東京外かく環状道路 千葉区間 松戸IC-高谷JCT間
東京外かく環状道路は、都心部から半径 約 15kmの位置に計画されている 延長 約 85kmの環状道路で、一般道路の国道 298号と高速道路を合わせて「東京外かく環状道路」、高速道路の路線を「東京外環自動車道(外環道)」と呼びます
最初に完成した 1992年開通の外環道 埼玉区間に続き、その約 16年後となる 2018年6月2日、外環道 千葉区間 松戸IC(インターチェンジ)-高谷JCT(ジャンクション)間の延長
12.1kmが開通、並走する国道 298号の延長 11.4kmも同日に供用を開始したことにより、外環道 千葉区間の三郷南IC-高谷JCT間の延長
15.5kmが完成、総延長 約 85kmの外環道のうち約 6割が完成となりました
東京外かく環状道路 千葉区間は、主に地下に片側2車線の高速自動車国道(外環道)、地上に側道付き片側2車線の一般国道 298号が造られています
埼玉の三郷南ICから千葉の高谷JCTまでの延長 約 15.5kmが完成により、外環道によって関越自動車道と東北自動車道、常磐自動車道に加え、新たに京葉道路、首都高速道路湾岸線、東関東自動車道といった各放射道路が結ばれました
また、外環道の千葉区間と並走する国道298号も、国道6号から東京湾沿いを走る国道357号までの計 11.4kmも同時に開通、事業費は三郷南IC-高谷JCT間の高速道路が
約 9100億円、千葉県内の国道 298号と付随施設が 5635億円となっています
外環道千葉区間の開通によって、高谷JCT-三郷JCT間の所要時間は従来の 43分から 17分に、高谷JCT-川口JCT間は 54分から 28分に、高谷JCT-大泉JCT間は
60分から 42分になるなど、高谷JCTで外環道と接続する東関道から常磐道など他の高速道路へ行く所要時間は、首都高などを経由する場合と比べて
18分から 26分程度短縮されます
首都圏の交通円滑化や物流分野の生産性向上だけでなく、沿道地域の渋滞緩和や安全性向上、広域的な観光交流の促進など、様々な効果も期待されています
東京外かく環状道路 千葉区間 (資料:東日本高速道路会社)
|
[高速道路] 東京外環自動車道 |
[一般道路] 国道298号 |
区間 |
埼玉県三郷市高州-千葉県市川市高谷 |
千葉県松戸市小山-千葉県市川市高谷 |
計画延長 |
15.5km |
12.1km |
設計速度 |
時速 80km |
時速 60km |
車線数 |
4車線 |
4車線 |
計画交通量 |
2万9600~4万9700台/日 |
3万1600~4万5600台/日 |
事業費 |
約 8959億円 |
約 5635億円 |
事業主体 |
東日本高速道路会社 |
国土交通省 |
|
|
東京外かく環状道路の千葉区間は、1969年、高架構造で計画されましたが、市街地を通過するため、環境に配慮した構造が再検討され、騒音を抑える目的で、一部が開口部が設けられた半地下構造である「掘割スリット構造」となり、同時に、環境施設帯なども整備されています
幅2.5mの柱が2.5m間隔で並び、自然換気できるので、車の排気ガスを外へ逃がすための換気所が不要になり、また、トンネル内で火災が起こった際、煙をそのまま排出できるというメリットもあります
一般国道の上下線の間に設けられた開口部では、半地下構造の道路を車で走行していると発生する、柱と柱の間から差し込む日差しによるチラツキを防ぐため、網膜ルーバーと呼ばれる遮光板で覆われています
開口部を覆う遮光ルーバーによって柱の隙間から断続的に差し込む日差しを和らげ、車を運転する際のちらつきを抑えるとともに、風雨を遮る効果もあります
|
|
|
国道464号北千葉道路と接続する予定の北千葉JCT建設予定地
北千葉道路との接続用ランプ等の準備工事が行われている
北千葉道路は、外環道と成田空港を最短で結ぶ計画延長43kmの幹線道路ですが、建設予定は未定となっています
|
|
|
外環道の千葉区間は全てハーフインターチェンジで、出入り口が片方向だけに限定されています
隣接するICごとに入り口と出口が入れ替わるのが特徴で、外回りの場合、市川北ICには出口だけがあり、次の市川中央ICは入り口だけ、その次の市川南ICは出口だけとなっています
|
|
|
ハイウェイラジオの案内板
主要なジャンクションやインターチェンジの手前などで、交通情報を知ることができます
|
|
|
京葉JCTの案内板
|
|
|
市川南ICを過ぎると、地下から高架へ向かう上り勾配が続きます
高谷JCTの案内板
|
|
|
高谷JCTから北を望む
高谷JCTからは三郷JCTまで 19km、川口JCTまで 31km、美女木(びじょぎ)JCTまで 40kmの案内板が出ています
|
|
|
高谷JCTの高架から地下へ向かう下り勾配が続きます
|
|
|
