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矢作ダム ダム 改造方式一覧 動力使わぬ堆砂対策


矢作ダム ダム 改造方式一覧 動力使わぬ堆砂対策



ダムは、経年とともに、上流から流れてきた砂が貯まり、貯水能力が損なわれていきますので、建設時に、その堆砂量を想定しているのですが、豪雨などの発生によって、想定よりも早い段階で大量の砂がたまってしまうケースが出てきています

その場合、ダムの機能を回復するための非常にシンプルな方法は、ダムに貯まった砂を排出することです


ダムの堆砂対策を合理的に進める意図で、開発された技術として、水位差を用いてダム湖の堆砂を下流に排出する「サイフォンによる移動式吸引工法」が開発されており、国交省中部地方整備局が管理する矢作ダムで進めた実証実験を通して、その有効性を確かめています



水位差を利用してダム湖の堆砂を排出する設備を用いた実証実験の概要

水位差を利用してダム湖の堆砂を排出する設備を用いた実証実験の概要

(資料:大林組)



サイホンの原理を活用した堆砂の輸送システム サイホンの原理を活用した堆砂の輸送システム

排砂管吐口から排砂している状況

(写真:大林組)



この工法は、起点と終点を水で満たした管で結んで、両端の水位差を使って水を運ぶサイホンの原理を活用、上流貯水池内の堆砂を水ごと吸引し、下流側に排出しようという方法です

1. 最初に、台船に載せた管の吸引部を貯水池の堆砂部に入れます
2. 続いて管の下流側端部をバルブで締め切って、管の途中に設けたサイホン起動設備で管内を真空状態にします
3. そして管内に水を満たし、水の連続性を確保しながらバルブを開けると、堆砂を含んだ水が吸引されて下流側に移ります


この方法は、吸引部が、台船の水平移動や台船上のウインチによる上下移動を組み合わせて、任意の場所に配置できる仕組みになっており、砂混じりの水を移動させるための動力がほとんど不要で、簡易な設備で済む分、維持管理が容易になり、ランニングコストを抑制できます

国交省中部地方整備局 矢作ダム 管理所が公募した実証試験では、水位差 4.5m、排砂管の直径 60cmの条件下で、管内流速毎秒 3.7m、土砂の体積濃度 2.7%で排砂でき、機械掘削しながら排砂すると、掘削機を使わない場合に比べて管内の土砂の体積濃度が 2~3倍高くなることも分かっています




改造 ・ 改良による 既存ダム機能 ・ 有用性向上手法について

新たなダムを建設していくことは、物理的、地理的要因の他に、環境面の問題等もあって、現在の日本国内では、非常に困難なことになってきており、既存のダムを、改造、改良することにより、その機能、有用性を高めていくという手法に注目が集まってきています
経年によるインフラの老朽化が社会的な関心を集めるなか、既存施設をリニューアルして将来も役立てていこうという手法は、社会的理解の獲得という点でも有効です
国が管理するダムを中心に、現在、様々な改造事業が進んでおりますが、ダムの改造は、既存施設を運用しながら工事しなければならないという問題があり、技術的に難度の高い工事となります
その為、一口にダム改造と言っても、その内容、形態には様々な手法が存在、開発されてきています
国交省では、ダムの再開発技術をインフラ海外輸出のツールの一つに位置付けたいとの考えのもと、既に英文パンフレットを作成したり、2国間の防災協働対話などで改造技術のアピールを図ったりしています

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関連記事を下記に紹介します



2016年6月21日

豪雨で脚光浴びるダム改造 日経コンストラクション 2016/06/21


 ダムは「税金の無駄遣い」、「自然破壊」といったレッテルを貼られがちのインフラの代表格と言えるでしょう。構造物を造る箇所は、自然豊かな山間部になりますし、事業期間が長期にわたるので、当初の建設計画と実際に完成に至った時とでは、事業費や利水ニーズなどが大きく変わることが多いからです。
 しかし、ダムの重要性が見直される機運が出始めています。豪雨が多発する半面、降雨が少ない時期が目立ち始めるなど、極端な気象が数多く襲い掛かっているからです。気象庁が示す観測結果では、大雨の観測回数は長期的に上昇トレンドを描いており、今後の予想でも、大雨の発生頻度は増すと見込んでいます。
 豪雨による被害は、ダムだけでは防げません。それでも、ダムが川の流域の安全性を高めている点は、これまで以上に無視できなくなっています。
 このところ、国土交通省はダムの効用を広く伝えようという姿勢を強く打ち出しています。近年の豪雨では、ダムの活用による治水効果を具体的な数字を交えて積極的に公表。その重要性をアピールしています。

豪雨で脚光浴びるダム改造 日経コンストラクション 2016/06/21 」 より


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