宗像 沖ノ島 と 関連遺産群 神宿る島 世界文化遺産 8資産 一括登録決定 |
宗像 沖ノ島 と 関連遺産群 神宿る島 世界文化遺産 8資産 一括登録決定 2017年7月9日
2017年5月6日の世界文化遺産登録への勧告時、ユネスコの諮問機関は、「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」の構成 8資産のうち、 4資産を「除外」するよう勧告していましたが、世界遺産委は、全 8資産の一括登録が認められました 文化庁や福岡県などの地元自治体は「宗像大社は 3宮で一つで、考古学的な価値と信仰の価値は不可分」と訴え、世界遺産委の 21の委員国に 8件での登録を粘り強く要望してきました その結果、沖ノ島の古代祭祀(さいし)が現在の宗像大社信仰まで続いているとする日本側の主張を世界遺産委員会が受け入れ、委員国からも信仰の価値を評価、沖ノ島と除外勧告された 4資産が、文化的、歴史的にも一体であるとする意見が相次ぎ、一体的な海洋信仰の文化の継承が認められ、8資産全ての一括登録が決定されました また、航海安全を祈願する信仰が続いていることや航海に関する遺産が少なく貴重であることも評価され、海洋信仰の文化に理解が示されるとともに、信仰の連続性に世界的価値が認められる形ともなっています 世界遺産を巡っては、富士山が 2013年に世界文化遺産に登録された際にも、イコモスが構成資産の三保松原の除外を勧告し、日本政府が再度説明して三保松原も含めて登録されています 今回の「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」の世界文化遺産登録で、日本国内の世界文化遺産は 17件、自然遺産と合わせると日本国内の世界遺産は、2016年の「国立西洋美術館」(東京都)に続き21件目となり、九州からは 2015年の「明治日本の産業革命遺産」(九州山口地域など 8県)以来の世界遺産登録となります 世界遺産をめぐっては、政府が 2018年夏の登録を目指して、キリスト教の信仰が禁教下で継続されたことを示す 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県、熊本県)を文化遺産に、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島県、沖縄県)を自然遺産に推薦しています 「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」の構成資産「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」の構成資産は、 ▽ 本土から 約 60キロの玄界灘に浮かび、「日本書紀」にも登場する海の女神が鎮座する宗像大社沖津宮(おきつみや)がある沖ノ島と、いずれも島に付随する小屋島(こやじま)、御門柱(みかどばしら)、天狗岩(てんぐいわ、以上宗像市)の 4資産のほか、 ▽ 本土から 約 11キロ沖の大島にある中津宮(なかつみや)と沖津宮遥拝(ようはい)所の 2資産 ▽ 本土にある宗像大社辺津宮(へつみや、同) ▽ 信仰を支えた宗像族の墓とされる新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群(福津市) の 計 8資産で、「顕著な普遍的価値がある」「航海の安全を祈願する信仰が古代から現代まで断絶なく続いていることを示し、価値が高い」「航海に関する分野は今の世界遺産一覧表には少ない分野」と評価されました 諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)は、2017年5月6日、後者の 4資産を「国家的なものにとどまり、世界的な価値は認められない」として除外勧告していましたが、国や地元は世界遺産委の委員国に 8資産の一括登録を説得、2017年7月9日のユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会審議では、各国から「すべての要素が互いに機能し、価値がある」など一括登録を支持する発言が相次ぎました 周囲 約 4キロの沖ノ島は 4~9世紀、朝鮮半島や中国大陸への航海の安全などを願う国家的祭祀(さいし)が行われ、銅鏡や黄金の指輪、朝鮮半島の馬具、シルクロード由来のガラス製品など 8万点にのぼる奉献品(国宝)が出土し、「海の正倉院」とも称されます 「沖ノ島」は「古代祭祀の変遷を示す考古遺跡がほぼ手つかずの状態で残されている」などとして 