神戸市長田 女児 殺害事件 男性(49) 無期に減刑 大阪高裁 2017年3月10日
兵庫県神戸市長田区で、2014年9月11日、小学 1年の女児(当時 6)が殺害された事件で、殺人とわいせつ目的誘拐、死体損壊 ・ 遺棄の罪に問われた、男性(50)(無職)の控訴審判決が、2017年3月10日、行われ、大阪高裁
樋口裕晃裁判長は、「計画性がないことは重視すべきで、生命軽視の態度が甚だしく顕著とは言えない」と述べ、死刑とした一審神戸地裁の裁判員裁判判決を破棄、無期懲役を言い渡しました
殺害された被害者が 1人で、裁判員裁判の死刑判決が覆されたのは、これで 3件目で、過去 2件は強盗殺人、いずれも東京高裁が死刑を破棄して無期懲役とし、最高裁で確定しています
一審判決は、動機の身勝手さや殺害方法の残虐性を挙げ、生命軽視の姿勢が甚だしいとして、被害者 1人でも死刑が許容されると判断しましたが、大阪高裁 樋口裁判長は、わいせつ目的で誘拐したことが認定しましたが、発覚を免れるため殺害したことは、「非難を格段に高めるとは言えない」とし、殺害方法について「残虐性が極めて高いとした判断に賛同できない」と述べ、さらに、「声を掛けた時点で殺害を具体的に計画していたとは言えない」とし、非難の程度は弱まり、死刑が許容されるとは言えないと結論付けました
裁判員裁判の量刑判断を覆したことについては、「尊重すべきだが是正せざるを得ず、制度の趣旨を損なうものではない」と付言しています
大阪高裁 判決によると、男性(50)は、2014年9月11日、兵庫県神戸市長田区の路上で「絵のモデルになってほしい」と女児に声を掛け、わいせつ目的で誘拐、同区の自宅アパートで首をロープで絞め、包丁で刺し殺害し、遺体を切断して自宅近くの草むらに遺棄しています
神戸市長田 女児 殺害事件 男性(49) 死刑判決 2016年3月18日
兵庫県神戸市長田区で、2014年9月11日、小学 1年の女児(当時 6)が殺害された事件で、殺人とわいせつ目的誘拐、死体損壊 ・ 遺棄の罪に問われた、男性(49)(無職)の裁判員裁判判決公判が、2016年3月18日、神戸地裁で行われ、佐茂(さも)剛裁判長は、「生命軽視の姿勢は顕著であり、性的欲望を満たすために生命を奪っている点から、その身勝手さは他に多くの例はない。殺害方法も残虐」などとして求刑通り死刑を言い渡しました
判決などによると、男性(49)は、2014年9月11日午後3時半頃、自宅アパート近くの路上で、小学 1年女児(6)に、「絵のモデルになってほしい」と声を掛けて自宅に誘い入れ、ロープで首を絞めるなどして殺害。同月(2014年9月)16日頃までに、遺体を複数のビニール袋に入れて自宅近くの雑木林などに投棄しました
男性(49)は、公判で、小学 1年女児(6)の殺害などを認める一方、わいせつ行為の有無についての問いには、「記憶がない」を繰り返し、弁護側の、「話し相手になってほしかっただけ」で、誘拐はわいせつ目的でなかったとの主張に対して、神戸地裁は、「話をするだけのために、人間関係のない女児をわざわざ自宅に招き入れたというのは不自然」と退け、わいせつ目的誘拐と認定しました
判決では、殺害手段の残虐性や執拗(しつよう)さなどにも触れ、「偶発的な犯行とはいえず、殺意は極めて強固」と指摘、今回と同じ被害者 1人の死刑判決とも比較し、「生命軽視の姿勢が甚だしく顕著である場合、死刑選択はありえる」と説明、「女児を性的欲望の対象にして生命を奪い、遺体をないがしろにした極めて悪質な犯行」と述べ、さらに、被害者参加制度で出廷し、極刑を求めた遺族の処罰感情や、地域住民に与えた不安なども挙げ、「死刑を回避すべき事情は見当たらない」と述べています
2009年の裁判員裁判制度導入以降、全国で 27人目、被害者 1人の場合では 4人目となる死刑判決で、弁護側は、「意見を受け入れられなかった。高裁の判断を仰ぎたい」として即日控訴しました
被害者 1人の場合の死刑判決について
死刑適用は、1983年の最高裁判決で、「永山基準」と呼ばれる死刑の適用基準を示し、動機や殺害手段、結果の重大性などを総合的に考慮するべきとしていますが、その後の傾向としては、被害者の数が最も重視され、被害者が
1人の場合、身代金目的などを除けば死刑を避ける判決が目立ちます
山口県光市、母子殺害事件では、被害者は母子 2人でしたが、2012年の最高裁判決で、「死刑回避を相当とするような特に有利にくむべき事情」がなければ死刑を科すとの判断が確定、犯罪被害者保護法の制定を受け、遺族らの感情を重視する傾向も強まってきています
