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西之島 新島 概要 位置 小笠原諸島


西之島 新島 概要 位置 小笠原諸島



西之島(にしのしま)は、東京の南約1,000キロメートル、父島の西約130キロメートルに位置する、東京都小笠原村小笠原諸島の無人島で、もともと海底火山の活動により生じた火山島です


日本周辺地図
西之島の位置
西之島(西ノ島) 新島 地図上の位置

Map of ogasawara islands ja
パブリック・ドメイン 2014年10月18日 転載 2017年4月29日 追加

西之島(にしのしま)の位置は、左の地図の右下赤い点です


かつての西之島は、南北650メートル、東西200メートル程の細長い島で、面積0.07平方キロメートルしかありませんでした

1973年にも、近海で噴火活動があり、新島が誕生しましたが、あまり大きくは成長しなかった為、波の浸食により、ほどなく、姿を消しています


西之島は、火山列島(硫黄列島)と同じ火山脈に属し、付近では海底火山活動が活発です

火山列島(かざんれっとう)は、小笠原諸島に属し、硫黄列島(いおうれっとう)とも呼ばれ、硫黄島、北硫黄島、南硫黄島の総称で、西之島が含まれることもあります




「海上保安庁」の「海域火山データベース」地図で見ると、右下から右上に向けて、大きく2つの固まりに分かれて赤い点(1つ1つが海底火山)が並んでいます


西之島は、東京から南に約1,000km、父島から西に約130kmの位置にある無人島です

「 西之島の再噴火について 海上保安庁 平成29年4月20日 」 より


下側の固まりの上端(北端)にあるのが、西之島です

上側の固まりの上端(北端)のちょい上には、富士山があります

同一の火山列に属していることが、良く分かります



噴出しているマグマについて、伊豆諸島の島である三宅島、八丈島、青ヶ島、鳥島などは玄武岩マグマを噴出しますが、西之島では、大陸地殻に似た安山岩マグマであるとされているところも、興味深いところです




日本周辺海域火山通覧 火山名 概位 概要



西之島 新島 / 27°15'N 140°53'E / 

父島西方約130kmにある無人島で、南北約650m、幅約200m、島頂は中央部付近(27°14.8'N,140°52.5'E,25m)で、全体として平低な安山岩質の島(SiO2 58~60%)である
1973年,西之島至近の海底で有史以来噴火記録のない西之島火山が活動を開始し、新島を形成した
その後新島は西之島と接続し新島の大半が波浪による侵食を受けその一部が現存する
1999年1月現在の新島の面積250,100m2、標高15.2m、新島からシソ輝石普通輝石安山岩、カンラン石単斜輝安山岩が採取されている
SiO2 58.4~58.9%, Na2O 0.41~0.42%, K2O 1.12~1.16%

「海上保安庁 掲載 日本周辺海域火山通覧」 より https://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo18-2.htm#gaiyo




西之島 新島 地質構造図 1992年(平成4年) 海上保安庁

西之島(西ノ島) 地質構造図 1992年(平成4年) 海上保安庁

地質構造図

「海域火山データベース 海上保安庁海洋情報部」 より
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo18-2.htm#chikei





西之島 新島 主な活動記録



年月日 活動記録
1973年
(昭和48年)
新島誕生
4月12日 変色水
5月31日 白濁の噴出孔,変色域幅200m,長さ3km
6月19日 噴煙高さ30m.7月5日濃厚な変色海域,延長16km,噴出点に20~30mの岩礁の色調あり
9月14日 新島は黒色の噴石丘で,直径120m,中央に直径約70mの円形噴火口,高さ北側で約40m,南側で約20m,噴煙の高さ1,500m
9月29日 新島主火口より溶岩流出
12月21日 東西550m,南北200~400mの火山島に成長(西之島 新島と命名),面積121,000m2,標高52m
1974年
(昭和49年)
5月,この頃まで火山活動を継続し,以後は休止する.6月10日漂砂等により新島と旧島が結合.
2000年1月
(平成12年)
島の北西側に薄い黄緑色変色水.
2013年11月
(平成25年)
11月20日 噴火、西之島南東沖に新島誕生.新島は黒色の噴石丘で約100m×約200m,中央に円形噴火口,噴煙の高さ約600m
12月26日 溶岩流が西之島と結合し一体化したことを確認

