沖ノ鳥島 経済活動基盤の整備
「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する基本計画」(※1) が、2010年7月23日、閣議決定され、国土交通省は、750億円を投じ、沖ノ鳥島の西側に港湾設備、岸壁、泊地、臨港道路などを建設、輸送や補給等が可能な活動拠点を作ることを決定しました
「沖ノ鳥島及びその周辺海域で活動する船舶による係留、停泊、荷さばき、北小島等への円滑なアクセス等が可能となるよう、沖ノ鳥島西側に特定離島港湾施設(岸壁(延長
160m 水深 -8m)、泊地(水深 -8m)及び臨港道路(附帯施設を含む))を整備する」と定めた この閣議決定(※1)に従って、2011年度、国土交通省は、130m級の大型海底調査船も停泊可能な沖ノ鳥島特定離島港湾の建設に着手、港湾整備は、2016年度の完成を目指していましたが、2015年5月1日現在、その完成時期は明示されていません
経済的な活動拠点が完成すれば事実上の有人島となり、「同島では経済的生活の維持ができない」とする島の地位に関する批判を退けることもでき、国土交通省は、「輸入頼みの資源を自前で開発する拠点。経済的な安全保障につながる」と説明しています
沖ノ鳥島 特定離島港湾施設整備事業の概要
事業着手 |
2011 (平成23) 年度 |
事業内容 |
係留施設(延長160m、水深8m)荷さばき施設、泊地(水深8m)、臨港道路等 |
進捗 |
2013 (平成25) 年8 月 荷さばき施設完成 |
完成予定 |
2016 (平成28) 年度 (2015年5月1日現在未定) |
「 沖ノ鳥島港湾工事事故原因究明・再発防止検討委員会」中間とりまとめ 国土交通省 関東地方整備局 2014年7月2日 」 より
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000106828.pdf
沖ノ鳥島 港湾工事中央桟橋転覆事故 2014年3月30日 について
2014年3月30日、沖ノ鳥島港湾工事の一環として、中央桟橋据付工事中に、台船から引出中の中央桟橋構造物が転覆するという事故が、発生しました
沖ノ鳥島 港湾工事中央桟橋転覆事故 工事の概要
工事内容 |
特定離島港湾施設を構成する桟橋の据付工事を行う |
工事件名 |
沖ノ鳥島港湾係留施設築造他工事 |
受注者 |
五洋・新日鉄住金エンジ・東亜特定建設工事共同企業体 |
発注者 |
国土交通省関東地方整備局 |
工 期 |
平成25 年8 月21 日~平成26 年9 月30 日 |
内 容 |
中央桟橋製作・据付1基(長さ30m×幅20m×高さ5m)
北桟橋製作・据付1基(長さ33.5m×幅30m×高さ4.2m) |
据付場所 |
東京都小笠原村沖ノ鳥島 |
「 沖ノ鳥島港湾工事事故原因究明・再発防止検討委員会」中間とりまとめ 国土交通省 関東地方整備局 2014年7月2日 」 より
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000106828.pdf
「 沖ノ鳥島の位置図 」 「沖ノ鳥島 京浜河川事務所 国土交通省 関東地方整備局」 「沖ノ鳥島パンフレット」 より
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000090712.pdf
「 沖ノ鳥島港湾工事事故原因究明・再発防止検討委員会」中間とりまとめ 国土交通省 関東地方整備局 2014年7月2日 」 より
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000106828.pdf
中央桟橋の諸元 各部材の名称 と 事故までの流れ
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名 称 |
項目 |
内容 |
桟 橋 |
規 格 ・ 形 状 |
- |
重 量 |
1,853 t |
備 考 |
搭載物(上載荷重)含む |
桟橋本体 |
規 格 ・ 形 状 |
長さ 30.0 m
幅 20.0 m
高さ 5.0 m |
重 量 |
739 t |
レ グ |
規 格 ・ 形 状 |
長さ 約 47.5 m |
重 量 |
約 172t/ 本 |
備 考 |
4 本 |
