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伊豆大島 火山避難計画 概要 ・ 要点 伊豆諸島


伊豆大島 火山避難計画 概要 ・ 要点 伊豆諸島



伊豆大島火山防災協議会によってまとめられた 「伊豆大島火山避難計画」 が、2017年4月1日、公表されました
防災にお役立て頂けるよう、下記にその概要 ・ 要点を示します




伊豆大島火山避難計画 伊豆大島火山防災協議会 平成29年5月 概要 ・ 要点



計画の目的



伊豆大島では、居住地域が活火山の山麓に位置しており、噴火に伴う噴石や溶岩流などの火山現象による影響が噴火開始からごく短時間で居住地域に及ぶが、噴火の兆候から本格的な噴火に至るまでのリードタイムを見積もることは難しい。

また、状況によっては船舶等を利用した島外避難が必要となることも想定されるため、噴火の兆候の認知後、速やかに避難準備に取り掛かり、混乱なく迅速な避難を実施するためには、避難計画をあらかじめ具体的に定めておく必要がある。

本計画は、以上のことを踏まえ、伊豆大島の火山活動が活発化した場合において、関係機関が協力して住民および来島者の安全を確保し、円滑に避難できるようにすることを目的とする。



計画の位置付け



本計画は、伊豆大島の地域の状況や特性に合った具体的で実践的な避難計画を目指し、伊豆大島火山防災協議会の構成機関が協議の上、策定するものである。

なお、本計画は、避難に関する基本的な事項について防災関係機関の役割等を示したものであり、噴火時等には、火山活動の状況等に応じて臨機かつ柔軟な対応が必要である。

また、本計画について新たな知見や課題が明らかになった場合には、適宜、修正や充実を図ることとする。



伊豆大島火山防災マニュアルの継承



伊豆大島については、町、支庁、警察署、火山防災連絡事務所の実務者で構成される大島町四者懇談会実務者会議において、火山防災対策の協議を行い、噴火時等における防災対応の連携を目的とした「伊豆大島火山防災マニュアル」を、平成21年度に作成(平成23年度に修正)している。

当該マニュアルは、噴火警戒レベルごとに、想定される火山現象・影響範囲、4機関の防災態勢・防災対応を、住民、災害時要援護者、観光客の区分ごとに整理したものであり、本計画が策定されるまでの間、避難計画として位置付けられていた。

本計画は、当該マニュアルを基に、より具体的で実践的な避難計画となるよう、火山専門家による助言を受けつつ、噴火ケースの細分化、気象庁による噴火警戒レベル判定基準の精査内容の反映などを行ったほか、社会環境の変化や4機関以外の関係機関も加えた共同検討の結果を踏まえ、項目の追加や内容の修正などを行い、作成したものである。




伊豆大島の概要



自然条件



伊豆大島は、東京の南方海上約110kmに位置する東西9km、南北15km、周囲52km、面積90.76km2の伊豆諸島最大の島であり、伊豆諸島からマリアナ諸島へ連なる火山島のうち最も北に位置する島である。島の中央には三原山(標高758m)がそびえ、南西部と北部から東部にかけては高さ最大350m(東部)に達する海食崖が発達しているが、西部は勾配の緩やかな平地である。

気候は、黒潮の影響を受け、気温の年較差・日較差が小さい温暖多湿な海洋性気候である。年平均気温は約16℃であり、年平均降水量は約2,800mmと多雨である。風向は北東・西・南西が卓越して全体の9割を占め、風速10m/s以上の強風日数は年間の3分の1に達する。台風は、年平均で2~3個が接近する。寒候期の季節風、春と秋の発達した低気圧、夏から秋にかけての台風の影響により、強風・高波となることが多い。


社会条件



町の人口は8,015人、世帯数は4,752世帯であり、海岸に沿って7つの集落(元町、北の山、岡田、泉津、野増、差木地、波浮港)が形成されている(平成29年1月1日現在)。

島内を一周する道路は、大島一周道路(都道208号大島循環線および都道207号大島公園線の一部)が唯一であり、公共交通手段として、大島旅客自動車が路線バスを運行している。

本土との交通には、海路と空路がある。海路は、東京の竹芝桟橋と大型客船および高速ジェット船で、熱海と高速ジェット船で結ばれている。空路は、調布飛行場と飛行機で、利島および三宅島とヘリコプターで結ばれている。

来島者は年間約22万人であり、宿泊施設(ホテル、旅館、ペンション、民宿)は62か所(総収容者数2,231人)である(平成29年1月1日現在)。




伊豆大島火山の概要



伊豆大島の地形図 (気象庁,2013)

伊豆大島の地形図 (気象庁,2013)

伊豆大島火山は、主に玄武岩から成る成層火山で、緩傾斜の主成層火山体と、北北西-南南東方向の割れ目噴火により形成された多数の側火山から成る。頂上部には直径3~4.5㎞のカルデラがあり、西半分はカルデラ壁が明瞭であるが、東半分は後の噴出物に埋められてはっきりしない。カルデラ内南部には直径約800mの山頂火口をもつ中央火口丘三原山があり、さらにその中央には直径約300mの竪坑状火孔がある。

数万年前から活動を始め、約1700年前には山頂部で大規模な水蒸気噴火が発生し、陥没してカルデラを形成した。約1500年前にも大規模な噴火が起こり、山頂部に相接して複数のカルデラが生じたと考えられている。その後の噴火による溶岩は、カルデラ底を埋積しながら北東方向に流下し、海岸に達した。


