・ 配置 ・ 待機、浅場消滅問題等、克服すべき 課題があります 羽田空港 (東京国際空港) 第5 E滑走路増設 工事計画詳細 オープンパラレル案
羽田空港 (東京国際空港) 第5 E滑走路増設 オープンパラレル案 検討結果C滑走路から 1,310m 離隔するオープンパラレル案は、C滑走路から 760m 離隔するクローズパラレル案に比べ施工数量が多く、また、D滑走路と交差するため、施工の負荷が高く、技術的課題も多い為、当初 2010年度(平成 22年度)~2011年度(平成 23年度)はオープンパラレル案を検討対象としていましたが、工期が 10 年超、工費も膨大なものとなることが分かりました 羽田空港 (東京国際空港) 第5 E滑走路増設 オープンパラレル案 検討結果まとめ ・ 工期10 年超を短縮する必要がある ・ D、E滑走路が交差しているので、利用上の制約が大きい ・ クローズパラレル案は工期、工費の面で有利となる 以上から、2012年度(平成 24年度) ~2013年度(平成 25年度)では、主に工期短縮を目的として、クローズパラレル案の検討を詳細に行っています |