「海上保安庁 掲載 日本周辺海域火山通覧」 より
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo18-2.htm#141016c


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注. 東京都 小笠原諸島にあるのは、西之島 (にしのしま)、島根県 隠岐島(おきのしま)にあるのは、西ノ島 (にしのしま) です
西の島という表記は、日本の最も西の島 (与那国島(よなぐにじま)) というような相対表記で、島の名前(固有名詞)ではありません


関連情報サイト


気象庁 (Japan Meteorological Agency)
気象庁 噴火警報、噴火予報の発表状況
気象庁 著作権・リンク・個人情報保護について (商用利用可)
海上保安庁 広報 http://www.kaiho.mlit.go.jp/index.html
海上保安庁 海域火山データベース https://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/list-2.htm
海上保安庁 海域火山データベース 西之島 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo18-2.htm
西之島 - Wikipedia

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関連記事

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関連記事を下記に紹介します



2014年6月12日 西之島の不思議:大陸の出現か? JAMSTECニュース 2014年6月12日

 東京の約1000km南方に、南北約650m、幅約200mの小さな無人島があった。西之島である。2013年11月20日、西之島の海岸線から約300m南東沖に海底噴火が確認され、新島を形成した(2013年11月25日のJAMSTECニュース・コラム参照)。新島は爆発的に、かつ着実にマグマを噴出して成長を続けた。2013年12月、西之島は新島と結合し、一体化した。2014年5月、西之島は、面積は以前の4倍、南北、東西ともに幅1,250mの島に成長した。激しい爆発は船舶の接近を拒み、いまも流出している西之島の溶岩は、未だ採取されていない。しかし、旧西之島は1973年から74年に噴火しており、その噴出物およびそれ以前の溶岩は採取され、分析されている。驚くべき事に、これらの岩石はすべてSiO2(シリカ)量が60%前後の非常に均質な「安山岩」である。安山岩は大陸を形成する物質であり、海の真ん中で噴出するとは、誰も考えてはいなかった。安山岩を噴出する海洋島弧の火山、西之島に多くの研究者が注目している。
 西之島は、水深2,000mを越える深さから聳え立つ巨大な海底火山の山頂部にある。そもそも「海底火山は、マントル(注1)で生じたマグマ(注2)が地殻を通して、海底に噴出したものである」というのが我々の常識であった。マントルで生じたマグマ(初生マグマ)は海底火山の調査によって採取され、実態が明らかになってきている(2013年11月7日JAMSTECプレス発表)。しかし、西之島にはこれは当てはまらない。図1は西之島の溶岩(安山岩)をマントル、マントルが溶けた初生玄武岩マグマ、および大陸地殻の組成と比較したものである。西之島の溶岩の組成は驚くほど大陸地殻に似ている。なぜ海洋島弧に安山岩マグマが噴出するのか。
 西之島の地殻は異常で、大陸のように厚いのであろうか。事実は全く逆である。図2は伊豆小笠原弧に沿った地殻構造を示している(Kodaira et al., 2007を改変)。伊豆弧の三宅島,八丈島、青ヶ島、鳥島などは玄武岩マグマを噴出する火山である。これらの火山は厚さ20-30㎞の地殻を持つ。一方、西之島を含む小笠原弧の地殻は厚さ15-20kmしかない。つまり、西之島は世界でも有数の「マントルに近い島」なのである。なぜマントルに近い島から大陸そっくりの安山岩マグマが噴出するのか。西之島が大陸成因の鍵をにぎっているのかもしれない。
 地球は、太陽系で唯一海洋と大陸を持つ惑星である。この大陸をつくる「大陸地殻」と海底をつくる「海洋地殻」は、岩石の組成が異なっており、海洋地殻を構成する玄武岩が他の地球型惑星にも普遍的に存在するのに対し、大陸地殻を構成する安山岩は、地球以外ではほとんど存在しない。「なぜ地球に大陸地殻があるのか、またそれはどのような過程で形成されたのか?」ということが地球惑星科学の大きな謎とされてきた(JAMSTEC2014年3月24日プレスリリース)。この謎の解明のため、国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)の一環として、「島弧進化の総合的理解と大陸地殻成因の解明」を実施するため、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号の研究航海が3月30日から9月29日にかけて実施されている。すでに最初の二ヶ月のExpedition 350は終了し、伊豆弧の明神礁の90km西方を,海底下1800mまで掘削した。また、今回の3航海の研究成果を踏まえ、最終的には地球深部探査船「ちきゅう」を用いた大深度掘削(IBM-4)により、大陸地殻の採取を行い大陸地殻の成因の解明を目指している(JAMSTEC2014年3月24日プレスリリース)。