カルデラ形成後、1回の噴出量が数億トンの大規模噴火が10回発生し、最後の大規模噴火は1777年の噴火であった。噴出量数千万トン程度の中規模噴火は、近年では1912年、1950年、1986年に発生しており、間隔は36~38年である。また、それらの間に20回以上の小規模噴火があった。大規模噴火の時には、初期にスコリア放出・溶岩流出、その後に火山灰の放出が長期間(10年程度)続いたと考えられている。中規模噴火はスコリア放出・溶岩流出、小規模噴火は噴石・火山灰を放出する。ストロンボリ式噴火が特徴であるが、マグマ水蒸気噴火も起きている。

1552~1974年の噴火は三原山火口か、その周辺のカルデラ底で発生したが、1986年噴火は三原山火口内(A火口)と割れ目火口(カルデラ底:B火口、カルデラ縁外側の北山腹斜面:C火口)で起こった。噴火前兆あるいは活動と関係する地殻変動、地震・微動、地磁気、比抵抗、重力などの変化が観測されている。


※大規模噴火、中規模噴火、小規模噴火を分ける閾値は、それぞれ4000万DREm3、40万DREm3とした。なお、「DRE」とは、マグマ噴火やマグマ水蒸気噴火による総噴出物量をマグマの容積に換算したものである。

(参考:日本活火山総覧(第4版)伊豆大島,p909,気象庁(2013))




伊豆大島火山の火口分布



伊豆大島火山の火口分布は、カルデラを中心とした山頂火口と、北北西-南南東方向に配列する側火山および割れ目火口により特徴付けられる。活動の中心は、先カルデラ火山活動期では島北西部から南東部に広く渡り、カルデラ形成・後カルデラ火山活動期ではカルデラ周辺および島南東部へと変遷している。

また、北西側および南東側に、それぞれ海岸線から10km以上離れた海底まで側火山が分布している。南東側は水深400mより浅い領域に大型の海底火砕丘を作っているのに対し、北西側は400mより深く大型の火砕丘は少ない。


伊豆大島火山の火口分布図

伊豆大島火山の火口分布図
(川辺(1998)を元に最新データを使って改変)

凡例
【先カルデラ火山活動期】
スコリア丘・スパター丘
爆発中心・タフリング
割れ目火口・岩脈
【カルデラ形成・後カルデラ活動期】
スコリア丘・スパター丘
爆発中心・タフリング
割れ目火口・岩脈


主な側火山
1.三ツ峰 2.沢立
3.赤禿 4.地ノ岡
5.愛宕山 6.大丸山
7.伊東無 8.蜂ノ尻
9.トウハチボラ 10.白石山
11.二子山 12.サド山
13.大穴・小穴 14.松ノ窪
15.岳ノ平 16.波浮港
17.シクボ 18.イマサキ


伊豆大島周辺の海底側火山分布図 (Ishizuka et al,2014)

伊豆大島周辺の海底側火山分布図 (Ishizuka et al,2014)





伊豆大島 火山地質図



火山地質図とは、過去の噴火活動で形成された地層の分布等を示した地図であり、火山噴出物分布や噴火規模等の火山活動を想定するための基礎資料となる。


伊豆大島火山地質図 (川辺,1998)伊豆大島火山地質図 凡例 (川辺,1998を修正) 2
伊豆大島火山地質図 凡例 (川辺,1998を修正) 1

伊豆大島火山地質図 (川辺,1998) / 伊豆大島火山地質図 凡例 (川辺,1998を修正)





伊豆大島想定される火山活動等


想定される火山活動


火口位置


伊豆大島火山では、山頂噴火の可能性が最も高いが、山腹から割れ目噴火をすることも想定される。なお、山腹噴火は、山頂から北北西-南南東方向に伸びる帯状の領域で発生する可能性が高い。


噴火特性(火山現象、噴火様式など)


伊豆大島火山の噴火特性は、次のとおりである。

◯ 山頂噴火の場合、中規模噴火や大規模噴火では、大量の噴石と火山灰が噴出し、溶岩が流出する。

◯ 溶岩の粘性が低いため、山腹を流下する場合は、短時間で山麓および海岸部に達する可能性がある。

◯ 海岸近くや浅い海底で噴火が発生する場合は、爆発的なマグマ水蒸気噴火を起こすこともある。マグマ水蒸気噴火が発生する可能性のある陸域の標高および海域の水深は、次のとおりである。

陸域:標高100m以下(南東側)、標高150m以下(北西側)
海域:水深100m以浅(火砕サージ発生)、水深400m以浅(海面等に噴煙)

◯ 数千年に1回程度の頻度で、山頂部での大規模な水蒸気噴火を伴うカルデラ形成噴火が発生する。山頂部で大規模な水蒸気噴火やマグマ水蒸気噴火が発生した場合は、山麓にまで大きな噴石が飛散し、火砕流が発生する可能性がある。

◯ 過去1万年間、平均約150~200年間隔で大規模噴火が発生したが、安永噴火以降は中・小規模の噴火しか起こっていない。



想定される噴火ケースと火山現象



伊豆大島火山で想定される噴火ケースおよび各ケースで想定される災害要因となる火山現象は、次のとおりである。
なお、カルデラ形成噴火は、避難計画およびマニュアル編においては山頂噴火に含める。


噴火ケース 火山現象
山頂噴火 噴石、火山灰、溶岩流、火砕サージ、火山ガス、降灰後土石流
カルデラ形成噴火 噴石、火山灰、火砕流、火砕サージ、火山ガス、降灰後土石流
山腹噴火 噴石、火山灰、溶岩流、火砕サージ




