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「イスラム国」 の 「ネット戦略」


「イスラム国」の「ネット戦略」



従来のテロリスト集団とイスラム国との決定的な違いとして、「イスラム国」が、自分達の支配地域を持ち、インターネットやYouTube、Facebook、Twitter等のソーシャルメディア(SNS)を駆使し、自分達の主張や宣伝メッセージ、動画を投稿することにより、勢力、影響力の拡大を図っていることが挙げられます


従来のテロリスト集団は、何か事件を起こしたタイミングで、占拠した建物、施設等の事件現場にマスコミを呼ぶとか、マスコミに犯行声明を送りつけるとかで、その影響力は、局所的、一時的なものに留まっていたのに対し、イスラム国では、自分達の支配地域を持ち、インターネット、SNSを活用することで、よりグローバルに、継続的にメッセージを発信し続けています


「イスラム国」が日本人 2人を人質にとった動画メッセージを掲載したのもネット上、ソーシャルメディア上でした


  英雄気取りで勝手に「イスラム国」に入り人質となった後藤健二と湯川遥菜の末路




「イスラム国」のネット戦略の中心は、プロパガンダ、リクルート、資金集め



「イスラム国」のネット戦略の主要な目的は、プロパガンダ、リクルート、資金集め、の3つです


プロパガンダ


人質テロを起こし、その人質の動画と政治的メッセージをソーシャルメディアに掲載するだけで、世界中のメディアや一般市民に向けて自分たちの存在を、宣伝(プロパガンダ)でき、また、それをマスメディアが報道することにより、さらにそのメッセージは世界中に拡散され、宣伝効果が増大します


リクルート


そのプロパガンダにより、世界中から「イスラム国」に対して共感する若者が中東に集結し、「イスラム国」の戦闘員となっている現状があり、
「イスラム国」はネットを戦闘員のリクルートの手段として位置づけています

世界各国からテレビ局や新聞社でのジャーナリスト経験を持つ若者が「イスラム国」に参加し、「イスラム国」の広報局「フルカーン」に所属して人質の動画を撮影編集し、ネット上で発信、つまり、「イスラム国」はメディアを活用するためのプロパガンダ機関を持っているのです


資金集め


「イスラム国」は、そのプロパガンダにより、世界中の支持者から資金(カンパ)を集め、戦闘資金としています

日米欧の金融当局などによる金融活動作業部会(FATF)は、2015年2月27日、イスラム過激派組織「イスラム国」の資金調達に関する報告書をまとめ、その中で、これまで言われていた支配地域での銀行からの略奪や石油の密売、身代金目的の誘拐などに加え、インターネットを通じて世界中から小口の資金を集める手法を駆使していると指摘しています

「イスラム国」は、支配地域で、国営銀行の現金を略奪し、2014年後半には少なくとも約 5億ドル(約600億円)の現金を手に入れ、民間銀行では、市民が預金を引き出すたびに「課税」と称して資金を徴収している他、ネットを通じて投資家から少しずつ資金を集める「クラウドファンディング」を活用、ツイッター等のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でも寄付を募っています




テロリズムと報道の在り方



「イスラム国」そのものは、以前から報道されていて、その存在は知っていても、遠い中東での地域紛争くらいにしか思われていなかったのではないでしょうか

ところが、「イスラム国」での日本人人質事件が起こるや、日本のテレビや新聞、雑誌などマスメディアにおいて、それまで以上の過熱報道が発生し、新聞では一気に一面にまで躍り出てきました


ここで注意しないといけないのは、「イスラム国」では、自分達の勢力の拡大のために、宣伝媒体を最大限活用していることです

「イスラム国」がネット上に掲載する脅迫のメッセージをそのまま報道することは、テロリズムのプロパガンダに荷担したことになり、その結果、日本人の生命を危険にさらしたり、現実に、中東に対する人道支援を表明した日本政府への政権批判も発生しました

こうした現象こそがテロリスト集団「イスラム国」(テロリズム)が意図した効果です



テロリズムや戦争、紛争といった安全保障の問題をどう報道すべきかという問いに対して、欧米のメディアでは、様々な試行錯誤を繰り返してきました


イギリス


イギリスにはDAノーティス(Defence Advisory Notice)という制度のもとに、テロリズムに関する事件が発生した場合は、その報道内容についてメディアと国防省が連絡、調整を行う文化があります


