南シナ海 中国の主張否定 法的根拠なし 仲裁裁判所 国連海洋法条約 |
南シナ海 とは 概要 特徴
南シナ海 中国の主張否定 法的根拠なし 仲裁裁判所 国連海洋法条約 2016年7月12日中国が南シナ海のほぼ全域に主権や権益が及ぶと主張、フィリピン近くのスカボロー礁を 2012年に占拠したことなどを受け、2013年、フィリピンは中国の国連海洋法条約違反などを確認するよう、国連海洋法条約に基づき仲裁裁判所に提訴しました オランダ ・ ハーグの仲裁裁判所は、2016年7月12日、中国が主張の根拠としてきた「九段線」について、フィリピンの主張が正しいと判断、「資源について中国が主張する歴史的権利には法的根拠はない」とする判決を下しました 中国が進める南シナ海の人工島造成等で実効支配を進める動きについて、国連海洋法条約、国際法に反する違法行為であることが明確に認定されました 中国は裁定の前から、 戴秉国(たい へいこく)前国務委員は、わざわざワシントンで、裁定を「ただの紙くずだ」と言い捨てるなど、一貫して国際法を無視する姿勢を見せていますが、中国が実際に裁定を無視すれば、国際社会は「国際ルールを嘲弄する無法者」(英紙フィナンシャル・タイムズ)というレッテルを貼られることになります 国連海洋法条約では、その第 2節で、不満があっても出席して弁明する義務がありますが、中国はこれを故意に無視、争っても勝ち目がないとの判断から、裁判所、国際法そのものを非難するという暴挙に出ています 中国の主張する「九段線」を全面否定 中国も周辺各国と同等の 1利用者中国は従来、九段線の内側の海域で管轄権を有するとし、これは、国連海洋法条約発効(1994年)以前からの「歴史的権利」と主張してきましたが、。これに対し、南シナ海の岩礁について領有権を争ってきたフィリピンが2013年、中国の主張は「同条約に反しており無効」として仲裁裁判を申し立てました
また、歴史的に中国の航海者や漁民が南シナ海の島々を利用してきたことを認めたうえで、これは中国側が他国の航海者らと同様に、公海上の自由を享受してきたことによるとして、中国だけの特別な権利は認めませんでした その上で、中国がスカボロー礁でフィリピン漁民の伝統的な権利を侵害していると指摘、中国がフィリピンのEEZ内で漁業や石油採掘を妨害したことは「主権の侵害に当たる」と判断しています 中国は九段線の主張を背景に、南沙(英語名スプラトリー)諸島の七つの岩礁で人工島造成を行い、滑走路などを建設、軍事拠点化を進めていると批判されており、今回の判決により、造成を継続することに対して、「国連海洋法条約違反」として、国際社会の批判が強まることが期待されます 中国が人工島造成を進める七つの岩礁は 「島」 ではなく 「岩」 領海 EEZ 設定できない判決ではさらに、七つの岩礁について、いずれも排他的経済水域(EEZ)が設定できる「島」ではなく、「岩」か「低潮高地」と認定、これにより、周辺海域での資源開発への主権的権利も中国は主張できなくなり、また、七つの岩礁での埋め立てと人工島造成が、サンゴ礁の環境に深刻な損害を与え、国連海洋法条約の定める環境保護義務に違反していると認定しました 仲裁裁判所は、2015年10月、フィリピンが訴えた 15項目のうち 7項目について裁判所の管轄権を認めており、また、仲裁裁判所 判決は上訴が認められておらず、法的拘束力を持ちますが、判決を強制執行する手段がなく、現状では中国の動きを実力で阻止することはできませんが、判決の無視は国際的な批判にさらされることになります 中国が人工島造成を進める七つの岩礁についても「島」でないと判断し、EEZが認められなくなり、人工島造成による環境破壊も明確に認定、中国による岩礁の軍事拠点化を国際法上の違法行為と認定しました 今後も中国が造成を続ければ、国際法違反状態の継続となり、国際社会の厳しい批判にさらされることは避けられません フィリピン外相 画期的な判断フィリピンのヤサイ外相は判決を受け記者会見し、「南シナ海を巡る争いの解決に向けた画期的な判断だ」と歓迎する一方で、「関係者に自制と落ち着きを求める」と述べ、中国などに対立をあおるような行動に出ないよう求めています 2016年6月に発足したドゥテルテ政権は、対中姿勢を軟化させ、中国との対話に意欲的で、フィリピンに優位な判決を利用して経済協力を引き出しつつ、関係改善を模索する狙いとみられています 中国外務省 判決受け入れず中国外務省は、「仲裁法廷が出したいわゆる判決は無効で、拘束力はなく、中国は受け入れず、認めない」との声明を発表、その中で、「中国の南シナ海の領土主権と海洋権益はいかなる状況下でも判決の影響を受けない。