伊豆大島 火山ハザード(防災)マップ



火山ハザード(防災)マップとは、各火山災害要因(大きな噴石、溶岩流など)の影響が及ぶおそれのある範囲を地図上に特定し、視覚的に分りやすく描画したものである。また、火山ハザードマップに、防災上必要な情報(避難先等に関する情報、噴火警報等の解説、住民等への情報伝達手段など)を付加したものを火山防災マップという。

伊豆大島火山では、伊豆大島火山防災マップが作成されているほか、「溶岩流」および「降灰後土石流」については、「伊豆大島火山噴火危険範囲予測データベース作成委託(東京都建設局河川部, 2012)」において、数値シミュレーションが実施されている。

※下図の電子データは、防災科学技術研究所のHPから取得できる。
(https://vivaweb2.bosai.go.jp/v-hazard/L_read/58izu-oshima/58izu-o_1h01-L.pdf)


伊豆大島火山防災マップ (大島町,1994)

伊豆大島火山防災マップ (大島町,1994)




伊豆大島 噴火警戒レベル



噴火警戒レベルとは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分した指標である。

噴火警戒レベルが運用されている火山では、火山防災協議会で合意された避難計画等に基づき、気象庁は「警戒が必要な範囲」を明示し、噴火警戒レベルを付して噴火警報・予報を発表し、市町村等の防災機関は入山規制や避難勧告等の防災対応をとる。


伊豆大島 噴火警戒レベル 1
伊豆大島 噴火警戒レベル 2

(平成29年5月)  


伊豆大島 噴火警戒レベル と 避難対応の目安 立入規制の範囲



レベル 規制種別 避難対応の目安 立入規制の範囲 施設の対応
火口付近等規制 山頂火口から約600mまでの範囲
(ただし、平常時は遊歩道および展望台周辺を除く)
該当施設なし
火口周辺規制 山頂火口から約1kmまでの範囲
入山
規制
カルデラ(外輪山)の外まで重大な影響を及ぼす噴火が発生あるいは可能性がある場合は、避難行動要支援者の避難準備、来島者への島外避難の呼びかけを行う カルデラの中だけに重大な影響 カルデラ内
山頂火口から約2kmまでの範囲
噴火が発生した場合
退避準備
(状況により退避)
カルデラの外まで重大な影響 カルデラ内
カルデラ縁から外側約1㎞までの範囲
退避
登山道
規制
一般住民の避難準備、避難行動要支援者の島内避難または島外避難、来島者への島外避難の呼びかけを行う 居住地域の境界から山頂火口までの範囲の登山道、林道、遊歩道の全ての道路または一部の道路
登山道
規制
一般住民・避難行動要支援者の島内避難または島外避難、来島者の島外避難を行う


施設名
三原山山頂口駐車場周辺施設
大島温泉ホテル
新火口展望台



噴火警戒レベル1(山頂噴火) 立入規制図



噴火警戒レベル1(山頂噴火) 立入規制図



噴火警戒レベル2(山頂噴火) 立入規制図



噴火警戒レベル2(山頂噴火) 立入規制図



噴火警戒レベル3(山頂噴火) ①カルデラの中だけに重大な影響 立入規制図



噴火警戒レベル3(山頂噴火) ①カルデラの中だけに重大な影響 立入規制図



噴火警戒レベル3(山頂噴火) ②カルデラの外まで重大な影響 立入規制図



噴火警戒レベル3(山頂噴火) ②カルデラの外まで重大な影響 立入規制図



噴火警戒レベル4(山頂噴火・山腹噴火) 立入規制図



噴火警戒レベル4(山頂噴火・山腹噴火) 立入規制図



噴火警戒レベル5(山頂噴火・山腹噴火) 立入規制図



噴火警戒レベル5(山頂噴火・山腹噴火) 立入規制図




伊豆大島 防災関連施設等の位置図



伊豆大島 防災関連施設等の位置図
防災関連施設等の位置図 凡例

伊豆大島 防災関連施設等の位置図





伊豆大島 火山噴火 避難実績



伊豆大島火山の噴火に伴う避難実績について、記録がまとめられている1986年噴火の島外避難の状況を次表に示す。


島外避難者数 10,476人(11月27日09時まで10,526人)
避難開始日時 11月21日19時02分
避難終了日時 11月22日06時00分
避難港等
船舶 元町、岡田、泉津、波浮の各港
ヘリ 元町、大島空港
避難手段
船舶 輸送人員 10,469人 船舶延数 51隻
海上自衛隊 849人 2隻
海上保安庁 1,883人 7隻
東海汽船 7,407人 8隻
その他船舶 65人 3隻
漁船 265人 31隻
航空機 輸送人員 7人 ヘリ延数 3機
避難先
東京 7,032人 竹芝、日の出、晴海、築地等着
静岡 3,368人 熱海、下田、伊東、稲取着
神奈川 41人 三崎、真鶴
伊豆諸島 35人 新島、式根、神津島
10,476人
避難場所(11月22日現在)
東京都内避難所 30か所 6,011人
静岡県内避難所 22 2,397人
自主避難者等 1,850人
福祉施設・病院 6 218人
10,476人

※静岡県内避難者は、11月23日、24日に都内へ受入れ。
(参考:昭和61年伊豆大島噴火災害活動誌,p169,東京都(1988))




≪参考:1777 年噴火(安永噴火)≫



避難実績ではないが、安永噴火(1777~1792年)の噴火期間中に、当時の伊豆代官が、現地見分と島役人たちへの照会をもとに作成した避難計画(「安永七戌年島方御用留」十一月、十二月届出文書)が、記録として残されている。

