ホーム > 辞典 > ナイロン ポリエステル 等 衣料用繊維素材としての特徴と違い
目次 | 元のページ 前のページ | 次のページ サイトマップ | ページEND

ナイロン ポリエステル 等 衣料用繊維素材としての特徴と違い


ナイロン ポリエステル 等 衣料用繊維素材としての特徴と違い



ポリエステルは世界で最も生産量の多い繊維、それに次ぐのがナイロンで、また、化学繊維の草分け的存在、代名詞的な存在ですので、ナイロンとポリエステルは合成繊維を代表する二種と言え、ともにドレッシーな衣服、ドレスから、カジュアルウェア、スポーツウェアといった日常着、ザイルのようなロープ類などの製品の繊維素材として使われていますが、様々な派生製品、加工技術が開発されている為、化学繊維の特徴、適性は、一般には分かり辛いところがあります


ナイロンとポリエステル、それぞれの特徴を比較しますと、ナイロンの方がやわらかく、加工もし易く、良く伸びるのでストレッチ性を求められる素材に適しているのですが、原料価格がナイロンの方が高く、また加工方法により、両者ともに様々な性質に変化しますので、ナイロンよりポリエステルの方が生産の主流となっているようです


両者ともに、繊維として用いられる場合には、機能剤や仕上げ剤、繊維処理剤と呼ばれる化学物質が繊維に練りこまれており、これらが吸湿性や速乾性を高めたり、風合いを決めたり、保温効果の向上や、耐熱性、強靭さなどの向上に大きな役割を果たしており、また、繊維の形状に工夫を凝らすことで、吸水性といったもともとの素材には乏しかった性能を引き出すことも可能となっています


また、繊維は加工されて糸となり、さらに布、織物に加工されて実際の衣類等の製品となりますが、糸となる段階で複数の繊維を複合させる技術が用いられることも一般的で、こうした糸の種類、布の織り方といった部分も製品レベルでの性能や物性には影響してきます


その為、実際の衣料素材として見た場合、「メイン素材: ナイロン 100%」の製品と「メイン素材: ポリエステル 100%」の製品特徴を明確に区別することは困難なものとなりますが、ナイロンの特徴として、ポリエステルより伸縮性がありますので、パンティストッキング等伸縮性の求められる衣料素材とか、伸びることで衝撃を吸収するという性質の期待される登山用ロープ等には、ポリエステルではなく、ナイロンが使用されるのが一般的です


ただし、実際の製品として見た場合、例えば、パンティストッキングは、メイン素材として、ナイロンとポリウレタンの混合糸が使用されており、この場合、ナイロンは透明性と染色性、ポリウレタンが伸縮性の機能を担っており、またその編み方(交編とゾッキ編み等)により、透明感やつや、履き心地等も変わってきます


ポリエステルよりナイロン繊維のほうが弾性率が小さい為、肌触りはよく、ポリエステル繊維100%のものは、独特の肌触りを持ち、染色面でも、ポリエステルよりもナイロンのほうが色をつけやすい素材で、また双方ともにカビや虫害にも強い素材ですが、紫外線については、ナイロンが劣化することがあるため、耐候性についてはポリエステルのほうが若干優れており、また、ポリエステルは洗濯による伸び縮みもありませんが、静電気を帯びやすく、毛玉ができやすいという特徴もあります




ナイロンの基本性能



ナイロンは、デュポン社の商標名の一つですが、正式にはポリアミド(PA)といい、樹脂の弱点でもあった耐熱性を改善した汎用エンジニアリングプラスチック(エンプラ)に分類される高機能樹脂の一つで、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12といった種類があります


一般的にナイロンは、ポリエステルよりも強度が若干強いか、同等程度の引張強さを持ち、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐寒冷性、耐磨耗性といった点に特徴があり、ポリエステルもナイロンも吸水性は低い素材ですが、繊維に何の加工もしない場合、吸水率はナイロンのほうが高くなり、また、ナイロンは吸湿性を持つ素材でもあります