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「 沖ノ鳥島港湾工事事故原因究明・再発防止検討委員会」中間とりまとめ 国土交通省 関東地方整備局 2014年7月2日 」 より https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000106828.pdf
沖ノ鳥島の桟橋転覆事故 「引き船側には問題なし」
日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)で、2014年3月、設置工事中の桟橋が転覆して作業員7人が死亡した事故で、国の運輸安全委員会は、2015年2月24日、桟橋は極めて不安定で、浮かべて船で引けば転覆は避けられない状態で、転覆直前に桟橋を引いていた船の作業手順や引き方に問題はなく、調査対象となる船舶事故に該当しないとして調査を打ち切った事を発表しました
工事は国土交通省が発注、五洋建設などの共同企業体が施工、桟橋は重さ739トンの鋼鉄製の箱 (縦30メートル、横20メートル、高さ5メートル)に、172トンの脚(長さ48メートル)が4本突き出た構造で、台船に載せて現地に運んだ後、海に浮かべて引き船で動かす際に転覆しました
事故後、本土に移送された桟橋を運輸安全委が調べた結果、引き船が最低速度の時速約 1.9キロでゆっくり引いても、水の流れによる力や波で揺れ、海水が桟橋上に流れ込む
10.4度の傾きに達することが判明し、桟橋上が冠水すれば、さらに傾いて転覆する事が判明、事故原因は桟橋の安定性の低下にあるとの見方を強め、運輸安全委は調査結果を国土交通省に提供し、国土交通省で引き続き事故原因の解明が行われます
沖ノ鳥島 港湾工事再開 2015年4月から
国土交通省関東地方整備局は、2014年11月28日、中断していた沖ノ鳥島 港湾工事の再開を発表しました
再開工事は、事故を起こした中央桟橋を契約から除外、中央桟橋に引き続いて行われる予定だった北桟橋についてで、工期も2015年9月30日まで延長しています
ただし、9月から翌年の2~3月までは、台風や季節風の影響によって海上での工事に危険が伴いますで、現地で工事を再開するのは、実質的に、2015年4月からになります
中央桟橋については、浮体の安定性を改善し、かつ、自然環境の制約を受ける 9月までに工期を終わらせる目途が経たなかった為、引き続き検討することとし、安定性の高い北桟橋だけを先行して据え付けることになりました
転覆によって、一部が破損した中央桟橋は、現在、関東地整が北九州市で保管中で、再利用するかどうかは未定です
北桟橋据付工事にあたっての事故再発防止策
1 |
中央桟橋転覆事故時に、桟橋上の作業員が傾きを体感できなかったことを踏まえ、桟橋の据え付け時に、波や風を観測しつつ、引き出し場所を決定し、桟橋の傾きなどを傾斜計で把握します |
2 |
桟橋には仮設の鋼管杭(レグ)が上に突き出ており、現地でレグを降下して地盤に貫入後、本設の鋼管杭を設置する仕組みで、台船に載せた桟橋を引き出す際に、レグを1.1m引き上げていたのを、0.4mに抑えることで、桟橋の重心を低く抑えることにしています |
3 |
桟橋に搭載する仮設物について、実測可能なものは、クレーンに重量測定機器を設置し、桟橋への搭載前に重量測定を行います |
4 |
桟橋に搭乗させる作業員数を削減し、船医や緊急ヘリが待機する作業母船の現場付近へ配置します |
沖ノ鳥島における港湾工事 (北側桟橋据付工事) の開始について 国土交通省 2015年(平成27年)5月1日
2015年(平成27年)5月1日、国土交通省 関東地方整備局 港湾空港部は、沖ノ鳥島の北側桟橋の据付作業を開始した事を発表しました
沖ノ鳥島における港湾工事(北側桟橋)の据付の開始について 関東地方整備局 平成27年5月1日
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本日、沖ノ鳥島で北側桟橋の据付作業を開始しましたのでお知らせします。
○現地に設置する北側桟橋は、平成27年3月31日(火)に北九州を出発した後、4月7日(火)に沖ノ鳥島に到着、気象海象条件が整うまで待機していました。
○5月1日(金)に、気象海象状況が整ったため、桟橋の据付作業を開始しました。
○今後、8月中旬頃までの間、桟橋本体を海底地盤に固定するための鋼管杭の打設工事を実施し、北側桟橋の据付工事が完了する予定です。 |
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