(参考:伊豆大島火山:史料に基づく最近3回の大規模噴火の推移と防災対応, p99-100,津久井雅志・段木一行・佐藤正三郎・林幸一郎(2009))





伊豆大島火山の噴火履歴



伊豆大島火山の形成史、有史以降の火山活動、累積噴出物量、火口分布、火山地質図、災害実績、避難実績を以下に示す。



形成史



伊豆大島火山の活動は、現在のカルデラ地形形成以前の先カルデラ火山の形成と、カルデラ形成・後カルデラ火山の形成の2つに区分できる。


先カルデラ火山


先カルデラ火山の活動は、古期山体の形成と新期山体の形成に細分される。古期山体の形成は、約3~4万年前に海底噴火活動で始まった。この活動は、粗粒な火砕物を主とし、少量の玄武岩溶岩流、降下火砕物を伴う。新期山体の形成は約2万年前から始まり、降下スコリア堆積物、溶岩流からなり、古期山体の上を覆って厚く堆積している。


カルデラ形成・後カルデラ火山


現在見られるカルデラは、約1700~1500年前に起こった山頂部での爆発的噴火により最終的な地形が作られた。カルデラ形成・後カルデラ火山では、噴出量が数億トンの大規模噴火が10回起きている。噴出量は、19世紀以降の中・小規模噴火より一桁大きい。
(参考:伊豆大島火山地質図,p3,川辺(1998))



