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ドニエプルロケット (ロシア) とは


ドニエプルロケット (ロシア) とは



ドニエプル(ドニプロー Dnipro) ロケットは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を人工衛星打上げ用に転用したロシアの 3段式液体ロケットです


ドニエプルという名称は、ドニエプル川に由来し、ISCコスモトラス (en)が運用、ウクライナのドニプロペトロウシクにある国営企業「M・K・ヤーンヘリ記念南設計局」により設計、ユージュノエ機械生産共同体により製造された、R-36M UTTKh (RS-20 あるいはSS-18) ICBM の内、ロシア戦略ロケット軍での戦略任務から退役したミサイルが商用利用に転用されたものです


ドニエプルロケットは、150機のロケットが、2020年までの間に使用可能と言われており、カザフスタンのバイコヌールと、ロシアのオレンブルク地域にある、新設のヤースヌイ打ち上げ基地の射場(コスモドローム)にある地下サイロから打ち上げられます


毒性・腐食性が強いが長期の保存に適したヒドラジン系の液体燃料を使用し、環境上の問題が懸念されることと、軍の倉庫から出して、機体の再整備と打上げ準備作業に約2年を要する為、コストがかかるという経済性の問題から、2011年8月に17回目の打ち上げを行った後、2年間打ち上げが行われませんでしたが、2013年8月22日に、打ち上げを再開しています


2013年時点の打ち上げ費用は、約3,000万ドル(30億円)で、300km上空の低軌道へ、3,600kgのペイロードを、50.6度の軌道傾斜角で、300km上空の太陽同期軌道では、98.0度の軌道傾斜角で、2,300kgのペイロードを打ち上げることができます


代表的軌道 液体3段式
地球周回低軌道(LEO) 3,600kg (300km 傾斜角 50.6度)
太陽同期軌道(SSO) 2,300kg (300km 傾斜角 98.0度)


ドニエプルロケットは、ICBMを転用したロケットであるため、打ち上げは地下サイロから行われ、サイロ内でガスが膨張する力でロケットを地上に押し上げ、高度20mの地点で1段エンジンに点火するコールドロンチ方式を採用、打ち上げ動画では、地上に飛び出した後、一瞬上昇の勢いがなくなり、直後、ロケット1段目が点火すると同時に、ロケットを地上に押し上げるために使用されたブースターを切り捨て、上昇を再開する様子が見てとれます


  「ドニエプルロケット」に関連した動画の一覧 - Weblio動画検索


また、MIRV放出用に設計された機体のため、3段エンジンの噴射口は、MIRV放出時の減速の為ロケットの上部を向いており、軌道投入のために加速する際は、180度姿勢を変更し、衛星を引っ張る形でロケットを噴射します


このため衛星放出時は、衛星を放出した後、その上方に位置する3段は、衛星との衝突を回避するためにさらに上昇を続けます




イプシロンロケット打ち上げ能力



ちなみに、イプシロンロケットの打ち上げ能力は、下表の通りです


代表的軌道 基本形態 固体3段式 オプション形態
固体3段式+小型液体推進系
地球周回低軌道 (LEO) 1200kg
(近地点250km x 遠地点500km)
700kg (500km 円軌道)
太陽同期軌道 (SSO) 450kg (500km 円軌道)


今回打ち上げられた 「ASNARO (アスナロ) 1」 にピッタリの仕様なのですが、何故、経済産業省は、イプシロンを使わなかったのでしょうか

イプシロンを運用するJAXAは、内閣府・総務省・文部科学省・経済産業省が共同して所管する独立行政法人なので、省庁縦割りの弊害ということでもないのかもしれませんが、すっきりしないものを感じます

今後は、日本のロケット技術、ロケット産業の発展の為にも、国産ロケットの使用を期待したいところです

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関連記事を下記に紹介します



2014年11月6日 「アスナロ1」打ち上げ=技術衛星、ロシアから-経産省 時事通信 2014年11月6日(木)22時11分配信

 経済産業省は6日、小型で高性能、低コストな地球観測衛星の実現を目指すため開発した技術実証衛星「ASNARO (アスナロ) 1」が、ロシアから「ドニエプル」ロケットで打ち上げられたと発表した。
 アスナロ1は重さ450キロで、望遠鏡に当たる光学センサーを搭載。高度約500キロで地球を周回し、観測幅10キロで50センチ四方の物体まで識別できる。土地利用状況や被災地の把握など多様な観測ができる。


2014年11月6日 技術実証衛星「ASNARO(アスナロ)-1」の打ち上げに成功しました (METI-経済産業省)

経済産業省は、技術実証衛星「ASNARO-1(Advanced Satellite with New system Architecture for Observation)」をロシアでの打ち上げに成功しました。
経済産業省は、我が国宇宙産業の国際競争力強化のため、高性能かつ小型で低コストな人工衛星の実現を目指し、研究開発を進めてきました。
今般、その技術実証衛星「ASNARO-1」の打ち上げに成功しました。
11月6日(木)16時35分(日本標準時):ロシア・ヤスニ射場からドニエプルロケットにより打ち上げ
16時53分(日本標準時):人工衛星からの信号を受信
今後、太陽電池パドルの展開や姿勢の調整等を行った後、各種の技術実証・評価を実施していく予定です。


2014年6月17日 東京大学工学系研究科  東京大学開発の超小型衛星「ほどよし3,4号」が6月20日に2機同時打ち上げ-低コスト・短期開発衛星による新しい宇宙開発利用が始まる- 2014/06/17

 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(研究科長:光石 衛)航空宇宙工学専攻 中須賀真一教授の研究室は、昨年度まで行われた内閣府最先端研究開発支援プログラムの資金により開発した2機の超小型衛星「ほどよし3号」「ほどよし4号」を、ロシアのドニエプルロケットを使ってロシア国内のヤスネ基地から、平成26年6月19日19:11(UTC)(日本時間20日4:11am)に打ち上げました。初期運用は順調に進んでおり、ほどよし4号が撮像した最初の広角カメラ画像がダウンリンクされました。Facebook およびYouTubeに、ダウンリンクした画像をつなげて作ったビデオ映像が公開されています。


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