沖縄県 女性会社員(20) 強姦殺人 遺棄事件 那覇地裁 判決 無期懲役 2017年12月1日
沖縄県うるま市の女性会社員(当時 20)が、2016年4月28日夜、殺害された事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死罪(現・強制性交致死罪)などに問われた元米軍属の男性(33)の裁判員裁判で、2017年12月1日、判決公判が開かれました
判決公判で、那覇地裁 柴田寿宏裁判長は、男性(33)が被害者の後頭部を打撃棒で殴ったり腕や手で首を絞めたりしたほか、ナイフで首を刺したりしたことから、いずれの行為でも「死亡させる危険性が高いと認識しながらあえて実行した。殺意が認められる」とし、「殺人罪が成立する」と述べ、求刑通り無期懲役を言い渡しました
検察側は逮捕直後に一連の犯行を説明した男性(33)の供述は信用性があるとして、命を奪う危険性が高いと分かりながら一連の行為に及んでいると指摘していました
身勝手でおよそ酌量の余地はない
那覇地裁 柴田寿宏裁判長は、「動機は身勝手でおよそ酌量の余地はない」と述べ、男性(33)が被害者が死亡する危険性が高いと知りながら、ナイフで複数回刺すなどしており、男性(33)の一連の行為の結果被害者は死亡したと認定、男性(33)が女性を乱暴しようと考え殺人に及んだとしました
また、「後頭部を殴打し、首を絞め、首の後ろ付近を刺すという危険な暴行を、死亡するまで続けた。人の命を大切に思う気持ちが少しでもあれば、途中でやめることができたはずだ」と非難、「被害者には何の落ち度もなく、無念さは計り知れない」として、刑事責任は重大だと指摘、無期懲役より軽い刑を科す理由はないとしました
被害者父親のコメント
判決後、父親は代理人弁護士を通じてコメントを発表しました
「私たちは極刑を願い、真実を知りたくて裁判に参加しましたが、願いがかなうことはできませんでした。娘は痛み、苦しみの中でこの世を去りました。娘の無念を思うと死刑しか考えられません。遺族には殺した人数や前科とかは関係ないのです」
(筆者補足:男性(33)は、公判中も黙秘を続け、判決の際も左手でほほ杖をつき、憮然としていました)
「被告は自分を守り、本当のことを話しませんでした。反省もみられず、平然としていました。被告には真実を述べてほしかった。私たちと娘に謝ってほしかった。被告を許すことはできません」
「私たちは日々悲しみ、苦しみの中にいます。それは生きている限り続くのでしょう。これからも娘を思い供養していきます」
沖縄県 女性会社員(20) 強姦殺人 遺棄事件 那覇地裁公判 2017年11月24日
沖縄県うるま市の女性会社員(当時 20)が、2016年4月28日夜、殺害された事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死罪(現・強制性交致死罪)などに問われた元米軍属の男性(33)の裁判員裁判が、2017年11月16日、那覇地裁(柴田寿宏裁判長)で始まりました
起訴状などによる事件の概要
起訴状などによると、男性(33)は、2016年4月28日午後10時頃、沖縄県うるま市内でウォーキング中の女性を乱暴目的で襲い、女性の後頭部を革袋の先端に重りが入った鈍器で殴り、草地に連れ込んで両手で首を絞めた上、ナイフで首付近を数回突き刺すなどして殺害、遺体をスーツケースに入れて車に積み、沖縄県恩納村の雑木林に遺棄して土をかけたとされています
男性(33) 殺人を否認 他は黙秘
男性(33)は、罪状認否で、「殺すつもりはなかったし、殺してもいません」と殺人を否認、「気絶させてホテルに連れて行き、乱暴した後に解放するつもりだった。しかし、思い通りに気絶せず計画通りに進めることができなかった」と主張、強姦致死罪と死体遺棄罪については、「有罪の答弁をする」とする一方、被告人質問には「黙秘権を行使する」と供述を拒否しています
沖縄県警は 2016年5月、男性(33)を任意で事情聴取、供述に基づき遺体を発見、男性(33)を逮捕していますが、男性(33)は、首などを刺したと認める逮捕直後の供述調書など、犯行内容について確認する検察側の質問等に一切答えず、弁護士と検察双方の質問に対し、「黙秘権を行使します」と述べ、逮捕後の捜査段階で供述拒否に転じて以降、一貫して黙秘を続けています
検察側 無期懲役を求刑
