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太陽光バブルは誰のせいか |
電気の特性と大規模停電電気は、高すぎても低すぎてもダメで、常に安定した電圧を保つ必要があります 日本の家庭電力は、AC100V (一部 200V) というのは、誰でも知っている常識ですが、それを保証するために電力会社では様々な取組、仕掛けが構築されており、落雷等自然災害による局地的な停電こそあれ、幸いなことに、自然災害を原因としない地域的な大規模停電を一度も経験していません 大規模停電なんて、発展途上国でもあるまいしと思われるかもしれませんが、誰もが先進国と認めるであろうアメリカ合衆国でも、2003年8月14日、ニューヨーク市を含むアメリカ合衆国北東部8州と、隣国カナダ南東部1州まで巻き込み、29時間にもおよぶ大規模停電を引き起こしています この時の停電範囲は、オハイオ州、ミシガン州、ペンシルバニア州、ニューヨーク州、バーモント州、マサチュセッツ州、コネティカット州、ニュージャージー州、オンタリオ州(カナダ)、停電人口約5000万人、被害額40~60億ドルととてつもない規模に及んでいます 電気は、光と同様に秒速約30万kmという超高速で移動し、安価かつ安定的な貯蔵施設を作れない為、発電された電気は、その瞬間、電力系統内の消費者によって消費される必要があります 電力を安定して供給する為には、電力の消費量(需要)と発電量(供給)のバランスを常に保つ必要があり、また、電気は送電線内の電圧の高い場所から低い場所に流れようとする特性を持つ為、送電線内を枝分かれしながら流れ、一部地域での電力消費量が急増すると、その地域電圧降下を招き、また、周囲からの電力の流れ込みが発生し、付近一帯に電力動揺が引き起こされます 逆もしかりで、一部地域で供給過剰に陥ると、付近一帯が電力不安定に陥ります 始めに、日本の家庭電力は、AC100V と書きましたが、正確に言うと、この需要と供給の関係で多少のブレは常に発生しています そのブレの範囲をごくわずかなものに抑え込めているからこそ、安定供給が実現されているのです この安定供給の観点から見ると太陽光発電程不安定なものはありません 風力発電も急に風力が強まれば発電量は増加し、風力が弱まれば発電量は減少します ただし、風車を回すという機械稼働部分を持つため制御が可能で、瞬間的に風速が倍になったからと言って、瞬間的に発電力が倍になるわけではありません 対して、太陽光発電は、機械稼働部分を持たない為、天気が急に良くなれば、発電量が急増し、天気が悪く、風がやめば、発電量は急減し、それをコントロールする術はありません 雲の切れ間から直射日光が突然降り注ぐと、発電量も突然跳ね上がるのです その発電量が、その地域の送電網内の電力供給量に比して微弱な内は、通常のブレの範囲内に収まって問題は起きませんが、許容範囲を超えるブレが生じた場合、地域送電網のダウン、大規模停電を引き起こします アメリカ合衆国での大規模停電の原因も電力自由化により、中小発電事業者が乱立し、全体をコントロールする術を失ってしまっていたことに起因しています 日本では、地域独占企業として、軽視できない程の弊害ももちろんあるのですが、地域の電力コントロール機能を維持しているところが、大規模停電が発生していない最大要因です 太陽光バブルは誰のせいかところが、近年、そういった電気の特性すら理解できないような人間が、一国の首相を務めるという異常事態が発生したため、やっかいな問題を生み出すことになってしまいました 先に書きましたように、不安定な発電機能は、地域内で許容範囲内に収まるようにコントロールする必要があり、その機能をその地域の電力会社が担っているのですが、民主党政権下で、2012年7月に施行された再生可能エネルギー特別措置法(再エネ法)では、それまでの許容範囲内での電力の買い取りではなく、許容範囲と関わりなく、また、電力の質にも関わりなく、太陽光発電の全量買い取りを電力会社に義務づけるという、信じがたい法律が施行されました さらに問題なのは、その買い取り価格で、当時、孫正義氏(ソフトバンク社長)は、「ヨーロッパ並みの価格」 