首都高速 都心環状線 日本橋 付近 地下化 (延長 1.8km) ルート決定
国指定重要文化財「日本橋」(東京都中央区)の上空をまたぐ首都高速道路 都心環状線の地下化について、既存の首都高八重洲線を 500mほど活用、新たにトンネルを建設する区間を
1.2kmに抑えたルートが決定、2020年の東京五輪後に着工する予定となりました
地下化するのは、日本橋川の真上を高架橋が並走する都心環状線の江戸橋ジャンクション(JCT)-神田橋JCT間の 1.8kmで、箱崎JCT方面から伸びる首都高向島線が江戸橋JCT付近で地下に潜り、日本橋の直下をくぐって八重洲線のトンネル部分に接続、八重洲線トンネルを通って高架の神田橋JCTにつながるルートになり、「日本橋」の上空をまたいでいる既存の江戸橋JCTから神田橋JCTまでの高架橋は撤去されます
オレンジ色が首都高の地下化ルート、赤色が既存の首都高、白抜きが撤去する高架橋
八重洲線との接続部には新たにジャンクションを設ける
(国土交通省の資料に日経コンストラクションが追記) 「 日本橋の首都高地下化ルート決定、八重洲線のトンネル活用 日経 xTECH(クロステック) 2018/05/24 」 より
上は神田橋ジャンクション付近の断面図、下は八重洲線と地下化ルートの接続部付近の断面図
新たにトンネルを掘るスペースは残されていないため、八重洲線のトンネルを活用する (資料:国土交通省)
上は日本橋付近の断面図、下は江戸橋ジャンクション付近の断面図
向島線は江戸橋ジャンクションの手前で日本橋川の左岸側に潜った後、基礎杭が無く地下にスペースが残されている日本橋の直下を通って右岸側に抜ける (資料:国土交通省)
新たに建設するトンネルは、江戸橋JCT付近で地下に入った後、都営浅草線の上を通ってから東京メトロ銀座線の下をくぐり、さらに半蔵門線の上を進みますが、いずれも交差するトンネル同士の間隔は数メートルしかありません
そのほか、東京電力の地下管路や水道管といった様々な施設が埋まっており、新たにトンネルを掘るスペースはほとんど残されておらず、「限られた区間を縫うように」(国交省道路経済調査室)してルートを検討したため、これ以外のルートは対象に上らなかったということです
江戸橋JCT 都心環状線から切り離し 呉服橋、江戸橋両出入り口廃止
首都高速の 日本橋 付近の地下化に伴い、首都高速 都心環状線についても、首都高速 八重洲線を竹橋方面と汐留方面の接続に用いる為、首都高速 八重洲線が都心環状線に組み入れられ、江戸橋JCTは新たに設ける地下ルートと接続せず、汐留方面と首都高上野線や向島線を接続する機能のみを残し都心環状線から切り離される為、同時に江戸橋JCT付近の渋滞解消も図られます
ただし、現状、八重洲線は大型車が通行できない区間が含まれますので、国土交通省では、都心環状線を通る大型車の通行ルートをどのように確保するかについて、今後の検討課題としています
現在、江戸橋JCTでは都心環状線のほかに向島線など 4つの路線が連結され、中央環状線や東京外かく環状道路(外環道)から都心を行き来する車両が多く流入、上下線を合わせた
1日の交通量が 10万台を超え、日常的に渋滞する交通のボトルネックになっています
都心環状線の利用者を比較的交通量の少ない八重洲線に振り向けることで、混雑緩和を図ります
また、呉服橋、江戸橋両出入り口は廃止となります
首都高速 都心環状線 竹橋-江戸橋間 (延長2.9km) 地下化 ルート検討 2017年11月1日
首都高地下化の対象は、竹橋ジャンクション(JCT)-江戸橋JCT間(2.9km)のうち、周辺で市街地再開発事業が進む中央区内の区間を想定、再開発事業で造る建築物と道路との一体的な整備も視野に、2020年の東京五輪・パラリンピック閉幕後の着工を目指し、数千億円規模の事業費が見込まれています
具体的な線形や構造、対象区間、事業費などは今後、国と都と首都高の間で詰めていくことになりますが、「計画の策定と工事の実施を含めると、10年から20年単位のビッグプロジェクトになる」(小池東京都知事)と言われています
国土交通省は、2017年11月1日、東京都中央区の日本橋を覆う首都高速道路の地下化に向けて、国土交通省の幹部職員などで構成する「首都高日本橋地下化検討会」(座長:森昌文・国土交通省技監)を設置、同日に初会合を開き、具体的な区間やルートの検討に着手しました
「首都高日本橋地下化検討会」は、首都高都心環状線竹橋-江戸橋間(延長2.9km)のうち、地下化する区間やそのルート案を 2018年春頃に、概算事業費や事業の進め方などの案を来年夏頃に提示する予定で、着工時期や完成などの予定時期は示されませんでした
座長以外は国交省から都市、水管理・国土保全、道路、住宅の各局長、東京都から 2人、中央区から 1人、首都高速道路会社から 1人が検討会に参加、学識者や民間人のメンバーは参加していません
地下化と連携する日本橋付近の民間の再開発は、地元自治体である中央区を介して検討に反映するとしています
日本橋上空の首都高地下化の構想は、過去度々浮上するも遅々として進んでいませんでしたが、首都高の老朽化に伴う大規模更新計画が具体化したことに加え、周辺の街づくりの機運が高まり、地元の協力を得やすい環境が整ってきたことを背景にようやく動き出したような感じです
(上図) 首都高地下化の対象区間のイメージ 上右図の「国家戦略特区都市再生プロジェクト地区」や「まちづくりの検討が進んでいる地区」の付近を中心に地下化するとみられる (資料:東京都)
(下図) 日本橋を覆う首都高の地下の既存インフラ (資料:国土交通省)
首都高 竹橋-江戸橋間 (延長2.9km) 地下化の際には、交通量が 1日 約 10万台(竹橋JCT-江戸橋JCT間)に上る既存の高架道路を使用しながら、周辺の地下でトンネル工事などを進めることが想定されており、地上の作業用地や地下の掘削空間の確保が不可欠で、周辺の再開発事業と一体的に工事を進められれば、作業効率の向上やコスト削減などを見込めます
日本橋みち会議が提案した「浅い地下」のルート 同会議の資料を基に日経コンストラクションが作成 「 日本橋を覆う首都高の地下化 「3度目の正直」となるか 日経コンストラクション 2017/07/25 」 より
小泉純一郎元首相の私的諮問機関「日本橋川に空を取り戻す会(日本橋みち会議)」が 2006年に発表した、具体案を盛り込んだ報告書では、地下移設工事の想定ルートが、現在の再開発事業計画エリアより北側にあるため、国交省では、「当時の提案をそのまま実施することにはならないが、地下化のルートを地下鉄の上部にする『浅い地下』案は参考になる」(国交省道路経済調査室)としています |
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