アメリカ


アメリカのメディアにはテロリズムや戦争の問題を報道する際の自主規制のガイドラインが存在します


日本


日本にはイギリス的な協議 調整型の制度も、アメリカ的な対立 克服型の制度も存在しません

それぞれの報道機関の良識に任されている結果、良識を持たない報道機関、朝日新聞、テレビ朝日、の様に、「イスラム国」のプロパガンダ映像、主張をそのまま大々的に報道する事により、彼らの宣伝活動を助け、勢力拡大に加担する報道機関が存在してしまいます

テレビ朝日の「報道ステーション」では、わざわざ、特集を組んでまで、「イスラム国」のプロパガンダ映像の大盤振る舞いをしでかしました


  テレビ朝日「報道ステーション」のイスラム国(ISIL)特集に批判殺到

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2015年3月3日 「イスラム国」への資金援助減=米国帰還者40人―国家情報長官 時事通信 2015年3月3日(火)08:21

 【ワシントン時事】クラッパー米国家情報長官は2日、イラクとシリアで活動する過激派組織「イスラム国」の残虐性が明らかになり、中東のイスラム教スンニ派諸国内の団体などからの資金援助が大幅に減少したとの見方を示した。ニューヨーク市内で開かれたイベントで明らかにした。
 ただ、長官は同時に、同組織が献金で手にした額は「昨年の総収入の1%に満たない」と語り、資金面の対策以外にも過激なイデオロギーの拡散阻止といった根本的な対策が引き続き重要だと強調した。


2015年2月28日 「イスラム国」ネット通じ小口資金を調達 読売新聞 2015年2月28日(土)7時57分

 日米欧の金融当局などによる金融活動作業部会(FATF)は27日、イスラム過激派組織「イスラム国」の資金調達に関する報告書をまとめた。
 これまで言われていた支配地域での銀行からの略奪や石油の密売、身代金目的の誘拐などに加え、インターネットを通じて世界中から小口の資金を集める手法を駆使していると指摘した。6月会合で具体的な対抗策を協議する。
 報告書によると、「イスラム国」は、情報技術を駆使した資金調達をしており、ネットを通じて投資家から少しずつ資金を集める「クラウドファンディング」を活用している。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やツイッターでも寄付を募っている。


2015年2月20日 イスラム国の「ネット戦略」と報道のあり方を考える 日本大学大学院新聞学研究科教授・福田充 THE PAGE 2月20日(金)7時0分

イスラム国の「ネット戦略」
 これまでのテロリズムと、今回のイスラム国による邦人人質テロ事件が異なるのは、イスラム国がインターネットやソーシャル・メディアを駆使している点である。イスラム国が日本人二人を人質にとった動画メッセージを掲載したのもネット上であり、ソーシャル・メディア上であった。現代では、テロリストは自分のホームページから情報発信し、YouTubeやFacebook、Twitterなどのソーシャル・メディア上でメッセージや動画を掲載できる。ソーシャル・メディアを介してテロリストと一般市民はグローバルに直接つながることができる。


2015年1月29日 テレビ朝日「報道ステーション」のイスラム国(ISIL)特集に批判殺到 - AOLニュース 2015年01月29日 12時15分

 このところ緊迫した状況が続く、ISIL(いわゆるイスラム国)による邦人拉致事件だが、そうした中、テレビ朝日系の『報道ステーション』が先日放送した内容に、多くの批判が相次いでいる。
 これは1月27日夜に放送された同番組で、一連の騒動を振り返りまとめたもので、この中で同番組はISIL側が「広報用」に制作し、公開し続けてきたプロモーション映像をふんだんに使用。海外メディアがこぞってこうしたプロモーション映像を報じることを自粛し続ける流れの中での逆行に、多くの視聴者から痛烈なコメントが殺到した。
 同武装組織の主張に同調する内容はもちろんのこと、最近では人質救出交渉の邪魔になるという懸念から、ISILに関して報じること自体に、自主的な規制を強く行っている大手メディア。マスコミ各社も慎重なスタンスで足並みを揃えつつある中だっただけに、衝撃が大きかったようだ。


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