として、40円/kWh以上を要求しましたが、それは太陽光発電創成期の価格で、実際の当時の買取価格は20円台になっていました しかし、調達価格等算定委員会の植田和弘委員長は、「施行後3年間は、例外的に利潤を高める」と公言し、40円(非住宅用)という単価を設定しました このように、高値を設定したため、ゴールドラッシュならぬ、太陽光発電建設ラッシュが起きました どんな不安定な質の悪い電力でも、原価の倍以上の価格で全量電力会社が買い取ってくれる、つまり、リスクはゼロで必ず儲かる、猫も杓子も太陽光発電に飛びつくのは自明の理というものでしょう その後、単価は、2年目は36円、3年目は32円になりましたが、これでもヨーロッパの2倍、太陽光パネルの単価は、大規模設備では、20円/kWh程度くらいですので、32円でも大幅な利益が出ます この結果、2年目の最後(2014年3月)までに駆け込みで申請が殺到、設備ベースで、約7000万kW、原発70基分にのぼる膨大な設備計画となっており、これが全て稼働した場合、経済産業省の試算では、固定価格買い取り制度(FIT)による賦課金は、毎年約2兆7000億円(消費税の1%以上に相当)、この価格は20年間続きますので、総額は50兆円以上にのぼります 誰が、こんな無茶で愚かな法案を通してしまったのでしょか 時の菅首相(民主党)が「私をやめさせたかったら再エネ法を通せ」とゴリ押しし、また、1世帯あたり毎月935円にも及ぶその費用は、電気料金の形で一般消費者が賄うことになりますので、役所も自分の懐が痛むわけでもなく、原発事故でイメージの悪くなった経産省は、「クリーンエネルギー」のイメージに相乗りし、財務省、電力会社も同様、あまり抵抗することなく、業界の言い値で通ってしまいました 現在申請されている太陽光発電所全てに対応できる受電設備を整えるには、最大24兆円の設備投資が必要とされており、FITのため50兆円もの巨額な負担を押し付けられる一般消費者がその負担に耐えられるわけもなく、各地で新規の買い取りが凍結されているのが現状です 太陽光発電 今後の展望経済産業省では、買い取り決定後も長時間稼働していない再生エネ設備の認定取り消しや、太陽光発電からの送電を中断する制度の拡大など、供給制限策を検討しており、供給制限策の策定を前提条件に、九州電力が早ければ年内にも買い取り手続きを再開、北海道、東北、四国、沖縄の4電力でも再開が検討されています まだまだ異常に高い買取価格2015年2月24日、経済産業省の有識者会議「調達価格等算定委員会」が示した2015年度の買取価格案(委員長案)によると、太陽光発電(10kW以上、通称メガソーラー)は1kWhあたり、6月までが29円、7月から27円になります 固定価格買取制度(FIT)が始まった2012年度は40円、その後、2013年度36円、2014年度32円と切り下げられてきて、今回、2015年度29円→27円になろうとしていますが、ドイツの直近の価格は、12円(9ユーロセント、1ユーロ=135円で計算)、スペインやイタリアに至っては買取を停止したまま、他のFIT導入国で高いところでも 15ユーロセント(同20円)程度で、日本だけが異常な高値で買い取りを再開しようとしています 太陽光買い取り 段階的に 7円下げ 2016年12月12日経済産業省は、2016年12月12日、再生可能エネルギーでつくる電気を買い取る「固定価格買い取り制度」での 2019年度までの価格を段階的に引き下げることにし、13日に開く同省有識者会議の調達価格等算定委員会で示す事としました 住宅用太陽光(出力 10キロワット未満)を、現在の 1キロワット時当たり 31円を段階的に引き下げ、2019年度に 24円とする 陸上風力(出力 20キロワット以上)は、現在の 1キロワット時当たり 22円を 2019年度までに 19円へ引き下げる 価格の引き下げは、国民が負担している買い取り費用の抑制が狙いで、2012年に制度が始まり、太陽光などの導入が増えたが、事業者のコスト削減が進まず、買い取り費用は 約 2兆3000億円にまで増大しています |
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