NEC PC-98 で使える ハードディスク CF 書込み回数制限とデータ自然蒸発 |
NEC PC-98 で使える ハードディスク CF 書込み回数制限とデータ自然蒸発CF で使用されている フラッシュメモリ とはCF(コンパクトフラッシュ)カードを始め、SDカード、USBメモリ、メモリースティック等では、記録媒体として、フラッシュメモリを使用しています フラッシュメモリは、フラッシュEEPROMやフラッシュROMとも呼ばれ、薄い絶縁体の酸化膜で蓋をされたメモリセルに電子を充填し、その電荷を測ることにより情報として認識します フラッシュメモリには、バイト単位のランダムアクセスによる読み出しが可能な NOR型と、ブロック単位のシーケンシャルアクセスでしか読み出しができない NAND型がありますが、NOR型が、マイコン応用機器のシステムメモリに適し、従来から使用されていたROMの置き換えに使用されているのに対し、NAND型は、データストレージ用に適し、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルオーディオプレーヤーなどの記憶媒体として使用されています 「 フラッシュメモリ - Wikipedia 」 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 より CF 書き込み回数 制限フラッシュメモリを使用している、CF、SSD等には、データの書き込み回数 (1ブロックあたり数万回程度) に制限があり、SSDや、フラッシュ ATAドライブ、メモリカードでは、一般的に (すべてではない) 寿命を極力延ばすため書き込み個所が一か所に集中しないようにウェアレベリング機能によって分散して書き込むようになっています ウェアレベリング機能は、空き領域 (未使用領域、一度も使われていない領域) が必要なため、全領域を確保してしまうとウェアレベリング機能で使用する空き領域 (未使用領域) が減って寿命が短くなりますので、 HDDとして CFカードを使う場合では、全領域を確保しないようにします (DOSで領域確保する場合、1割程度未使用領域を残す) また、デフラグ、スキャンディスクのクラスタスキャンなど、頻繁に書き込む機能を実行してはいけません 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 より CF データ自然蒸発 データ保持期間CF、SSD等で使用されているフラッシュメモリには、データ記憶方式に起因するデータの自然消失現象があり、メーカーの公称値では、書き換えによって劣化していない状態(書き換え限度の10%以下)で、数年(TLC)、5年(MLC)、10年(SLC)、書き換え限度まで達した状態から1年とされています 長期保管時のフラッシュメモリの機構が起因するデータの蒸発などのリスクがあり、早ければ 1年、もって5年でエラー (データ化け) が出始める可能性もあり、ハードディスク(HDD)代わりに SSD が用いられることが多くなった広く知られることになった書込み回数制限より、実際は、こちらのデータ自然蒸発の方がやっかいな問題です CF、SSDをHDD代わりに 使用する際は、数か月に一回程度の定期的な全記録内容のリライト(再書き込み)とかバックアップが必要になります 「 フラッシュメモリ - Wikipedia 」 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 より CF 全記録内容のリライト(再書き込み) バックアップ方法
尚、FORMATコマンドを用いて、Cドライブ、Dドライブを交互に「アクティブ」から「スリープ」に変更するようにすれば、常に、どちらかの領域が常にCドライブとなり、書き戻しによる書込み回数を減らすメリットがあるのですが、逆方向にコピーしないよう注意する必要があります ※.「 Xcopy と Xcopy32 コマンドで使用できるスイッチ 」 参照 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 より CF データ自然蒸発のメカニズムCF データ記録のメカニズムフラッシュメモリは、半導体チップの内部でメモリセル(フローティングゲート)に電荷 (電子) を蓄えてその電荷の有 (1) 無 (0) でデータを構成し、メモリセルに充填された電子は薄い絶縁体の酸化膜(トンネル酸化膜)で蓋をされている状態なのでその場に留まり電源を切ってもデータが記憶されます メモリセルをコップ、水を電子と置き換えるとコップに水を入れ、こぼれない様に紙で蓋をするイメージに例えられます 「 フラッシュメモリ - Wikipedia 」 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 「 USBメモリの書き換え限界寿命が来ると何が起きるのか、実際に寿命が来たケースをレポート - GIGAZINE 」 より CF データ蒸発のメカニズム電源を切ってもメモリセル内の電子は酸化膜の蓋により留まりますが、不意に電子が酸化膜を突き抜けてしまう事があります 電池の自然放電の様に、水の入ったコップに紙で蓋をして放置しておくといずれは中の水 (水の分子) が紙を抜けて蒸発して減っていくイメージです 記憶されたデータは蓄えられた電荷の有無に変換されて保存されているので、電子が抜け続けると元の状態が判別できなくなってしまい、データを読みだそうとすると情報の損なわれたデータを読み出す事となり、エラーとなってしまいます これがデータの蒸発のメカニズムです。 