判決に基づく主張と行動にも反対し、受け入れない。領土問題と海洋の境界画定紛争で、紛争解決方法を強制することは受け入れない」と強く反発しています 中国 戴秉国氏は、「たとえ米国が 10個の空母打撃群すべてを南シナ海に進めても、中国人は怖がらない」と強がって見せ、また、裁定前日の2016年7月11日まで、南シナ海のパラセル海域で大軍事演習を行っていたことは、中国が「法の支配」を離れ、「力の行使」、無法者(アウトロー)を選択したことを意味します 中国が今後とる可能性のある行動について新華社電によると、中国政府がチャーターした民間旅客機 2機が、2016年7月12日に続き、13日にも、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島ミスチーフ(中国名 美済)礁とスービ(渚碧)礁に中国が造成した人工島の飛行場への試験飛行をそれぞれ実施しました 中国の不法行為を認定した仲裁裁判の判決に対抗し、判決に従う意思のないことをアピールしているとみられます 中国が今後とる可能性のある行動について、 1.「九段線」上空に、中国の防空識別圏(ADIZ)を設定する 2.フィリピンに近いスカボロー礁でも人工島造成を開始する 可能性が指摘されています 1.「九段線」上空に、中国の防空識別圏(ADIZ)を設定する一般的に日本を含む国際社会で、防空識別圏(ADIZ)は、自国領空に近づく航空機に対し、領空審判しないよう、その意図を識別、必要に応じて注意、警告するためのもので、あくまでも、領空侵犯を防止するために設定、運用されるものです ところが、中国では、防空識別圏(ADIZ)そのものが自国の領空であるかのように主張、民間機であっても事前通告を要求する等、国際法を無視して他国航空機の自由な航行を認めておらず、空の「九段線」として使用しています 中国が東シナ海に設定した防空識別圏(ADIZ)については、日米ともに中国の主張を認めていませんが、日中の戦闘機同士が接近する等、危険性が増しています 南シナ海上空にも中国流の防空識別圏(ADIZ)が設定されると、国際法上無効であっても、無法者(アウトロー)中国の「力の行使」によって、非常に危険な空域となることが予想されます 2.フィリピンに近いスカボロー礁でも人工島造成を開始する現在中国が埋め立て造成を進めている南沙諸島(スプラトリー諸島)は、南シナ海の中央部付近にあり、沿岸国から一定の距離がありましたが、スカボロー礁は、フィリピンの目と鼻の先にあり、2012年にその支配を軍事力でフィリピンから奪い取った海域です しかも、米軍が再駐留をはじめたフィリピンの軍事基地に近く、カーター国防長官は、「スカボローで(中国が)行動に出れば(米国も)相応の措置をとる」と警告しています 米国が今後とる可能性のある行動についてキャンベル元米国務次官補は、「8月の砲声を聞くことになる」(注.「8月の砲声」とは、1914年の第一次大戦の勃発を象徴する言葉です)と警戒感を示しています 米国の対中オプションには、軍事力の増強、対中経済制裁、環太平洋合同軍事演習(リムパック)への中国の招待取り消しなどがあり、有事になって一番困るのは、中国であることを認識させる必要があります 日米の貨物船は南シナ海を迂回することが可能で、米軍はすでに海上封鎖「オフショア ・ コントロール戦略」を視野に入れているとされます 日本がとるべき行動について南シナ海をめぐる問題は、東シナ海においてもその構図は全く同じで、東シナ海においても、中国は日中中間線付近において、一方的に海上プラットフォームを建設、ガス田開発を進めており、日本側のガス資源まで吸い取られている可能性が指摘されています 今後、中国が、南シナ海での劣勢を巻き返すため、また、国際社会の目を南シナ海からそらすため、東シナ海で一層強硬な手段に出てくる危険があり、米国、および、南シナ海、東シナ海沿岸国と強調して、中国を封じ込める必要が、法を無視する者は決して利益を得られない事を示す必要があります
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