ポリエステルの基本性能



ポリエステルは、樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポリトリブチレンテレフタレート)などの種類があり、他にも工業製品としては不飽和ポリエステルの形で、FRPの材料(母材)としても使われています


全体的な特徴として、ポリエステルは、耐熱性、耐衝撃性、ガスバリア性(気体の透過のしにくさ)、耐薬品性といった点に優れ、水を吸いにくい性質を持ち、水を吸っても性能にあまり変化がありませんので、ポリエステル繊維の衣服は型崩れしにくく、またシワになりにくい性質を持つため、綿と混合させてもよく使われます


強度面についていえば、繊維の場合、ステープルと呼ばれる短繊維を撚ったものと、フィラメントと呼ばれる長繊維(1本の連続した繊維)を撚ったものとでも物性には若干の違いが出てきますが、引張強さにも長けた材料と言え、フィラメントで見た場合、ナイロンよりもポリエステルのほうが長期耐熱性には優れています




衣料用として使われる繊維のおはなし 分類 特徴



種別 名前 特徴
合成繊維 ポリエステル 現在わが国の合成繊維の中で最も多く生産されています。
ナイロン・アクリルと並ぶ三大合成繊維のひとつです。
この繊維は合成繊維本来の機能性にコットンライクな感性をもっており、衣類用途に向いた汎用性の高い繊維であります。
良い点 シワになりにくい。型崩れしにくい。非常に強い。丈夫である。乾きが早い。
悪い点 吸湿性が少ない。静電気が起きやすい。汚れると落ちにくい。
用途 フリース、裏地、学生服
ナイロン ナイロンは化学繊維の中で長い歴史を持っている一つです。成分上は絹に最も近い合成繊維といわれています。
良い点 非常に強い弾力に富む。織物にしてもシワになりにくい。薬品・カビ・害虫に強い。
悪い点 吸湿性が少ない。静電気を発生しやすい。日光やガスにより黄変する。熱に弱い。
用途 ストッキング、水着、スポーツウェア
アクリル ウールを目標にした合成繊維です。ふんわり、暖かな肌触りをもったやわらかく軽い繊維です。
良い点 かさ高でソフト弾力性があるので、シワになりにくく軽い。(ウール・ポリエステルより軽い)発色性がある。羊毛に近い風合がある。カビ・害虫に強い。
悪い点 吸湿性が少ない。高温に弱い。静電気が起こり易く、汚れやすい。(ホコリをひきよせる)
用途 冬物衣料、セーター
ポリウレタン ポリウレタンは約60年前にドイツで開発されました。伸縮自在の合成繊維で、別名スパンデックスともよばれています。
繊維自体はゴムのようによく伸び縮みをし、ゴムより老化しにくい繊維です。(寿命は製造後2~3年と言われています)
合成皮革などに用いられる特殊加工は、基布にウレタン樹脂を塗付して皮膜を作り、独特の風合や艶、性能的には保湿性や撥水性を持たせたのが特徴です。
良い点 伸縮性が大きい強くて丈夫。(ゴムよりはるかに強く、老化しにくい性質を持っている)ゴムより細い糸ができる糸が軽い。
悪い点 摩擦に弱い。合成皮革は表面がはがれたり、風合が変化しやすい。(2~3年)紫外線の影響で黄変することがある。塩素に弱い。
用途 合成皮革、水着、ストレッチ素材
半合成繊維 アセテート 純度のよいリンターや木材パルプからとった繊維素(セルロース)と酢酸からつくられています。酢酸の割合を多くして、より合成的性質を強めたのがトリアセテートです。
良い点 吸湿性がよく、裏地に使用しても静電気が発生しにくい。円形断面の繊維などで滑りが良くて、絹のような光沢がある。強度もあり、縮みにくい。
悪い点 シンナー・除光液などに溶ける窒素酸化ガス(ストーブや自動車の排気ガス)によって変退色をすることがある。
用途 裏地、婦人フォーマルウエア、カーテン、タバコのフィルタ
再生繊維 レーヨン 主原料は木材パルプ。木材の中にある繊維素(セルロース)を取り出して糸としています。精製されたパルプに薬品を加え粘性の溶液(ビスコース)とし、それをまた繊維状に再生しています
良い点 吸湿性・吸水性が良い。光沢があり着心地が優れているドレープ性がある。染色性が良い
ドレープ性とは
衣類や掛け布などを、優美にまとわせ ゆったりとしたひだを入れる事が出来る性質で、自然に出来る布のたるみが美しいひだを描きます。
ドレープ性が良いとスカートやドレスが 回った時に美しく開きます。
ドレープ性の良い生地は 落ち感も良好です。反対の意味は 「ハリ感のある生地」になります。
悪い点 水に濡れると強度が半分ぐらいに低下する。洗濯で縮みやすい。シワになりやすい。摩擦に弱い。水ジミができやすい
用途 裏地、下着、カーテン、婦人服
キュプラ 主原料はコットンリンター(綿の実から綿花をとったあとに残った短い繊維)で高品質な繊維素を使用しています