2009年、国内候補の一覧表「暫定リスト」に記載され、2015年の文化審議会で国内推薦候補に決定していました 沖ノ島への入島は原則禁じられ、女人禁制▽島で見聞したことを漏らしてはならない▽島にあるものを何一つ持ち帰ってはいけないなど、多くの宗教的なタブーもあり、今後、文化遺産の保護と観光の両立、船舶の接近や無断上陸への対策などが課題となります 世界遺産 とは世界遺産は、1972年の世界遺産条約に基づき、各国政府の推薦の中から、諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)や国際自然保護連合(IUCN)の調査 ・ 勧告を経て、21ヶ国でつくる世界遺産委員会が 年 1回、「顕著な普遍的価値」や「真正性」、保全措置などの観点から登録の可否を決めます 世界遺産の総数は、2016年7月現在、文化遺産 814件、自然遺産 203件、両方の価値を備えた 複合遺産 35件の 計 1052件が登録されています
沖ノ島(おきのしま) とは 概要沖ノ島(おきのしま)は、福岡県宗像市に属し、九州本土から 約 60キロメートル離れた玄界灘の真っ只中、対馬と本州 山口県の中間付近に浮かぶ周囲 4キロメートルの孤島で、宗像大社の神領となっており、沖津宮(おきつぐう)が鎮座します 沖ノ島全体が「神の島」と呼ばれ、島全体が御神体となっており、今でも女人禁制の伝統が守られ、男性でも一般人は毎年5月27日以外の上陸は基本的に認められておらず、その数も 200人程度に制限され、山の中腹には宗像大社沖津宮があり、宗像三女神の田心姫神(たごりひめのかみ)が祭られ、沖津宮の神職が10日交代で派遣され、常時滞在しています 沖ノ島 宗像大社沖津宮
海の正倉院 沖ノ島沖ノ島で祭祀が始まったのは出土遺物の年代編年から 4世紀後半頃と推測されており、391年に倭国が高句麗へと出兵した際、北部九州が前線となった時期に相当し、宗像氏がヤマト王権の力を背景に朝鮮半島や中国(当時は北魏)との交易に乗り出したのも同時期で、遺物も確認されています 祭祀の終了は 9世紀末頃とみられ、894年(寛平6年)に遣唐使が廃止されたこと、神道 ・ 神社の形式が確立したこと、仏教による鎮護国家の比重が増えたことなどが要因とされています 1954年(昭和29年)~1971年(昭和46年)にかけ、三次にわたる発掘調査が行われ、沖津宮社殿周辺の巨石に寄り添う 23の古代祭祀跡から 約 8万点の祭祀遺物、および、約 2万点の縄文時代 ・ 弥生時代の遺物が出土しました 第一次 ・ 第二次調査出土品は、1962年(昭和37年)、国宝に指定、第三次調査出土品は、1978年(昭和53年)に重要文化財に指定され、2003年(平成15年)、これら国宝と重要文化財を統合、同年(2003年(平成15年))と2008年(平成20年)に未指定物件が追加指定され、約8万点とされる関連遺物全てが国宝に指定されており、こうしたことから、沖ノ島は海の正倉院と称されています 沖ノ島 祭祀遺構
(上写真) 政府が世界遺産に推薦している沖ノ島。祭祀が行われていたという 5号遺跡 (福岡県宗像市) 2017年6月27日午前撮影 (松本健吾撮影) 「 【世界遺産】海洋信仰の文化に理解、ロビー活動が奏功 厳しい勧告覆す 産経新聞 07月09日 22:14 」 より (下写真) 沖ノ島17号遺跡 (複製) 「 沖ノ島 - Wikipedia 」 より 沖ノ島への上陸 女人禁制沖ノ島への一般人の上陸が許可されるのは、通常 毎年 5月27日に開かれる大祭の時に制限されており、上陸できるのは事前に申し込みを行った中から抽選で選ばれた 200人程の男性のみで、女性は、同日、大島にある瀛津宮から沖ノ島を遥拝します 沖ノ島への上陸はすべて神事の一環として行われるため、前日に筑前大島の中津宮に参拝し、沖津宮奉賛会費(事実上の船代) 2万円を支払い、島内に分宿、大祭当日は、早朝より筑前大島船籍の釣り船などに分乗、2時間弱で島に到着、現地に着いたあとは御前浜でまず全裸で海に入って禊(垢離)をしなくてはいけません 島内での滞在は2時間程の制限時間が設けられており、また、島全体が天然記念物であるため、島内の湧き水(ご神水)を除き、島内の植物や岩石の収集は禁止されています 沖ノ島は 第 4種避難港指定を受けていることから、荒天時などに付近を航行中の船が避難できるよう港湾設備が整備されており、避難の際、寄港して上陸する場合には、社務所に許可を取って禊をすることが必要です
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