伊豆大島火山の有史以降の火山活動



伊豆大島火山の有史以降の火山活動について、噴火年代、噴火規模、噴火様式、噴火場所、活動経過・発生現象を整理し、次表に示す。


噴火年代 噴火場所 噴火様式
噴火規模 (マグマ噴出量)
活動経過・発生現象
680年 噴火?
日本書紀:京都で東から鳴響。
大島噴火?
684年 噴火?
日本書紀:京都で東から鳴響。
大島噴火?伊豆嶋の西北二面が自然増益。「伊豆嶋」は大島か?
5世紀
~8世紀
山頂北側割れ目火口列
マグマ噴火
中規模 (0.008 DREkm3)
火砕物降下(N4.2)
8世紀 山頂火口 マグマ噴火
大規模 (0.08 DREkm3)
火砕物降下(N4.0)
9世紀 山頂南側?カルデラ内割れ目火口列
マグマ噴火
中規模 (0.006 DREkm3)
火砕物降下(N3.2)
838年? 山頂火口 波浮港マール
スリバチ火口
マグマ噴火 マグマ水蒸気噴火
中規模 (0.02 DREkm3)
火砕物降下(N3.0)
10世紀
~11世紀
山頂火口
マグマ噴火 水蒸気噴火
大規模 (0.06 DREkm3)
火砕物降下(N2.0)
11世紀
~12世紀
または
1112年?
山頂火口 南南東山腹
マグマ噴火 水蒸気噴火
大規模 (0.25 DREkm3)
火砕物降下、溶岩流(N1.0)
詳細な年代は未確定
12世紀 山頂火口 マグマ噴火
大規模 (0.04 DREkm3)
火砕物降下(Y6.0)
13世紀 マグマ噴火
小規模 (0.0003 DREkm3)
火砕物降下(Y5.6)
14世紀 北西側割れ目火口列
マグマ噴火
中規模 (0.011 DREkm3)
火砕物降下、溶岩流(Y5.2)
1338年? 山頂火口 マグマ噴火
中規模 (0.03 DREkm3)
火砕物降下(Y5.0)
15世紀 山頂火口 マグマ噴火
中規模 (0.0008 DREkm3)
火砕物降下(Y4.2)
1421年 山頂火口 南側割れ目火口列
マグマ噴火 マグマ水蒸気噴火
大規模 (0.23 DREkm3)
火砕物降下、溶岩流(Y4.0)
1442~
1443年
噴火
15世紀 山頂火口 マグマ噴火
中規模 (0.003 DREkm3)
火砕物降下(Y3.8)
1552年 山頂火口 マグマ噴火
大規模 (0.16 DREkm3)
火砕物降下、溶岩流(Y3)
1600年
または
1601年
噴火
伊豆七島明細記:大島で「山焼」
1612年
または
1613年
噴火
伊豆七島明細記:大島で「山焼」
1623年 噴火
「熱海名代代々手控」に記載あり
1634年 噴火
「熱海名代代々手控」に記載あり
1636年
または
1637年
噴火
1637~
1638年
噴火
伊豆七島明細記、合津旧事雑考:1637年8月26日~1638年4月。山焼、自焼
1684~
1690年
山頂火口
マグマ噴火 水蒸気噴火
大規模 (0.12 DREkm3)
火砕物降下(Y2)、溶岩流。溶岩を北東海岸にまで流出。
地震多発による家屋倒壊
1695年 噴火
4月14日~
1777~
1792年
山頂火口 山頂北側斜面
山頂南東側斜面
マグマ噴火 水蒸気噴火
大規模 (0.2 DREkm3)
安永(Y1)噴火。多量の溶岩を流出し、先端は海中に達した。三原山山頂火口から噴火が始まり爆発音、地震を伴ってスコリアが全島に降下。翌月、翌々月にかけて少量の溶岩流出あり。
その後も溶岩を流出し、南西方に流れたものは野増・差木地間の赤沢でとまり、北東方への溶岩流出はカルデラ床を埋め、さらに外輪山から東に流下して海に達した。
その後幾度かの降灰の後、活動終了
1803年 噴火?
火砕物降下、降灰
1821年 山頂火口 マグマ噴火
中規模 (0.008 DREkm3)
火砕物降下
1822~
1824年
噴火
中規模 (0.008 DREkm3)
火砕物降下。降灰砂、農作物に被害
1846年 噴火
火砕物降下、降灰
1870年 噴火
火砕物降下、降灰
1876~
1877年
山頂火口 マグマ噴火
中規模 (0.0008 DREkm3)
火砕物降下。噴石丘(Naumann丘)を生成
1887~
1909年
噴火
縦穴状火孔が生じた後、火口底に凹部が生じ赤熱溶岩が露出。
その後火口壁の陥落により火口は拡大し直径160mに達した。
1909年まで火口陥没と小規模な噴火活動が続いた。
1912~
1914年
山頂火口 (中村山、大森山)
マグマ噴火
中規模 (0.031 DREkm3)
火砕物降下、溶岩流。
中央火口で溶岩流出後、中央火口は溶岩と噴石で埋められた。
その後割れ目火口を形成。多数の噴出口から流出した溶岩が火口底を覆い、また噴石丘(中村山)が成長した後、一旦活動休止。
その後火口底に約10個の噴出孔が開口、爆発音を発し、周囲に小噴石丘形成。この活動で、火口の南東半分が陥落。火口南西部の噴出孔から多量の溶岩流出、噴石丘生成(大森山)。溶岩が7月の陥没部を埋め、大森山が成長。中村山は噴石丘と溶岩層の下に埋没、頂部を残すのみとなる。一時活動休止した後再び火口底の陥落が始まり大森山も崩壊して半分が欠けた。活動再開。4個の噴石丘生成。火口底には溶岩池。噴出物によりNaumann丘、中村山、大森山は埋没
1915年 山頂火口 マグマ噴火
火砕物降下
1919年 山頂火口 噴火
火砕物降下。ときどき噴火し噴石丘の生成崩壊
1922~
1923年
山頂火口 マグマ噴火
中規模 (0.0062 DREkm3)
火砕物降下、溶岩流出
1933~
1934年
山頂火口 マグマ噴火
火砕物降下、小溶岩流出
1935年 山頂火口 マグマ噴火
火砕物降下、溶岩噴出
1938年 山頂火口 マグマ噴火
小規模 (0.00004 DREkm3)
地震群発、溶岩噴出
1939年 山頂火口 マグマ噴火
火砕物降下、多量の噴煙、噴石、鳴動、火映。火口底に溶岩池、地震群発
1940年 山頂火口 マグマ噴火
火砕物降下、地震群発、黒煙多量、火山弾、火山礫、降灰のため農作物に被害
1950~
1951年
山頂火口 マグマ噴火
中規模 (0.024 DREkm3)
火砕物降下、溶岩流。
旧火口から噴火。赤熱噴石、火口底で溶岩噴出。噴石丘形成、溶岩は火口底を埋め、9月13日には火口縁北西部からカルデラ床に流出。島内各地で、この間にカルデラ内で最大30′に及ぶ伏角減少を確認。
その後地震群発の後に噴火再開、溶岩流出後、火口縁から溢出し先端はカルデラ壁に達した。
火口底に溶岩湖出現。
その後噴火を繰り返し、火口底には直径300m、深さ30mの陥没口生成。旧来の中央火口が再現され、噴石丘も北半分は崩壊
1953~
1954年
山頂火口 マグマ噴火
小規模 (0.00025 DREkm3)
火砕物降下、噴石、溶岩流。
1951年生成の噴石丘北側中腹等で噴火、噴石活動。
11月9日は10月噴火火口の東30mで噴石活動、溶岩流出。
12月1日から翌年2月にかけしばしば噴火、噴石活動、溶岩流出、新火口生成。約4′の地磁気偏角の西偏を観測
1955~
1956年
山頂火口 水蒸気噴火
火砕物降下、噴煙多量、噴石活動、新火口生成
1956年 噴火
地震群発、噴煙多量
1957~
1958年
山頂火口 マグマ噴火
小規模
地震群発の後噴火、小爆発が続き、新火口生成、この時の爆発で火口付近の観光客のうち死者1名、重軽傷者53名。
その後にも小噴火発生。降灰、火山弾
1959年 山頂火口 噴火
1959~
1960年
山頂火口 噴火
火砕物降下、ときどき小噴火
1962~
1963年
山頂火口 噴火
火砕物降下、ときどき噴煙活動、鳴動、空振、降灰など
1963~
1965年
山頂火口  マグマ水蒸気噴火?
火砕物降下。ときどき小噴火。近海に地震群発
1965~
1966年
山頂火口 マグマ噴火
火砕物降下。降灰、ときどき小噴火。ときどき鳴動
1967~
1968年
山頂火口 マグマ噴火
火砕物降下。たまに鳴動、小噴火
1969年 山頂火口 マグマ噴火
火砕物降下。その後断続的に小噴火。火山灰、火山毛、空振
1970年 山頂火口 噴火
火砕物降下、降灰、鳴動、火映、空振
1974年 山頂火口 マグマ噴火
ごく小規模 (0.000001DREkm3)
火砕物降下、小噴火、火口底上昇とストロンボリ式噴火
1986年 山頂火口
B火口列(山頂北西側)
C火口列(北北西山腹)
マグマ噴火
中規模 (0.029 DREkm3)
火砕物降下、溶岩流。地震群発の後微動開始、南側火口壁で噴気開始。その後南側火口壁より噴火始まる(A火口)。溶岩噴泉、溶岩湖、溶岩流。11月19日溶岩が火口から溢れ、カルデラ床に流下。地震活動開始の後カルデラ床で割れ目噴火開始(B 火口)。
溶岩噴泉・溶岩流。外輪山外側でも割れ目噴火(C火口)。
全島民1万人島外へ避難(約1か月)
1987~
1988年
山頂火口 マグマ噴火
小規模 (0.00002 DREkm3)
火砕物降下。
年間を通して微動と東部で地震群発、山頂地震が増加した後、噴火。中央火口約30m陥没。11月18日噴火、陥没により直径約350~400m、深さ約150mの中央火孔再現。
火山ガスにより間伏方面の農作物に影響
1990年 山頂火口 水蒸気噴火
火砕物降下。
微動、地震増加後に小噴火、島内の西部~北東部にかけて弱い降灰、火口底に直径約100mの陥没孔形成。噴火後も地震が多発