検察側は、男性(33)が、通行中の女性を乱暴した上で殺害しようと考え、鉄と鉛でできた打撃棒やナイフ、襲った後に被害者を運ぶためのスーツケースなどを用意して犯行に及んでおり計画的だったと指摘しています
男性(33)は、うるま市で襲う女性を物色、背後から被害女性の後頭部を棒で数回殴り、首に腕を巻き付け絞めたりしたほか、ナイフで首の後ろ付近を刺したとして、「命を奪う危険性を分かりながら行為に及んでいる」「頭部を数回殴打し、首を絞め、ナイフで首を刺していることから殺意は認められる」としています
男性(33)は、車に積んでおいたスーツケースを用いて恩納村県道脇の雑木林に遺体を遺棄、準備していた土を遺棄した遺体にかけた後、「米海兵隊キャンプ・ハンセンのごみ捨て場に、死体遺棄の際に使ったスーツケースを捨てるなど証拠隠滅も図っている」とし、犯行は「計画的、通り魔的で動機は身勝手」と指弾しました
検察側は、「何の落ち度もない被害者の生命と未来を奪った犯行で、結果は重大」、謝罪や反省の態度もないため「死刑を検討する事案」とした上で、国内での前科がないことなどを考慮したとし、無期懲役を求刑しました
弁護側 殺意を否認
弁護側は、「乱暴目的で女性を殴ったが、気絶させられず、パニックになって首を絞めた。死んでしまったことは想定外だった。殺害する意図はなかった」と述べ、棒で殴ったり、首を絞めたりしたのは気絶させるためで殺意はなかった、暴行現場で被害者を抱きかかえ草むらに飛び込んだ際に被害者が地面に頭を打ち付け死亡した可能性があるなどと主張しています
男性(33)は、元米海兵隊員で、事件当時は米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)内でインターネット関連の仕事をしていましたが、逮捕後に辞めて、現在は米軍属の地位はないということです
被害者の両親 死刑を要望
被害者の両親は、被害者参加制度に基づき出廷、「死刑を望みます」「命をもって償ってください」との意見陳述を行っています
公判の流れ 判決 2017年12月1日予定
公判は、2017年11月17日に被害者参加制度を利用した遺族の意見陳述や被告人質問などが行われ、24日に結審、判決は 12月1日の予定です
沖縄県 女性会社員(20) 強姦殺人 遺棄事件 那覇地裁で公判決定 2016年8月1日
沖縄県うるま市の女性会社員(当時 20)が、2016年4月28日夜、殺害された事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪で起訴された元米海兵隊員で軍属の
男性 ・ ケネフ ・ フランクリン 被告(32)が、裁判員裁判を那覇地裁ではなく東京地裁で受けられるように求めていたのに対し、最高裁第二小法廷(小貫芳信裁判長)は、2016年8月1日付で、請求を棄却することを決定、男性の公判は那覇地裁で行われることが確定しました
刑事訴訟法は 17条で、「裁判の公平を維持できないおそれがある時」に管轄裁判所の移転を請求できる、と定めており、男性(32)は、沖縄県内で事件が大きく報じられ、抗議行動も行われたことなどから、「沖縄県民は被告を厳罰に処すべきだとの予断を持っており、公平な裁判を受けられない」と主張し、弁護人の高江洲歳満弁護士が、2016年7月4日、管轄裁判所を那覇地裁から東京地裁に移管するよう最高裁に請求していました
最高裁第二小法廷は、「裁判員制度では、公平で適正な裁判が行われることが制度的に十分保障されている。那覇地裁で公平な裁判が行われることが期待できないとはいえない」と判断しました
沖縄県 女性会社員(20) 強姦殺人 遺棄事件 元米兵 在日米軍属 逮捕 2016年5月19日
沖縄県うるま市の女性会社員(20)が、2016年4月28日午後8時頃以降、行方が分からなくなっている事件について、沖縄県警は、在日米軍軍属の男性(32)(米国籍)(沖縄県与那原町)の供述に基づき、沖縄県北部、県道脇の雑木林から女性会社員(20)の遺体を発見、男性(32)を、女性の遺体を遺棄した疑い(死体遺棄容疑)で緊急逮捕しました
さらに、沖縄県警は、男性(32)の説明通り遺体が見つかったことや、逮捕当初の「わいせつ目的で女性を狙った」「女性の首を絞め、ナイフで刺して殺した」などの供述、遺体の骨の傷痕から、殺人容疑と強姦致死容疑での再逮捕は可能と判断、女性会社員(20)に性的暴行を加え殺害したとして、殺人と強姦(ごうかん)致死容疑で、2016年6月9日午後、男性(32)を再逮捕しました