レーヨンと同じ様に溶解して、また繊維状に再生しています
良い点 吸湿性がよく、裏地に使用しても静電気が発生しにくい。円形断面の繊維などで滑りが良くて、絹のような光沢がある。強度もあり、縮みにくい
悪い点 摩擦により毛羽立ちやすい
用途 裏地、ブラウス、ふろしき
テンセル
リヨセル
 テンセル、リヨセルは、木材のユーカリを溶剤で溶かして作られる(溶剤紡糸法)再生繊維で、繊維の断面が円形であることから強度が高く、湿潤時の収縮や強度の低下が少ない繊維です
 衣料に縫い込まれているケアラベルは、家庭用品品質表示法という法律に基づいて印字表示がされていますが、比較的新しい繊維である場合、家庭用品品質表示法で定義されていない為、テンセル、リヨセル等は、「指定外繊維(テンセル)と表示されます(カッコ書きで繊維名を表示)
テンセル、リヨセルは、同じ繊維で、「テンセル」は英国のコートルズ社、「リヨセル」はオーストリアのレンチング社の商標でしたが、2004年に両社が合併、ブランド名を「テンセル」、総称として「リヨセル」と呼ぶ様になりました
良い点 デニール当りの強度が綿、レーヨンと比べるとはるかに高く丈夫です。湿潤時の収縮や強度の低下が少ない。ソフトな風合いと適度な光沢感がある。繊維が柔らかくドレープ性がある。吸湿性に富み、吸収した水がすばやく乾く性質を持っている為洗濯性が良い。ハリ、コシ感、弾力性(反発性)、高級感があり、上品な光沢を持っている。染色性が高い
悪い点 摩擦により毛羽立ちや白化しやすい。(湿潤状態での摩擦は特に注意!摩擦に弱いことから、洗濯時間を短くするなどの注意が必要)
濡れると風合いが固くなる場合がある
用途 デニムパンツやダンガリーシャツなどインジゴ染め製品から商品化され、エレガントなドレスをはじめ、カジュアルジーンズ、ホームテキスタイル、ユニフォーム、寝具、セーター、ジャケット、スーツのほか、ニット製品などにも幅広く使用されています
植物繊維 綿  綿は非常に古くから用いられており、人間と綿との付き合いは長く約5000年前にさかのぼるといわれています。綿は「あおい科」に属し、きれいな花をさかせます。
 花がさいた後にできる、コットンボール(実)が成熟し、はじけ、中から白い綿繊維があふれ出ます。それが綿(綿花)です。綿花は世界60カ国以上で栽培されており、最も身近な繊維です。
 綿の品質は産地や品種により異なっており、もっとも重要な品質は繊維長です。繊維長が長いほど良質なものといわれています。
良い点 肌触りがよく涼しい。吸水性に富み、熱に強くて丈夫。染色性や発色性に優れている。
悪い点 縮みやすい。シワになりやすい長時間日光にあたると黄変しやすい。
用途 下着・タオルいろんな衣類シャツハンカチ浴衣 など
 麻は非常に古い繊維で特にリネンは人類が用いた最古の繊維とされています。
 一口に麻と言ってもその種類は20種近くに及んでおり、植物から繊維を採集する部分(靭皮繊維・葉脈繊維)で大別しています。
 マカロニのように中央に大きな穴が開いており、繊維が吸ったり吐いたりする力を持っています。
良い点 通気性が良く、水分の吸湿や発散性に優れているため、清涼感がある。シャリ感がある。水に濡れると強くなる。
悪い点 シワになりやすく、摩擦で毛羽立ちやすい。保湿に乏しい。濃い色は白けやすい。
用途 夏物衣料、ハンカチ
動物繊維 絹(シルク) 古来より繊維の中でもっとも美しいものとされています。
蚕の繭から繰り取った糸を生糸(きいと)といい、1粒の繭から約1500mぐらいの細く長い糸が取れます。
生糸の断面は2本のフィブロインやセリシンが覆う形で構成されています。
セリシンは水やアルカリで溶けやすく、精錬する事で除去され、美しくしなやかなフィブロインが取れます。このような工程を練るといいます。
天然繊維の中ではもっとも細い(髪の毛の約30分の1)長繊維です。
良い点 美しい光沢がある。ドレープ性が特徴肌触りが良い風合が良い。保温性・保湿性・発散性に優れている。
悪い点 シミになりやすい。酸やアルカリに弱い。水に濡れると縮みやすい。汗・雨に弱く鮮やかな色ほど色落ちしやすい。熱に弱い。害虫を受けやすい。
用途 ネクタイ、和服、ブラウス、スカーフ
羊毛(ウール) 羊は人間にもっとも近い家畜として有史以来殆どの世界全域で飼育されています。各地で品質改良が続けられ今日の良質の毛を生産するようになりました。
現在羊の種類は3,000種以上にのぼります。
良い点 繊維の太さが平均して細い規則正しい縮れ(クリンプ)が数多くある。保温効果が高く伸縮性に優れ、弾力性がある。水をはじきやすく、湿気をよく吸収する。シワになりにくく、型崩れしにくい。
悪い点 虫がつきやすく毛玉ができやすい。縮みやすい。フェルト状になる。
用途 冬物衣類、セーター、毛布ラグマット




