ホーム > IT > 機器 > イーサネット 10GBASE-T LAN ケーブル規格
目次 | 元のページ 前のページ | 次のページ サイトマップ | ページEND

イーサネット 10GBASE-T LAN ケーブル規格


10 Gbit Ethernet (10ギガビット イーサネット) 10GBASE-T用 LANケーブルの規格



マルチギガビット・イーサネットのリンク速度 5Gビット/秒時の周波数帯域は 200MHz、2.5Gビット/秒時は 100MHzになり、前者は Cat.6、後者は Cat.5e以上の仕様に準拠したケーブルの利用を想定しています

ただ、Cat.6と Cat.6Aの価格差が少ないため、5Gビット/秒を利用するために Cat.6に買い替えるのは得策とは言えず、Cat.5eからの買い替えなら Cat.6Aを購入しておいた方が、お得感がありますので、今から買うならCat.6Aケーブルがベターと言えそうです (2018年6月14日現在)


名称 想定仕様 周波数帯域 金属シールド 実売価格(1m時)
Cat.5e 1000BASE-T/TX 100MHz 200円前後
Cat.6 10GBASE-T
(37m以内、
束ねない場合は 55m以内)
250MHz 400円前後
Cat.6A 10GBASE-T 500MHz 500円前後
Cat.7 10GBASE-T 600MHz 900円前後
Cat.8 25GBASE-T、40GBASE-T 2GHz 2000円前後

(2018年6月14日現在)


Cat.5eと Cat.6の対応 LANケーブルの価格差は倍近くになりますが、Cat.6と 10Gビット/秒での利用を想定する Cat.6Aの価格差はそれほどなく、Cat.6A準拠のケーブルは 400MHzの高周波で 100m伝送できる品質を保証しています

Cat.7以上は、違いは金属シールドによるノイズ耐性で、ノイズの多い環境や複数のケーブルを束ねて使う場面でなければ実効速度を左右するほどではないので、10GbEといえどもオーバースペックと言え、また、シールドやケーブル内の芯線の位置ずれを防止する保持材(スペーサー)の影響でケーブルが太く固いので、信号伝送はともかく、取り回しの面では不便です


米インテル(Intel)のNICが備えるケーブル品質の簡易検査機能

米インテル(Intel)のNICが備えるケーブル品質の簡易検査機能

周波数が高いほど距離に応じた信号の減衰が大きくなりますが、1mや 2mといった短距離であれば Cat.5eであっても 10Gビット/秒でリンクする可能性が高いのですが、トラブル発生時のリファレンスケーブルとして、1本はCat.7やCat.8などの高品質なケーブルを用意しておいた方が問題の切り分けに役立ちそうです

推奨外のケーブルの利用などで通信が不安定な場合は、NICのデバイスドライバによってはケーブルの品質を確かめられる製品もあり、例えば、米インテル(Intel)のNICは、ケーブル品質を簡易的に検査する機能を備えています




CAT5、CAT5eケーブルは10GBASE-Tに非対応



CAT5、CAT5eケーブルは10GBASE-Tに非対応

【10GBASE-T、ついに普及?】CAT5/CAT5eの利用を断念 CAT6/6A/6e/7のみサポート【期待のネット新技術】 - INTERNET Watch 」 より

10GBASE-Tのケーブルに関して、当初、10GBASE-Tでは既存の1000BASE-Tとの互換性を考えてCAT5ケーブルの利用を可能にしようとしていましたがCAT5/CAT5eの利用は断念、CAT6/6a/6e/7のみのサポートとなっています


CAT5、Category 5ケーブルは、「UTP(Unshielded Twisted Pair:シールドされていない撚り対線)」方式で、通せる信号周波数の上限は100MHzとされています

1000BASE-Tでは信号周波数が125MHzなので、厳密に言えばオーバースペックでの運用になっており、短距離(数mのオーダー)では問題ないのですが、1000BASE-Tの最大到達距離である 100mまでで利用しようとすると、CAT5では性能的に怪しくなる為、CAT5e、あるいは、CAT6の利用が推奨されています