女性会社員(20)は、2016年4月28日午後8時頃、同居していた男性に、「ウオーキングしてくる」とスマートフォンの無料通信アプリLINEを使って連絡して以降、行方が分からなくなっていました
発見された女性会社員(20)は、沖縄県北部、恩納村安富祖の県道104号から約 10メートル入った雑木林に置かれるように遺棄されており、身に着けていたとみられる黒のパーカと短パンのような服も見つかっていますが、部分的に白骨化、歯形や歯の治療痕から女性会社員(20)と確認、また、女性会社員(20)が履いていたとみられる赤いジョギングシューズも近くで発見されました
女性会社員(20)は、死後3週間経っていて発見されたため、遺体の損傷が激しく、司法解剖でも死因を特定できませんでしたが、下腹部など胴体部分の骨には刃物による複数の傷が確認されています
女性会社員(20)襲撃に使ったとみられる棒と女性会社員(20)の自宅の鍵は、スマートフォンの位置情報が途絶えたうるま市州崎周辺の水路から発見されましたが、スマートフォンはまだ見つかっていません
男性(32)は、「襲う相手を探して、2~3時間車で走っていた」、「狙う女性を2~3時間探し、見つけた女性を背後から棒で殴って襲った」、「(女性を)後ろから棒で頭を殴った」、「棒で頭を殴り、乗用車に連れ込んだ」、「女性を強姦(ごうかん)した」、「草むらに連れ込んで暴行した」、「首を絞めたほかナイフで刺して殺した」、「動かなくなった女性を雑木林に埋めました」などと供述
また、「遺体をスーツケースに入れて(乗用車で)運んだ」、雑木林に遺棄する際にケースから出したとも供述しており、沖縄県警は遺棄をあらかじめ計画していた可能性があるとみて調べています
男性(32) とは
男性(32)は、元米海兵隊員、現在は米軍嘉手納基地内で、コンピューターや電気の配線の仕事に携わっており、接見した弁護士には、米ニューヨーク州出身で、自身の職業は、「会社員」、米海兵隊員として沖縄に派遣され、その際に日本人女性と知り合って結婚、妻と日本で暮らすために
2年ほど前に海兵隊を辞め、その後、米軍嘉手納基地でインターネット関連の仕事に携わっており、生後数ヶ月の子どもがいると説明しています
米国防総省によると、男性(32)は、2007年7月から2014年9月まで米海兵隊に在籍、除隊時の階級は 3等軍曹で、最後の勤務地は、ワシントンの海兵隊施設とのことです
沖縄県警は、女性会社員(20)が、財布などを自宅に残して外出したことなどから、事件や事故に巻き込まれた可能性もあるとみて、2016年5月12日から写真などを公開して捜索、女性会社員(20)の携帯電話の位置情報が自宅近くの工場地帯で最後に確認され、沖縄県警が周辺の通行車両の記録などを調べ、周辺の防犯カメラには米軍関係者が乗る「Yナンバー」の男性の車の映像が映っていた等、米軍軍属男性(32)が浮上、任意で提出を受けた車両から見つかった血痕等から女性会社員(20)のDNAが検出され、事情を聞いていました
米国防総省 日本の捜査に全面協力 日本の法制度で裁かれることを希望 2016年7月4日
男性(32)は、米軍属の為、米兵と軍属の保護などを定めている日米地位協定で保護される権利を有していますが、今回の事件を巡っては、
(1)公務外の犯行
(2)基地外に居住し、日本側当局が先に身柄を確保した
等の条件が重なり、起訴前の身柄の引き渡しなど、地位協定を巡る問題は生じていません
米国防総省は、2016年5月21日、カーター米国防長官と中谷元防衛相との電話会談で、沖縄県うるま市の会社員女性の死体遺棄事件で逮捕された米軍属の男性(32)について、「日本の法制度に基づき責任が問われることを望む」と伝えたと発表しました
カーター米国防長官は、国防総省が捜査に全面協力すると改めて約束し、同様の事件の再発阻止に向け「できることは全てする」と強調しています
ところが、男性(32)は、「沖縄の人の裁判は受けない」と主張、同事件は裁判員裁判の対象で、弁護人は、2016年7月4日、裁判員裁判では初の移転請求となる裁判の管轄を那覇地裁から東京地裁に移すよう求める請求書を最高裁宛てに提出しました
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