(参考:日本活火山総覧(第4版)伊豆大島,p916-923,気象庁(2013))





火山用語



用語 意味
安山岩 浅間山、桜島など日本の火山の大部分を構成する火山岩であり、玄武岩とデイサイトとの中間的な組成をもつ。安山岩質のマグマは玄武岩質マグマに比べて二酸化珪素(SiO2)を多く含み、粘性が高いため、爆発的な噴火を発生させることが多い。
火映 火山ガスが燃焼したり、高温の溶岩などが存在している場合に、火口内の赤熱状態が噴煙や雲に反射して明るく見える現象
火砕サージ 重力の作用により生じる、火山斜面などに沿う高速の希薄な流れで、固形物としては火山灰などの細粒物が主体。高温の砂嵐のような現象であるが、火砕流に比べて見掛けの密度が小さく、停止後の堆積物の厚さは非常に薄い。火砕流の前面や側面から発生することもある。
構造物を破壊するほどの威力があり、特に高温の場合は火災を引き起こすこともある。また、マグマ水蒸気噴火や水蒸気噴火などに伴って、垂直に上昇する噴煙柱の基部から、火砕サージが地表や海面に沿って高速で環状に広がることがある。このような環状に広がる火砕サージを、特に「ベースサージ」と呼ぶことがある。低温で湿っていることが多く、浅い水底での噴火や地下水の豊富な陸上の噴火などで発生することがある。
火砕物
(火山砕屑物)
火口から放出される固形または半固形の岩石の破片の総称。直径64mm以上は「火山岩塊」、2~64mmは「火山礫」、2mm以下は「火山灰」に分類される。
火砕流 岩片と火山ガスなどが一体となって、高速で山体を流下する現象。大規模な場合は地形の起伏にかかわらず広範囲に広がり、通過域を焼失、埋没させ、破壊力が大きな極めて恐ろしい火山現象である。
火山ガス マグマ中の揮発成分起源の気体のことで、噴火口・噴気孔・温泉湧出孔などから噴出する。
成分は、大部分が水蒸気であるが、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などを含んでいる。
これらを吸い込むと、死に至ることもある。火山ガスは空気より重いため、火山地域の窪地や谷などに溜まっていることがある。
火山岩 マグマが、地表あるいは地表近くで、比較的急速に冷却固結した岩石。一般に、斑晶(比較的粗粒の造岩鉱物)と、その素地となる石基(細かい結晶および火山ガラス)からなる岩石。
火山岩は、その化学組成によって、玄武岩、安山岩、デイサイト、流紋岩などに区分される。
火山性微動 火山活動に起因して発生する連続した振動で、振幅や周期が比較的一定のものとそれらの変化が大きいものがある。継続時間も極めて短いものから、常時発生しているものまである。
一般に玄武岩質火山で観測されることが多く、安山岩質火山でも観測されることがある。マグマや火山ガスの運動や移動にともなう場合や噴火時に火山灰などの噴出活動と連動して発生する場合などがある。噴火の前駆現象として認められることも多いが、噴火に確実につながる現象ではないことに注意が必要である。
火山弾 特定の形をした火山礫、火山岩塊。マグマの破片が半固結のまま火口から放出され、完全に固まらないうちに空中を飛行し着地するために独特な形となったもの。その形から紡錘形火山弾、パン皮火山弾、牛糞状火山弾などと呼ばれるものがある。
火山地質図 火山地域の地質図。産業技術総合研究所で、活火山の噴火履歴を地質図としてまとめ、提供しているものを、特にそう呼ぶことがある。
火山灰 火砕物の一種で、直径が2mm以下のもの。慢性の喘息や、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫など)の症状を悪化させたり、健康な人でも目や鼻・のど等呼吸器などに影響を与えるおそれがある。また、降ってくる火山灰や積もった火山灰が、視界不良や車のスリップなどを引き起こすおそれがある。
火山噴火予知
連絡会
火山噴火予知計画(現在は、地震予知計画と一体化し「災害軽減のための地震及び火山観測研究計画」と呼ばれる)を推進するために設けられた会議体で、大学等の研究機関、火山防災の行政機関等で構成される。事務局を気象庁が担当することから、気象庁長官の私的諮問機関として位置付けられた。
活火山 「概ね過去1万年以内に噴火した火山」および「現在活発な噴気活動のある火山」のこと。
カルデラ 火山地域に見られる大きな円形またはそれに近い形の火山活動に伴い生じた凹地のこと。
一般に、直径2kmを越えるものを「カルデラ」と呼び、直径2km未満を「火口」と呼ぶ。カルデラの多くは、大量の火砕物の噴出によって火口下に空洞が生じ、陥没を引き起こして形成されたと考えられている。カルデラ周辺には火砕物(火砕流堆積物)の台地を形成しているものが多い。
岩脈 鉛直に近い板状の貫入岩体
空振 噴火(爆発)等に伴って発生する空気の振動。窓ガラスが割れることもある。
玄武岩 火山岩のうちで、二酸化珪素(SiO2)に比較的乏しく、鉄、マグネシウムに富むもののこと。玄武岩質のマグマは、二酸化珪素含有量が低いため(50重量%程度)粘性が低く、比較的薄い溶岩流となりやすい。伊豆大島、富士山は玄武岩質マグマによって形成された火山の代表例である。
降下火砕物 火口から噴き上げられ、いったん上空まで運ばれた噴煙から降下した火砕物のこと。上空に噴き上げられた火砕物は、上層風に流されて火山の周辺や風下側に降下し、人々の生活や経済活動に大きな打撃を与える。「火山灰」、「噴石」を参照のこと。
降灰 火山灰・火山礫が降下する現象のこと。「火山灰」を参照のこと。
山体崩壊 山体の一部が大規模に崩壊する現象。一般に、火山体は力学的に不安定な構造をもつために、噴火や地震に伴って生じることがある。頻度としては少ないが、大規模な破壊を伴うため、防災上注目されている。
水蒸気噴火 地下に閉じこめられた高温・高圧の熱水が急激な減圧や温度上昇によって不安定化し、急激に水蒸気化して体積膨張することにより、爆発現象が生じ、周囲の岩石を破砕、放出する。
放出物にはマグマ由来の岩石を含まない。
スコリア 火砕物の一種。多孔質で暗色、鉄・マグネシウムに富むものをいう。
ストロンボリ式
噴火
比較的短い間隔で、周期的に火口からマグマの破片や火山弾などを放出する噴火の様式。
流動性の大きい玄武岩質マグマの活動に伴うことが多い。
スパター 火山弾の一種。火口から放出された溶岩片が未固結のまま火口周辺に着地集積したもの。