市川南ICを過ぎると、京葉JCTが現れます
左へ分岐すると、京葉道路の東京方面となる首都高7号小松川線へつながりますが、開通時は、外環道の高谷JCT方面から京葉道路の千葉方面へは向かうことができません
|
|
|
京葉JCTの外環道の内回り本線には、京葉道路の東京方面と千葉方面から計2車線で合流します
その先には市川中央ICの出口があります
|
|
|
市川中央IC
外環道の千葉区間は内回りも外回りと同様、隣接するICごとに入り口と出口が交互に現れます
|
|
|
外環道高架区間
国道298号は地上を通る一方、外環道は地下から高架に移ります
高架の一部には景観に配慮した透明な遮音壁が採用されており、圧迫感が少ない
|
|
|
矢切高架橋、常磐線跨(こ)線橋、外環葛飾大橋など、橋梁が断続的に続き、常磐線跨線橋は、国道6号とJR常磐線の上空を跨ぎます
|
|
|
外環道の川口JCTや常磐自動車道の柏ICなど、主要な地点までの所要時間を表示する電光掲示板
|
|
|
この先は三郷南IC、三郷JCTなどへ続きます
|
|
|
外環道外回り松戸IC付近
渋滞状況を路線図で確認できる案内板が設置されており、複数あるルートの中から、すいている方を選択できます
|
|
|
開通区間は、東京都葛飾区内も通過する
写真は都県境を流れる江戸川に架けた外環道の高架橋
|
|
|
外環道で初めて導入された「ペースメーカーライト」
外回り本線の松戸IC付近にある下り勾配区間、高谷JCTの手前にある上り勾配区間、内回り本線の松戸IC付近から3%を超える上り勾配区間の計3区間に設置されています
照明灯具は1.2mの高さに10m間隔で取り付けられており、運転者が気づかないうちに車の速度が上がったり下がったりしないように、進行方向に一定のスピードで青色の光が点滅して移動します
照明は青や赤以外にも様々な色を表現できるLEDが使われています
開通前のカラフルな虹色点灯のデモンストレーション時の様子
開通後はまず見られません
事故発生などの非常時は、ペースメーカーライトが赤色に点滅し、後続の運転者などに警告します
|
|
|
トンネルの入り口から 200mまでの区間には、警告灯付きの照明を設置
トンネル内で事故が発生した場合、入り口を赤色の警告灯で激しく点滅させ、後続の運転者に危険を知らせます
|
|
|
避難階段は掘割スリット区間で約1km間隔、トンネル区間は約400m間隔で設置
扉を開けて階段を上がれば、地上に避難できます
|
|
|
松戸ICの手前にある地上へ出るための避難階段
|
|
|
階段を上ると出口専用の扉があり、外に出ることができます
|
|
|
非常電話は、受話器を上げてボタンを押すだけで、警察や消防などにつながります
|
「 光差す外環「神殿」で春のコンサート 日経 xTECH(クロステック) 2017/05/11 」 「 最初で最後のイベント、開通直前の外環を味わい尽くす 日経 xTECH(クロステック) 2018/05/25 」 「 いよいよ開通!外環千葉、密集地貫く半地下構造 日経 xTECH(クロステック) 2018/05/30 05:00 」 より
|
|
高谷JCTから常磐道、東北道、関越道までの所要時間の比較。首都高経由から外環道経由となることで短縮される
(資料:東日本高速道路会社)
|
東京外環 自動車道 千葉区間 松戸IC-高谷JCT間 京葉ジャンクション(JCT)
東京外環 自動車道 京葉ジャンクション (JCT)は、建設中の東京外かく環状道路(外環道)千葉県区間(12.1km)と、首都高小松川線から千葉方面へと延びる京葉道とを結ぶジャンクション
(JCT)で、2017年度に完成する予定です
京葉JCTのイメージ図 (資料:NEXCO東日本)
京葉道も外環道千葉県区間も、東日本高速道路会社(NEXCO東日本)が管理する高速道路で、外環道は千葉県区間も、開通済みの埼玉県区間同様、高速道部を中心に、その両側を国道部(国道298号)がはさむ道路で、京葉道の上を外環国道部、下を高速道部が通過、さらに高速道部の下にランプが通るという、多層構造となります
京葉JCTのイメージ (資料:NEXCO東日本)
高速道+国道の外環道と京葉道を連絡させる京葉JCTでは、外環道千葉県区間の高速道部が地下を走り、国道部(国道298号)が地上を通ることから、京葉道を高架で越える国道部は空中に、地下を走る高速道部と京葉道を連絡する道は主に地中に建設されます
また、京葉JCTのすぐ東側には、既存の市川インターチェンジ(IC)があります
京葉JCTが完成し、外環道千葉県区間 ・ 埼玉県区間が開通すると、京葉道や湾岸道と、常磐道 ・ 東北道 ・ 関越道などが都心環状線を経由せずに行き来できるようになります
NEXCO東日本によれば、湾岸道と常磐道の間は、一般道を一部経由する現ルートで 40分かかるのに対し、外環道開通後は 15分になるということです
|