ホーム > 辞典 > 海上交通 3法 とは 海の法律 海上衝突予防法 海上交通安全法 港則法
目次 | 元のページ 前のページ | 次のページ サイトマップ | ページEND

海上交通 3法 とは 海の法律 海上衝突予防法 海上交通安全法 港則法


海上交通 3法 とは 海の法律 海上衝突予防法 海上交通安全法 港則法



道路には「道路交通法」があるように、海上には船舶の衝突を防ぐため 3種類の「交通法規」(海上交通 3法)があります

ここでは、「海の交通ルール」をご存知ですか?(海上保安庁)」 に基づいて、それぞれの法規について、目的と代表的な交通ルールについて簡単にご紹介します








海上衝突予防法



名前のとおり、船舶の衝突を防止するための代表的なもので、すべての海域(場所)での基本となるルールが定められています





代表的な交通ルール
行き合い船の航法 2隻の船が真向かいに行き会う場合で衝突のおそれがあるときは、互いに相手船の左舷側(船の左側=ポートサイド)を通過する
横切船の航法 2隻が互いに進路を横切り、衝突のおそれがあるときは、相手船を右舷側(船の右側=スターボードサイド)に見る方の船が相手船を避ける
その他
船の状況(運転不自由の船、漁業に従事している船等)による優先関係
操船信号(針路を変える場合や後進する場合)の実施
船の夜間の灯火(右舷:緑色、左舷:赤色、マスト:白色が基本の灯火)の表示等、衝突防止のための細かいルールがあります


日本での自動車交通は、右側通行が原則であるように、全世界とつながる海上では、国際ルールとして、右側通行が原則となっています

その為、相手船を避ける際は、右側に舵を切り、相手船を自船の左側を通過できるように回避するのが原則となります


また、船には、船の右舷(うげん)(右側)=スターボードサイド(star-board side)、船の左舷(さげん)(左側)=ポートサイドという呼び方(考え方)があります


現在の船は、舵は船尾についていますので、感覚的には理解しがたいところですが、昔は、舵(を取るための板)を船尾の中央に取り付ける技術がなく、特にバイキング船では、舵は必ず船の右舷側についていましたので、一般的に、右舷のことを「操舵する舷―スティアボード(steer-board)」と呼んでいましたが、次第になまってスターボードになったと言われています

舵を(左側ではなく)右側に取り付けるようにした理由については、右利きの人が舵を操作するのに右側にあった方が便利だということから決められたという説が有力で、小型船の船尾で、船外機や舵を右手で操作するところからも容易に想像でき、また、操船の最高責任者である船長の居室が、舵を取りやすいよう、伝統的に右舷に設けられているのもこのためだと言われています


その為、操船指揮者の船長がいる右舷側の方が船長の視認性が良く、的確な指示を出しやすいため、相手船を船長の視認性が悪い左舷側に見ている船を、相手船を右舷側に見ている船が避けてあげるのが原則となっており、『スターボード艇優先の原則』と言われています

ただし、この『スターボード艇優先の原則』は、帆船の時代、スターボードから風を受けて進む帆船は、船体が左に傾いており、その為、舵が通常より浮き上がることになり、舵の効きが悪くなる為、相手船を避けたくても避けることが困難であることに由来して定められ、現在まで受け継がれてきたものです


現在の海上衝突予防法では、左舷側には紅(赤)灯、右舷側には緑灯の装備が法定されており(海上衝突予防法21条2項)、紅(赤)灯が視界にある船舶には回避義務があり、緑灯が視界にあるスターボード艇が優先であることを示しています

道路信号の赤信号、緑(あお)信号と同じ考え方ですが、海の上では赤信号だから止まれと言われても直ぐには止まれませんので、相手を避けなさいという意味になります


なお、舵が右舷にあれば、当然、港の岸壁 ・ 桟橋等への接岸は、じゃまになる舵のない左舷側で行われ、人や積み荷の出し入れ口として利用しますので、かつて、左舷は、「積荷をする舷=ラドボード(lad-board)」がなまったものとされる、「ラーボート(lar-board)」と呼ばれていました