成層火山 中心火口から噴出した火砕物と溶岩との累積によって生じた火山。富士山のような大型の円錐形火山の多くは成層火山である。
側火山 成層火山の山腹など、山頂火口から離れたところに噴出した小型の火山。かつては「寄生火山」とも呼ばれた。
タフリング
(マール、
凝灰岩リング)
マグマ水蒸気噴火のような浅所での爆発的な噴火によって生じた火口
地殻変動 測地測量などによって認められる現在の地殻の変位・変形のこと。
地磁気 磁石としての地球の性質と、それが作り出す磁場を「地磁気」という。玄武岩は鉄分がある鉱物を比較的多量に含んでいるので、玄武岩質火山は磁気の強さが大きい。600℃位に熱せられると、強磁性鉱物は磁性を失う。また、地下に力が作用して岩石がひずむと、ピエゾ磁気が発生して地磁気の値が変化する。玄武岩質火山では、地磁気の変化は長期的噴火予知に重要である。
泥流 「土石流」とほぼ同じ。「土石流」を参照のこと。
テフラ 火砕物のこと。噴火により砕かれてつくられたマグマ片、岩片の総称
土石流 山腹、川底の石や土砂が長雨や集中豪雨などによって一気に下流へと押し流されるものをいう。火山灰が山腹斜面に堆積すると、少量の降雨でも土石流が発生することがある。ときには時速60kmを超える速度で流れ下るため、家や橋を破壊する力が大きい。土木の分野では、噴火とほぼ同時に発生する水にほぼ飽和した土砂の流れを「火山泥流」、噴火後に降雨等で発生する土砂の流れを「土石流」と呼ぶことが多い。火山学の分野では、これらを区別せずに「土石流」と呼ぶが、最近ではインドネシア語に由来する「ラハール」と呼ぶことが多くなった。
プリニー式
噴火
大量の軽石や火山灰が火山ガスとともに垂直に噴き上げられる大規模な噴火で、高度10km以上にも達する噴煙柱が特徴的である。通常、噴煙柱は数時間から数十時間程度継続する。
やや規模の小さなものは「準プリニー式噴火」と呼ばれる。噴煙柱の崩壊によって火砕流が発生するおそれがあり、広範囲での避難等が必要である。
プレート
テクトニクス
地球表層の厚さ数十㎞の部分は、その下より固い(ゆで卵の白身を覆う殻に似る)。この殻は全地表で十数個のブロックに分かれ、各ブロックは剛体的で変形しないので「プレート(板)」と呼ばれる。各プレートは相対的に運動していて、プレート同士の境界で地震・火山活動ほか、各種の地殻変動を起こす。このような考え全体を「プレートテクトニクス(プレート構造論)」という。
噴煙 火山ガス、火山灰および小さな噴石などが濃集し、煙状を呈したもの。また、火山噴火の際に、火口から直接立ち上る噴煙を、特に「噴煙柱」という。白色噴煙は水蒸気、火山ガスのみからなるため、火口から高く立ち上っても噴火とは言わないが、有色噴煙は火山灰などの固形物を含むため、これが確認される場合は噴火が生じていることになる。
噴火 火口から火山灰等の固形物や溶岩を火口外へ放出する現象
噴気 火口や岩石の割れ目などの隙間(噴気孔)から、噴出している水蒸気、火山ガス、またはその噴出している状態
噴出率
(噴出レート)
単位時間当たりに噴出する溶岩・火砕物の体積のこと。
噴石
(大きな噴石・
小さな噴石)
気象庁は、火口から放出される比較的大きなマグマ片、岩石の破片のことを「噴石」と呼ぶ。明確なサイズの規定はないが、火山灰よりも粗粒で、当たると怪我や死に至るおそれのあるものを指している。このうち、直径数十cm以上の噴石は大気による抵抗をあまり受けずに、火口から弾道を描いて飛来し、着弾時に地面にクレーターを作るなど多大な被害をもたらす可能性があるため「大きな噴石」として区別している。ハザードマップなどに「噴石の到達範囲」などと書かれている場合は、多くの場合、この「大きな噴石の到達範囲」のことである。一方、こぶし大程度の噴石は、いったん噴煙とともに上空に運ばれ、その後風に流され、遠方まで運ばれて降下することがある。気象庁では、このような噴石を「小さな噴石」と呼ぶ。この場合は密度にもよるが、火口から10㎞以上の遠方まで達することがある。小さいとは言え、上空から落下してくるものなので、毎秒10m程度の落下速度となることもあり、当たり所が悪ければ、人命にかかわる。このような「小さな噴石」が噴石の到達範囲外でも落下することがあるので、風下側では遠方でも注意が必要である。
噴石丘 「火砕丘」にほぼ同じ。「火砕丘」を参照のこと。
放射性
炭素年代
生物遺体中の放射性炭素14C濃度が、生物の死後、時間とともに減少することを利用した年代測定法。現在から数万年前までの間の年代測定法として広く利用される。
マール 「タフリング」を参照のこと。
マグマ 地下に存在する溶融状態にある岩石物質で、おもに溶融した珪酸塩の液体からなり、少量の造岩鉱物と揮発性成分を含む。なお、マグマが地表にあらわれたものを「溶岩」ということもある。
マグマ貫入 マグマの圧力の急増等により、地殻内のマグマが周辺岩体の内部に入り込むこと。
マグマ水蒸気
噴火
高温のマグマが地表や地下にある水、あるいは海水と接触し、マグマの熱により、急速に多量の水蒸気を発生させマグマと供に噴出する爆発的噴火。深海底の噴火では高い水圧のために爆発的にならないが、水深数百mより浅い海底での噴火の場合、マグマ水蒸気噴火となることが多い。
マグマ溜り 火山体の地下にあって、相当量のマグマが蓄えられている所。マグマと周囲の岩盤との密度のつり合いのために、一定深度に停滞すると考えられている。通常、火山の直下、数kmから10km程度の深さにあり、噴火に際しては、そこからマグマが地表に移動・噴出すると考えられている。
マグマ噴火 マグマが噴出する噴火
鳴動 火口またはその付近に音源を持つ連続的な音響で、特に火山活動に関連して起きるもの。
時には震動を伴うこともある。
溶岩 マグマが地表に噴出し流れ出た流体を指すこともあるが、それが固化した岩石も指す。溶岩の流れのことを「溶岩流」といい、噴出率、化学組成、温度、流下場所の地形により流れ方や速度が変わる。
溶岩噴泉 粘性の低い溶岩を火口から噴水のように噴き上げる噴火。噴泉の高さは数百mに達することもある。ハワイやアイスランドなど玄武岩質の火山に多く見られる。割れ目噴火の際に割れ目火口沿いに長く伸びる溶岩噴泉を「火のカーテン」と呼ぶ。
割れ目噴火 地表に生じた細長い割れ目(割れ目火口)から噴出する噴火。割れ目の長さは数百m以上に達することもある。

