久米島沖 熱水噴出を伴う 海底火山地形 発見 溶岩ドーム 溶岩流 2017年7月21日
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海上保安庁は、2016年5月、及び、6月、沖縄県久米島沖において、測量船、及び、測量船「拓洋」及び「拓洋」搭載の自律型潜水調査機器(AUV)「ごんどう」*1
による海洋調査、海底地形調査を実施、水深1,500~1,800m の海底に熱水活動を伴う海底火山地形が存在することを発見しました
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AUV「ごんどう」による潜航調査の結果、水深1,500~1,800m の海底において、過去の噴火によって形成された溶岩ドームや溶岩流と考えられる詳細な火山地形を捉えました
溶岩ドームは複数あり、最大のものは、直径 約 800m、高さ 約 220mに達し、これらの溶岩ドームからは縄状の形をした溶岩流が斜面に沿って流れ出ており、約
12km2(東京ドーム 約 255個分)の広範囲に分布、また、測量船「拓洋」での調査結果から、AUV「ごんどう」で調査した範囲外にも溶岩流が流れ出ていると推測されます
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それらの他、溶岩ドームや溶岩流の近くでは 直径 30m程の円錐形の地形を複数確認、プルーム*2や水温の上昇を観測、これらの結果から熱水を噴出するチムニーやマウンド*3
が存在していることが推測され、海底熱水鉱床を形成する可能性があり、海洋開発等に役立つことが期待されています
なお、これらの結果は、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)にも提供、JOGMECでは、これらの結果をもとに、遠隔操作無人機(ROV)による調査を行っています
(① 左上地図) 久米島の位置図
(② 左上中図) 今回発見された海底火山地形
(赤破線で囲まれる部分:AUV が潜航調査により捉えた海底)
(③ 左下中図) ②図の青枠部分を拡大
AUVが捉えた溶岩ドーム及び溶岩流
(音響異常が捉えられた調査測線:A-B)
(④ 左下図) 溶岩ドーム及び溶岩流周辺の鳥瞰図
(垂直方向は2倍に強調)
「久米島沖に熱水噴出を伴う海底火山地形を発見 海上保安庁 平成29年7月21日」 より
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(⑤ 左図) 測量船「拓洋」で捉えた音波の反射強度による調査結果
(黄線:濃い海域が溶岩流と考えられる)
(赤破線:AUV 潜航調査海域)
音響異常の観測とほぼ同時刻に水温上昇を捉えた
(⑥ 左下上図) 熱水の噴出と考えられる音響異常画像(③図 測線A⇒B)
水中(黒色部分)に海底(黄色部分)から噴出しているプルームが
記録されている
(⑦ 左下下図) 通過時に観測された急激な水温上昇(③図 測線A⇒B)
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「久米島沖に熱水噴出を伴う海底火山地形を発見 海上保安庁 平成29年7月21日」 より
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用語の説明
*1 自律型潜水調査機器(AUV)「ごんどう」
「 溶岩流の痕跡がくっきり!宮古島北方に海底火山 海上保安庁 平成28年2月3日 」 より
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自律型潜水調査機器(AUV)「ごんどう」は、プログラムされた経路を自動で潜航して調査を行う機器で、海底近傍まで潜航して調査を行うことで、詳細な海底のデータを収集することができます
全長4.3 m、重量610 kg
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測量船による調査
水深が深いところでは、微細な海底地形を検出することができない
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AUV による調査
海底に近づくことで、水深が深いところでも微細な海底地形を検出することができる
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測量船「拓洋」で取得した海底地形図
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AUV「ごんどう」で取得した海底地形図
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*2 プルーム
海底からの反射データに検出される「ゆらぎ(音響異常)」
海底からの熱水やガス等の活動を反映していると思われる
*3 チムニーやマウンド
熱水に溶けている銅・鉛・亜鉛・鉄等の金属が低温の熱水と反応して沈殿することにより形成されたもの。尖塔状の高まりを「チムニー」、円錐状の高まりを「マウンド」という。
「http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h29/k20170721/k170721-1.pdf」 より
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