2013年11月25日 西之島の新島出現について JAMSTECニュース 2013/11/25

 西之島は東京の約1,000km南方に位置する、南北約650m、幅約200mの小さな無人島である。西之島の海岸線から約300m南東沖の海底で噴火が起き、新島が誕生し、現在も成長を続けている(11月22日現在で南北約200m、幅約100m)。西之島も、この新島も、一つの巨大な海底火山(西之島海底火山)の山頂部にあり、山頂部が海面上に姿を現したものである。つまり、火山本体は海面下にある。西之島海底火山は水深2,000mを超える深さから立ち上がっており、底径は東西約40km南北約30kmである。ちなみに、西之島海底火山の50km北には土曜海山、50km南には海形海山があり、山体の規模はほぼ同様で、どちらも2,000m超級の海底火山であるが、山頂部はまだ水深370m(土曜海山)と162m(海形海山)の海面下にある。
そもそも海底火山は、マントルで生じたマグマが地殻を通して、海底に噴出したものである。海底火山が成長することによって、その山頂部が海面上に現れ、火山島となる。つまり、マグマが、日本の領土と領海を広げていることになる。それでは、マグマはどのようにしてつくられるのだろうか。一般には、地球を掘っていくと、地殻の下には必ずドロドロに溶けたマグマがあると考える人が多い。しかし、それは間違いである。地殻の下には別の岩石(マントル)がある。地下に特別な条件が与えられたとき、マントルが溶けてマグマが発生する。
 西之島新島のマグマが発生する特別な条件とは
西之島新島を含む西之島海底火山は、伊豆半島からグアムの近傍まで続く、全長2,800kmの伊豆小笠原マリアナ弧(IBM弧)に属する火山の一つであるの伊豆小笠原弧はIBM弧の北部である)。伊豆大島や三宅島、八丈島、青ヶ島なども伊豆小笠原マリアナ弧の火山である。伊豆小笠原マリアナ弧は活発な火山活動で特徴づけられる。なぜだろうか。それは、伊豆小笠原マリアナ弧をふくむフィリピン海プレートに、東から太平洋プレートが沈み込んでいることに原因がある。まず、太平洋プレート(海洋地殻とその下の上部マントル)が沈み込み帯において沈み込む際に、水(海水)と堆積物を地下深部に運ぶ。ここで、運び込まれた物質にはマントルを溶けやすくする(融雪剤のように、マントルの融点を下げる)性質があるため、地下深く(地下100キロ)の高温高圧下の環境においてマントルが融解し、マグマが生成される。そして、このマグマが上昇することで、海底火山が生み出されると考えられる。
 今後の活動について
伊豆小笠原マリアナ弧において、海底火山は南北に約50km前後の間隔で並んでいる。太平洋プレートは毎年数センチの速さでフィリピン海プレートに沈み込んでいるが、このプレート運動が続くかぎり、マントルが溶けてマグマが発生し、そのマグマは海底に噴出し、海底火山は成長する。よって、西之島新島も将来的には必ず大きく成長すると断言することができるが、注意しなければいけないのは、火山の成長の時間スケールと人間の時間スケールが異なっている、ということである。それぞれの火山は数十万年かけて、噴火と休止を繰り返して、現在の2,000m-3,000mの山体を形成してきた。よって、100年や200年のスケールで人が住めるまでに成長するかどうかは疑問である。100万年を一つの火山の寿命だと考えて、人間の寿命100年に例えてみるとわかりやすいかもしれない。人間にとっての1か月は火山にとっては800年であり、1週間は200年である。また、働き者の人でも夏休みを1か月や1週間とって海外旅行に出かけたりする。火山もしばしば、それくらいの休みを取りながら、しかし確実に成長していく。また、休んでいるように見えても、地下ではマグマが蓄積されていることを忘れてはならない。


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