(参考)
・火山防災マップ作成指針(内閣府等,平成25年3月) ・火山噴火災害危険区域予測図作成指針(国土庁,平成4年) ・火山活動解説資料(web版)「火山」の用語に関する解説(気象庁) ・地震及び火山噴火予知のための観測研究計画(文部科学省,平成23年度年次報告) ・伊豆諸島における火山噴火の特質等に関する調査・研究報告書(東京都防災会議,平成2年5月) ・東京都地域防災計画,火山編(東京都防災会議,平成21年修正) ・地学事典,新版(地学団体研究会編,平成8年10月,平凡社)



以上、「伊豆大島火山避難計画 伊豆大島火山防災協議会 平成 29年5月」からの要約 ・ 抜粋です
詳細につきましては、「伊豆大島火山避難計画 伊豆大島火山防災協議会 平成 29年5月」をご参照下さい


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2017年5月14日

火山噴火避難計画 自家用車使用記す 伊豆大島・三宅島 東京新聞 2017年5月14日


 伊豆大島(大島町)と三宅島(三宅村)で噴火が起きた場合の新たな避難計画がまとまった。二〇一四年の御嶽山噴火を受けて法律で作成が義務付けられたもので、従来は避難の際に使用できなかった自家用車について、状況に応じて使えるようにすることなどが盛り込まれた。
 六十三人の死者・行方不明者を出した御嶽山噴火を教訓に改正された活動火山対策特別措置法(活火山法)では、全国四十九の火山の周辺自治体に住民や観光客の安全を確保するため、避難計画の作成を求めている。都内では伊豆大島、新島、神津島、三宅島、八丈島、青ケ島の伊豆諸島六島にある火山が対象となっている。
 都庁で十二日に「伊豆諸島六火山防災協議会合同会議」があり、伊豆大島と三宅島の避難計画案を承認した。伊豆大島では一九八六年、三宅島では二〇〇〇年にそれぞれ噴火が起きているが、当時と比べ、島内を走る路線バスの台数が減少している。このため、避難に使えるバスの台数も少なくなっており、突発的に噴火が起きるなど事態が切迫した場合は自家用車を利用してもよいとした。


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