JR 東京駅 駅前広場 行幸通りと一体化 2017年12月
東京駅丸の内駅前広場、および、駅前広場から皇居方面へと続く行幸通りが、JR東日本と東京都による大規模改修を経て、2017年12月、改修整備が完了、東京駅から皇居にかけての一体的な景観軸が完成しました
今回の改修プロジェクトでは、もともと存在していた東京駅と皇居をつなぐ軸線を景観整備することで、歩行者が自由にくつろぐことのできる空間として広く開放しています
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路面温度上昇を防ぐ目的で、駅前広場に夏季限定 「水盤」を設置
写真は、試験時の様子
(写真:JR東日本)
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東京駅丸の内駅前広場の平面図
交通広場の事業主体である東京都は、JR東日本に整備を委託、同社が中央広場と一体的に整備
「 20年越しの首都の顔づくり 日経 xTECH(クロステック) 2018/05/11 」 より (写真:JR東日本)
鉄道駅前にこれだけの空間を整備するケースは、世界でも類例がないということで、例えば、街の中心に美しい広場を持つフランス・ニースでも、鉄道発祥の地のロンドンでも、鉄道駅舎は立派だけれどひとたび駅舎の外に出ると交通広場のロータリーしかなく、駅前の空間は、そこで交通機関を乗り換えて別の目的地に行くための中継点でしかありません
欧州の広場は、教会や市庁舎の前に造られるようなケースが一般的で、東京駅のように駅前に大きな広場を整備したケースは世界的にみても珍しいということです
行幸通り平面図・断面図
行幸通りの幅員は 約 73mで、幅員 約 70mのパリのシャンゼリゼ通りに匹敵する
「 20年越しの首都の顔づくり 日経 xTECH(クロステック) 2018/05/11 」 より
行幸通りの中央部分に続く白い御影石による石畳の帯は、幅員を広げながら駅前広場へと連続、駅前広場と行幸通りの照明柱は鋳鉄製で、同じデザイナーがその場に合ったものをそれぞれデザイン、駅前広場のケヤキの列植は、行幸通りを貫くイチョウ並木の延長線上に整備されています
一体化整備前の JR 東京駅 駅前広場 行幸通り
主に自動車交通のために利用されてきた改修前の駅前広場は、いわば車のための空間で、かつての都電の路線がそのまま道路として残った弓形の道路が駅前広場を分断していました
また、大正期に整備された幅員40間(約73m)の行幸通りは、モータリゼーションの波が押し寄せた戦後のある時期は駐車場として活用されていたこともあり、その後、1960年には、当時の駐車場不足を背景に、行幸通りの一部の地下空間に丸の内駐車場が整備されました
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2004年に撮影した改修前の駅前広場
昔の都電の路線跡が弓形の道路として残り、駅前広場を分断していた
(写真:JR東日本)
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改修前の行幸通り
アスファルト舗装で、普段は活用されずにいた
(写真:JR東日本)
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行幸通りの中央部分を占める馬車道は、もともとアスファルト舗装で、外国大使の信任状奉呈式といった皇室の公式行事などでリムジンや馬車が通る道として使われる以外、車両の進入を防ぐ柵で仕切られており、普段は活用されていませんでした
行幸通りには、もともと 4列植栽のイチョウ並木が整備されていましたが、1960年に行幸通りの地下に駐車場が整備されたことで、一部を伐採、丸の内区間の4列植栽のイチョウ並木は
2列植栽になっっていましたが、今回の改修整備で再び、4列植栽に整備されています
また、行幸通りの丸の内区間の地下 1、2階にあった駐車場のうち、地下 1階部分は 2007年に三菱地所が歩行者通路に改修、「行幸地下ギャラリー」としてオープンしています
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改修前後の換気塔のイメージ
(写真:JR東日本)
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駅前広場の設計者であるジェイアール東日本コンサルタンツは、駅前の景観を塞いでいた高さ 約 13mの 2塔の換気塔について、地下駅の機能確保に必要な空気流量を計算、事業者のJR東日本は、2塔の換気塔の高さを
約 13mから 約 4mに切り下げることを決めました
換気塔の庇はガラスとすることで、庇の下の明るさや周辺ビルから見下ろした時のデザイン性に配慮、地下からの排気が、換気塔の上部から再び給気されないための工夫として、庇は
3mほど張り出して造られています
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