10GBASE-Tでは、信号周波数が 200MHzとさらに高くなることもあって、CAT5では 1m未満でも性能的に怪しいという話になり、わりと早い時期に CAT5の利用が断念されています

CAT5の改良版が enhanced Category 5(CAT5e)で、こちらも信号周波数は100MHzまでですが、内部の配線を太くして伝達特性を改良されており、1000BASE-Tでは 100mまで利用可能となっていますが、こちらを使っても 10GBASE-Tではやはり性能的に厳しいことがシミュレーションで早期に判明し、やはりサポートから落ちています


その代わりにサポートされたのが、Categoly 6(CAT6)で、CAT6では内部の 4対の配線が偏らないように十字型のスペーサーが内蔵されており、撚り対線も変更され、250MHzまでの信号周波数に対応しています

10GBASE-TではこのCAT6を利用した場合、最大 37m(後述するエイリアンクロストークがなければ55m)までの通信が可能とされました


この CAT6の改良版が、Enhanced Category 6(CAT6e)で、TIAやANSIでは策定されていないケーブルメーカーの独自規格なのですが、違いは、4対の撚り対線に加えて、スペーサー全体を薄いアルミのシールドで覆う形になっており、建前上はシールドなので、UTPではなく STP(Shielded Twisted Pair)に分類されることになるはずなのですが、実際は、このアルミのシールドがアースされていないため、UTPとして扱われています

現実問題としては、シールドの性能は不十分で、10GBASE-T的にはCAT6ケーブルと同じ扱いとなっています




CAT6Aは500MHz、CAT7はGG45/TERAコネクタ採用で600MHzに対応



CAT6Aは500MHz、CAT7はGG45/TERAコネクタ採用で600MHzに対応

【10GBASE-T、ついに普及?】CAT5/CAT5eの利用を断念 CAT6/6A/6e/7のみサポート【期待のネット新技術】 - INTERNET Watch 」 より

CAT6eをさらに拡張したのが、Augmented CAT6(CAT6A)で、4対の撚り対線+スペーサーをアルミのシールドで覆う構造は CAT6eと同じですが、撚り対線が変更されて 500MHzまでの信号周波数に対応、また、外皮が不等断面形状になり、特に複数のCAT6Aケーブルを並べた際のケーブル間の信号干渉(これをエイリアンクロストークと呼ぶ)を減らす効果があります

ただ、この CAT6Aも、外側のアルミシールドは実際にはアースされていないためシールド効果は不十分で、一定の条件下では 10GBASE-Tで利用できない可能性が指摘され、後には CAT6Aのケーブルを利用したSTPも登場しています

これらに続いて登場した本命が、Category 7(CAT7)で、Unshieldのままでは高速化は不可能と判断され、完全に配線をシールド化したSTPに切り替わり、CAT7の場合、4つの撚り対線はそれぞれ個別にシールドされ、さらに全体を網線シールドで覆う構造になっています


CAT7では「GG45」ないし「TERA」コネクタが用いられます

GG45のプラグとレセプタクル
出典 : 小野寺智広氏(丸紅アクセスソリューションズ(株))のJAGON28事後資料「とある通信工のつぶやき」(https://www.janog.gr.jp/meeting/janog28/doc/janog28-toarutsushin-ver1.0-after.pdf

CAT6Aまでは、プラスチック製で、内部に8つの端子が用意されているだけの「RJ45」コネクタが利用されてきましたが、CAT7では「GG45」ないし「TERA」コネクタが用いられます


GG45は、コネクタ構造そのものはRJ45と後方互換性がありますが、コネクタ全体をメタルシールドで覆う形になっており、それにより、コネクタのシールド部を通してケーブルのシールドがグランドに接続されることになり、シールド性能が大幅に向上しています