その後、19世紀半ば、英国 ・ 米国の海軍が世界の海を駆け巡るようになると、英語のスターボードとラーボードが発音上まぎらわしく、聞き間違えて、しばしば事故の原因となったため、左舷は、港(port)側の舷だからということで、呼称をポートに変更、その後、このポート(サイド)という呼び方が一般的となりました


日本人にとっては(少なくとも筆者には)、単に、右舷、左舷と言ってくれた方が分かり易いのですが、子どもに右 ・ 左を教える際、箸を持つ方、なんて教え方もありますので、箸を持たない文化圏の人にとっては、右 ・ 左という方が馴染みにくいのでしょうか

左舷=港側という考え方は、そのまま現代の航空機にも引き継がれており、旅客機などの出入口は、伝統的に機体の左側に設けられます


余談になりますが、このことからも、自動車交通において、船(航空機)の船長(機長)が右に座るように、自動車の運転者が相手車への視認性の良い右側に座り、ハ゛スの乗降口が歩道側となる左側に設けられる左側通行である方が、(伝統的には)理にかなっていることが分かります

相手船に対して右側に回避する右側通行に対し、左側通行では相手車を左側に回避することになり、その点は逆になりますが、車線のような区分線の無い海上と異なり、近代的に整備された道路では、そのような回避機会は余りありませんので、自動車交通における右側通行は、道路が未整備な時代、あるいは、地域の名残と言えそうです

今更、右側通行の国に左側通行に直せと言っても、まあ、無理な話でしょうけど




海上交通安全法



東京湾 ・ 伊勢湾 ・ 瀬戸内海の3海域は海上交通がふくそうしているうえ、周辺には重要な港が存在し、非常に大きな船(巨大船:長さ 200メートル以上の船)なども航行することから安全を確保するため定められています

これらの海域には、合計 11の特別な航路が設定されており、それぞれの航路について細かいルールがあります





共通する代表的な交通ルール
航路航行船の優先 航路を出入りしようとしたり、横断しようとする船舶は航路を航行中の船舶の針路を避ける
航路航行義務船 長さ 50メートル以上の船舶は航路を航行する
速力の制限 航路の定められた区間においては12ノット未満で航行する
その他
九州沿岸にはこの法規が適用される海域はありません




港則法



港内における 「交通の安全」、「港内の整とん」 のため定められています





代表的な交通ルール
出航船の優先 港の防波堤の入口付近で衝突のおそれがある場合、入航船に対して出航船が優先する
右小回り、左大回り 防波堤などの突端や停泊船を右舷に見て航行するときは、できるだけこれに近寄り、左舷に見て航行するときはできるだけ遠ざかって航行する
雑種船の避航 雑種船(小さな作業船等)は雑種船以外の船舶の針路を避ける
航路航行義務 特定の港(特定港:宮崎県では細島港)で、航路が設定されている場合、雑種船以外の船舶は航路を航行する
その他
特定の港では港ごとの細かいルールがあります



以上、海上における交通法規、ルールについて簡単にご紹介しましたが、基本となる「海上衝突予防法」のほか、海域によっては「海上交通安全法」や「港則法」が優先的に適用される場合がありますので注意が必要です


このページは、「 「海の交通ルール」をご存知ですか? - 海上保安庁 」 に基づいて、編集 ・ 執筆しています

目次 | 元のページ 前のページ | 次のページ サイトマップ | ページTOP
ホーム > 辞典 > 海上交通 3法 とは 海の法律 海上衝突予防法 海上交通安全法 港則法
   

© 2014 abhp.net All Rights Reserved.

関連情報サイト


「海の交通ルール」をご存知ですか? - 海上保安庁
http://www.kaiho.mlit.go.jp/10kanku/miyazaki/uminohitokutitisiki/koutururu/koutururu.htm
http://www.kaiho.mlit.go.jp/06kanku/news/press/press.pdf/24-09-05.pdf
日本船主協会:海運資料室:海運雑学ゼミナール
スターボードサイド、ポートサイドって/海の不思議箱 日本船舶海洋工学会 海洋教育推進委員会
スターボード艇優先の原則 - Wikipedia

コンテンツ一覧

ページTOP
ページTOP
ページTOP
ページTOP