以前はメモリセルに蓄えられる電子の数は数百個程度で、数個無くなったところで大した影響は無かったのですが、今では微細化と省電力化により電子の数は数十個程度と少なくなり、さらに絶縁膜も薄くなってきていますので、数個抜けただけでも影響が出やすくなっています 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 「 USBメモリやSDカード、フラッシュメモリのデータ寿命 - ぼくんちのTV 別館 」 より CF 書き換え寿命のメカニズムこの酸化膜(トンネル酸化膜)は、書き込み時や消去時に、この酸化膜を電子が通り抜けることになり、徐々に傷つき(劣化)、特に電圧が高い状態ではより傷が付き易く、また、高温、放射線の影響下でも劣化しやすく、最終的には膜に穴が開き、絶縁の役目を果たせなくなり、電荷を蓄えられなくなってメモリセルとしての機能が失われます これが CF 等フラッシュメモリの書き換え寿命です データの断片化を修復する「デフラグ」は頻繁にデータを書き換え、Windows9xのスワップファイルも OS動作中は頻繁に書き換えが発生しますので書き換え CF の寿命が縮まります 書き換えの回数が増え、酸化膜が傷ついてくると電子も抜けやすくなりますので、データ蒸発も起こりやすくなります 寿命に達したセルは、周辺のセルごと不良ブロック (HDDでいうところの不良セクタ) として記録され、予備の代替ブロックが割り当てられ、以降は使用されないようになります この代替ブロックは全くの未使用の物に限られますので、SCANDISKコマンド等で一度でもアクセスしてしまうと使用済みの領域と判断されてしまい、代替する領域(全く未使用の領域)が無くなると全体の記憶容量が減っていきます Windows7以降の OSでは、この対策としてデータを消去した際に完全に消去した上で未使用ブロックであること事をフラッシュメモリのコントローラに通知する機能 Trim命令がありますが、この機能は Trim命令への対応に加え SATA規格で追加されたネイティブコマンドキューイング (NCQ: Native Command Queuing) に、ドライバと機器側が対応している必要があります AHCIモードでないと Trim命令が使えないというのは誤解で、あくまでもドライバが対応しているかどうかの問題で、Intel製 SSDでは Windows XP用に Trim命令をコントローラに発行するツールを提供していました 書き換え箇所が集中してしまうとその部分だけ劣化が進んでしまいますので、書き換え寿命の低下を防ぐ機能として、ウェアレべリング機能、フラッシュメモリ内でランダムに分散して書き込みを行う機構をもった CFカードもありますので、 CF カード購入の際は、名の通ったメーカのものをお勧めします 廉価な A-DATAや pqi製ではトラブルが多く、比較的高価なトランセンド製がベストのようです 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 「 USBメモリの書き換え限界寿命が来ると何が起きるのか、実際に寿命が来たケースをレポート - GIGAZINE 」 より フラッシュメモリの種類(SLC MLC TLC)とデータ蒸発フラッシュメモリには、メモリセル一個で 1bitとする、シングルレベルセル(SLC: single level cell)、メモリセル一個に蓄えられた電荷の量を判定することで 2bitとする、マルチレベルセル(MLC: multi level cell)、3bitとする、トリプルレベルセル(TLC triple level cell)があり、一般には、SLC と MLC(TLCを含む) として区別されます SLCは、読み書き速度や書き換え可能回数が優位な一方で、単位面積当たりの記憶容量が少なくコストが高くなります MLCは、単位面積当たりの記憶容量が多くなります (1セルを 2bitとすれば 2倍の容量) が、アクセスの度に電荷量の判定が入る為速度が遅く、使用頻度が増えると劣化によって電荷量の差が小さくなり、判定ミス (データ化け) が増加、書き変え回数も少なくなり、データ蒸発にも弱くなります 「 フラッシュメモリ - Wikipedia 」 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 より 最新のフラッシュメモリでも防げないデータ蒸発データの蒸発はフラッシュメモリの構造上の問題なので最新チップ、最新の SSDでも防ぎようがなく、データ化けに対しては、エラー訂正に ECCが搭載されていますが、あくまでも次善の策で、全く運用せずに放置しておいたり、通電しても読み出してばかりいるといずれデータは消えてなくなります 2014年現在、磁気抵抗メモリ (MRAM) が研究されており、データの記憶に HDDのように磁気の変化を利用しますので、フラッシュメモリの高速データアクセス性能はそのままでデータの蒸発の弱点が補えますが、もちろん外部磁場には弱くなります 「 企画課:特別企画 第6回 PC-98の SSD化 」 より |