衣料用素材として使われる生地のおはなし 分類 特徴



種別 名前 特徴
織り方 サテン 日本語では、「(しゅす」 (繻子 ・ 朱子)
繻子織りにした織物で、帯地、半襟、洋服地などに用いられます

「しゅすおり」 (繻子織(り))
縦糸と横糸とが交差する点が連続することなく、縦糸または横糸だけが表に現れるような織り方、
または、その織物のことで、一般に縦糸の浮きが多く、斜文織りよりさらに光沢があります
良い点 光沢があり、柔軟で滑りがよく、サラサラ、薄いシルクのような感じで肌触りがいい
悪い点 摩擦に弱い
用途 帯地、半襟、洋服地など

目次 | 元のページ 前のページ | 次のページ サイトマップ | ページTOP
ホーム > 辞典 > ナイロン ポリエステル 等 衣料用繊維素材としての特徴と違い
   

© 2014 abhp.net All Rights Reserved.

参考情報


ポリエステルとナイロンの違い|強度や特徴などの比較
パンティストッキング - Wikipedia
オシャレは、下着から始めるとなんか良い感じ(^^)オシャレなかわいいナイロンショーツのお話♪ ( ファッション )
ナイロンショーツVSポリエステルショーツ☆違いをちょっとだけ細かくチェック♪
ポリエステルとナイロンの違いについて - レディース 【OKWave】
日本化学繊維協会(化繊協会)-Japan Chemical Fibers Association(JCFA)
綿・麻・絹・レーヨン・カシミヤ・モヘアなど 繊維の種類と特徴
ドレープ性とは? 布生地Q&A
指定外繊維とは?リヨセル・テンセルについて 東京都クリーニング生活衛生同業組合 Webサイト
テンセル

コンテンツ一覧

ページTOP
ページTOP
ページTOP
ページTOP