男性(49)の量刑判断で裁判員らは、動機や殺害行為などから死刑に問えるのかを検討した結果、「性的欲求を満たすためで(殺害方法には)執よう性も認められる。生命軽視は顕著」などとして死刑に当たると判断しました
2009年に裁判員裁判が始まって以降、1人殺害で死刑判決を受けたのは君野被告の他に 3人で、控訴を取り下げた 1人を以外は、一般市民の裁判員が不在の、職業裁判官だけで裁く高裁段階で死刑判決が破棄されています
強盗殺人罪などに問われた 2人の事例では、東京高裁は、2013年、いずれも判例との比較から、「前科を重視しすぎ」などとして無期懲役に減刑、最高裁も支持して確定しています
男性(49)の弁護側は、死刑判決を受けて大阪高裁に即日控訴、公判で同種事件との比較から「重くても長期の懲役刑が妥当」と主張しており、市民感覚を取り入れるために導入されたはずの裁判員の選択を、大阪高裁がどのように判断するのか注目されます |
神戸市長田 女児 殺害事件 男性(49) わいせつ誘拐殺人切断 2016年3月11日
兵庫県神戸市長田区で、2014年9月11日、小学 1年の女児(当時 6)が殺害された事件で、殺人とわいせつ目的誘拐、死体損壊 ・ 遺棄の罪に問われた、男性(49)(無職)の裁判員裁判が、2016年3月7日、神戸地裁(佐茂剛裁判長)で行われ、男性(49)は、「わいせつ目的で誘拐した記憶はありませんが、その他の事実には間違いありません」と述べ、わいせつ目的誘拐罪は否認したものの、殺人、死体遺棄、死体損壊の三つの罪は認めました
一方、男性(49)は、小学 1年女児を殺害した動機については、「殺害して、女の子の体に触りたいと思った」などと述べ、殺害や死体損壊に関して、「女の子の体に興味があった。殺害前だと(女児が)叫んでばれると思った」などと説明、殺害状況については、「ロープで思い切り首を絞め、ぐったりした。確実に殺すため包丁で4回刺した」等、小学
1年女児の正面からビニールひもで首を絞め、うつぶせにして包丁で刺したと様子を語り、声を掛けた理由については、「交流サイトを退会させられ、話し相手がいなくてさびしかった」と話しています
起訴状によると、男性(49)は、2014年9月11日午後3時半頃、神戸市長田区名倉町2の路上で、「絵のモデルになってほしい」などと女児に声をかけ、わいせつ目的で近くのアパート自室に誘い込み、首をナイロンテープで絞め、包丁で刺すなどして殺害、2014年9月16日頃までの間に遺体をバラバラに切断、複数のポリ袋に入れ、アパート近くの草むらに捨てたとされます
検察側は冒頭陳述で、君野被告がインターネット上で少女とのチャットが、2014年8月25日に管理者から停止させられたことや、2014年8月26日以降、昼夜を問わずアダルトサイトを視聴していたことを指摘、遺体の損壊状況や、「女児を尾行し、自宅に連れ込むまで会話していないなどわいせつ目的は明白」、「過去に強制わいせつ事件などを起こしており、犯罪傾向は根深く、更生は困難」とし、「従来から被害者が1人でも死刑は相当数ある」「残虐、冷酷極まりない犯行で、生命軽視は甚だしい」と述べ、死刑を求刑しました
また、被害者参加制度を使って出廷した女児の母親は「命をもって償ってほしい」と訴えています
弁護側は、「被告は女児に話し相手になってほしいと思った。当時はアルコール依存症で、犯行は衝動的なものだった」と主張、わいせつ目的ではなく未成年者誘拐にとどまると反論、「偶発的で計画性はなく、懲役
25~30年が相当。わいせつ目的が認められたとしても無期懲役までにすべきだ。被告は反省しており、更生の可能性がある」と主張しています
男性(49)は、事件当時に酒を飲んでいた他、切断遺体が入っていたポリ袋に自分のたばこの吸い殻や通院先の診察券も入っていたなど不自然な点があり、地検は約
3ヶ月間の鑑定留置で精神鑑定を実施、刑事責任能力はあったとして、2015年1月に起訴されました
男性(49)の知人らによると、男性(49)は、高校時代まで鹿児島県の父親の実家で生活、高校卒業後いくつかの職を経て、2008年頃には神戸市へ移り住みましたが、酒に酔って近隣住民とトラブルを起こすこともあり、兵庫区や長田区のアパートを転々としていたということです
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