TERAは、ヨーロッパではよく利用されており、Siemonという会社が開発、そのまま標準化、撚り対線の信号周波数の対応が600MHzまでに向上しており、これを利用することで、10GBASE-Tで100mまでの通信が可能になります

このGG45、あるいは、TERAコネクタと CAT6Aケーブルを組み合わせたのが、CAT6AのSTPということになります




CAT5 ケーブルが使える 2.5GBASE-T / 5GBASE-T



10GBASE-Tでは CAT6a以上のケーブルが必要だったのに対し、2.5GBASE-T / 5GBASE-Tでは CAT5eケーブルを利用して 100mまでの伝送が可能となり、また、標準ではありませんが、短距離なら既存の CAT5ケーブルがそのままでも利用可能です

また、基本的には単に動作周波数を下げただけで同じスキームなので、既存の 10GBASE-Tのコントローラーやスイッチでも 2.5GBASE-T / 5GBASE-Tへの対応は容易で、既に対応製品もリリースされています

目次 | 元のページ 前のページ | 次のページ サイトマップ | ページTOP
ホーム > IT > 機器 > イーサネット 10GBASE-T LAN ケーブル規格
   

© 2014 abhp.net All Rights Reserved.

参考情報


10Gigabit Ethernet ケーブルとスイッチを理解する!:CodeZine 2013/09/18
【10GBASE-T、ついに普及?】CAT5/CAT5eの利用を断念 CAT6/6A/6e/7のみサポート【期待のネット新技術】 - INTERNET Watch
【10GBASE-T、ついに普及?】ケーブル変えずに5倍速! CAT5が使える「2.5G/5GBASE-T」、消費電力も低減【期待のネット新技術】 - INTERNET Watch
コストを抑えて10Gイーサネットを導入!! 10GBASE-T対応スイッチ マイナビニュース 2013/06/05
SFP+でいくか10GBASE-Tかそれが問題だ - ICT備忘録 2013/12/26
SFP+と10GBASE-T両方買って10Gネットワークを構築してみた。(前編) - ICT備忘録 2014/01/20
SFP+と10GBASE-T両方買って10Gネットワークを構築してみた。(後編) - ICT備忘録 2014/01/20

コンテンツ一覧

ページTOP
ページTOP

関連記事

ページTOP


関連記事を下記に紹介します



2018年6月14日

古いLANケーブルでも速度は5倍、激安10ギガイーサの底力(3ページ目) 日経 xTECH(クロステック) 2018/06/14 05:00


 今から買うならCat.6Aケーブルがベター
 マルチギガビット・イーサネットのリンク速度5Gビット/秒時の周波数帯域は200MHz、2.5Gビット/秒時は100MHzになる。前者はCat.6、後者はCat.5e以上の仕様に準拠したケーブルの利用を想定している。ただ5Gビット/秒を利用するためにCat.6に買い替えるのは得策ではない。Cat.6とCat.6Aの価格差が少ないため、Cat.5eからの買い替えならCat.6Aが無難だ。
 Cat.5eとCat.6の対応LANケーブルの価格差は倍近いが、Cat.6と10Gビット/秒での利用を想定するCat.6Aの価格差はそれほどない。Cat.6A準拠のケーブルは400MHzの高周波で100m伝送できる品質を保証している。
 Cat.7以上は、10GbEといえどもオーバースペック。違いは金属シールドによるノイズ耐性で、ノイズの多い環境や複数のケーブルを束ねて使う場面でなければ実効速度を左右するほどではない。また、シールドやケーブル内の芯線の位置ずれを防止する保持材(スペーサー)の影響でケーブルが太く固い。信号伝送はともかく、取り回しの面では不利だ。
 周波数が高いほど距離に応じた信号の減衰が大きくなるが、1mや2mといった短距離であればCat.5eであっても10Gビット/秒でリンクする可能性が高い。とはいえトラブル発生時のリファレンスケーブルとして、1本はCat.7やCat.8などの高品質なケーブルを用意しておくと問題の切り分けに役立つだろう。


ページTOP
ページTOP
ページTOP